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円城寺家の人々とイケメン探偵

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「兄妹」でなければ…って、ちょっと気の毒にも思うけど…


だけど、きっと…


初音ちゃんは、今の状況で十分幸せなんだろうな。


本当に…罪な男だな、湊音さんは。


ダンディで、優しくて、あまりにかっこよ過ぎるよ。


でも…


凛音の次に…だけどね。


『さあさ、そろそろ夕食の時間ですよ。皆さん、席に着いて下さいね』


良子さんと早瀬さんが食事を運んできた。


『今日は何?』


柊音君が無邪気に言う。


相変わらず今日もオシャレだな。


とても中学生とは思えないルックス。


『今日は…メインはパエリアですよ。頑張った凛音様のお好きな物をお作りしました。たくさん食べて下さいね』


と、良子さん。


早速、大きな鉄板からパエリアを取り分けてくれた。


サフラン色でたくさんの魚介が乗ってて…美味しそうだ。


食欲が増すこの香りもいい。


他にもたくさんの料理が次々とテーブルを埋めつくす。


『いただきます』


赤田さん達、みんな美味しそうに食べてる。


食事をしながら、しばらく私達は楽しいお喋りに花を咲かせた。


『そういえば、優愛高校に「大学生探偵の凛音様のファンクラブ」が出来たんです。みんな、凛音様が来てくれるのを待ってます。何か事件が起こらないかって期待してるんですよ。もちろん…私も…そのファンクラブの会員ですけど』


赤田さんが、恥ずかしそうに言った。


『まあ、不謹慎ですわね。事件を待ってるなんて。それに、凛音様は私の「婚約者」なんですからね』


『何度も言うけど、僕は君の婚約者になった覚えはないけどね』


凛音が苦笑いした。


私は…その言葉がちょっと嬉しい。


『いつも凛音様はそうやって照れてしまうんですから』


いやいや、ポジティブ過ぎるでしょって…本当に毎回ツッコミたくなる。


『とにかく、女性はたくましいな。全く、頼もしい』


湊音さんが笑った。
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