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愛おしく、狂おしく、愛を囁く

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『このドレスを君にプレゼントさせてほしい』


えっ…


情熱的な深紅のドレス。


『これを着て見せて…』


慶都さんの突然の申し出に驚いた。


ワインみたいな美しい色、こんなの…私には似合わない。


『あ、あの…』


『また自分には似合わないなんて言うのか?』


慶都さんには何でも見透かされてしまう。


『このドレスは君のために存在してる。他の誰にも似合わない、君だけのドレスなんだ』


『そんなこと…』


『手伝ってあげるから』


そう言って、慶都さんは私のブラウスのボタンに手をかけた。


『あっ、待って下さい』


『だから…俺は待たない』


ひとつ、ひとつ、丁寧にボタンを外し、当たり前のようにブラウスを脱がせる。


『これもいらない』


『あっ、ダメっ』


慶都さんは、私の上半身を全てあらわにさせた。


『恥ずかしいです。それに、こんなタイトなドレス…胸元もこんなに開いて…』


『恥ずかしがらないで。サイズはぴったりのはず…』


『慶都さん…』


何を言っても聞いてくれない、慶都さんは、まるでわがままを言う子どもみたい。


私は着ていたものを全てを失い、代わりに新しいドレスを身にまとった。


背中のファスナーをゆっくりとあげて、そして、言った。


『完璧…だな。君のためのドレス。君に着てもらえて喜んでる』


『や、やっぱり似合わないです。ドレスが可哀想』


『彩葉、君はこんなに美しい。蓮も言ってただろ?もっと自信を持てばいい。だからといって他の男に目移りするのは許さない…彩葉は俺だけのものだから』


慶都さんは、いつものように慣れた手つきでワインを開けた。


グラスがどんどん赤く染まっていく…


『明日があるから、今夜はあまり飲めない。でも、ドレスの君を見ながらワインを飲めるなんて…こんな嬉しいことはない』


2人で乾杯する。


スーツ姿の慶都さん、私のドレスと合わせるための赤いネクタイだったの?


こんなにも情熱的な色に囲まれて、私の体はだんだん火照り出した。
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