あなたと恋に落ちるまで～御曹司は、一途に私に恋をする～

社長としてのあなた

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2日後、私はパンの配達に出ていた。


自転車で街を走り抜ける。


あまりスピードは出さないように気をつけながら、まだ先にある会社を目指す。


ずっと平地だし、春の優しさに包まれながら、気持ちの良いサイクリングが出来るような気になった。


地図を何度も見て、頭に入れたから道は覚えてる。


間違わずに辿り着けるだろう。


しばらく走ってたら、オフィスが立ち並ぶ地域に入った。


ゆったりとした時間が流れる「杏」の辺りに比べると、人の流れが早く感じる。


スーツを来た男性、女性が目立ち、颯爽と風をきって歩く姿がみんなカッコいい。


『ここだ…』


「杏」から自転車で12、3分。


「榊SAKAKI」と言う、あの人が社長を務める会社があった。


私は、その前に邪魔にならないように自転車を止めた。


下から見上げたら、首を90度に反らすくらい、かなり大きなビルだとわかる。


『立派だな…あの人はこんなすごい会社の社長さんなんだ…』


ちょっと感動する。


パンを食べてる姿ももちろん素敵だけど、仕事をしてる榊社長は、きっともっと素敵に違いない。


中に入ってまたびっくりした。


広いロビーに受付があって、社員さんかな…たくさんの人が行き交ってる。


みんな慌ただしく動いてるな…


私は、その間をぬって受付に話しかけた。


そこに座ってる2人ともが、すごく美人だ。


『あの、すみません。榊社長さんにお届け物なんですが…』


『美山様ですね。お待ちしておりました。直接、そちらのエレベーターで最上階までお上がり下さい。社長室はエレベーターを降りていただき1番奥になります』


私は頭を下げ、言われた通りエレベーターに乗り込んだ。


最上階のボタンを押すと、スイスイ上に上がって行く。


音は静かで、私はその中で深く呼吸した。


自転車を漕いだあとの心拍数を元にもどすためと…


これから榊社長に会うんだと思うと自然にドキドキする気持ちを沈めるために。