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先生との対面と目撃者

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『悪いね。来てくれてありがとう』


次の日の夜、私達は佐々木先生が入院している病院の前にいた。


かなり大きな病院だ。


エレベーターで病室まで上がっていく。


佐々木先生に…


正直、会いたくはなかった。


でも…ここまで来たら、絶対に「真実」を知って先生の正体を暴いて警察に突き出してやりたいと…そう思った。


それは、凛音も演劇部のみんなも同じ気持ちだと思う。


凛音が個室のドアを叩き、ゆっくりと病室の中に入った。


『ああ、赤田さん。皆さんも…わざわざすみません』


佐々木先生…ニコニコ笑ってる。


私達が何も知らないと思ってるからだけど…


何だか嫌な気分だ。


『大変な時にお邪魔して申し訳ありません。お怪我の具合はいかがですか?』


『本当に参りました。慌てていて階段から足を踏み外すなんて…情けないです』


先生は、恥ずかしそうに言った。


『1週間程入院とお聞きしましたが…』


『ええ。演劇部の方は「副顧問の山口先生」と赤田さんに任せて明日からでも再開してもらおうと思ってます。大丈夫か?』


『あっ、はい。山口先生から今日お聞きしました。明日から一応再開はしますが、みんな「動揺」していて…上手く練習が出来るか不安です』


と、赤田さん。


『君は部長だろ?しっかりしないか。みんなを支えてやってくれ。文化祭まであまり時間がない。私が戻るまで山口先生と頑張ってくれ』


あなたのせいでみんなが不安になってる…ってハッキリ言ってやりたかった。


『わかりました、佐々木先生』


『先生。足を踏み外したとおっしゃいましたが、それは間違いないですか?もしかして…誰かに突き落とされたとか?』


凛音は、いきなり話の核心をついた。


『何を!そ、そんなわけないじゃないですか。驚かさないで下さい。私は…自分で落ちたんです。それに…もしそうだとしていったい誰が私を突き落としたっていうんですか?』
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