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ライバルと自分~希良side~

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『東堂さん、こんにちは。お疲れ様です』


『お疲れ様。この前は…「杏」で会ったの驚いたね』


『はい、びっくりしました。それに、榊グループの社長さんにお会い出来るなんて。でも、東堂さん、良かったですね。小麦粉置いてもらえることになって。ここより、あの百貨店で売る方がかなりの利益出ますよね』


『だから、父さんがすごく喜んでるよ。あんな嬉しそうな顔、久しぶりに見た』


『そうなんですか…良かったです。本当に』


『渡辺君、名前希良君って言うんだ』


『あ、はい。そうです』


『カッコいい名前だね。若くて明るくて名前も顔もカッコいい。素晴らしい夢もあって…本当にうらやましいよ』


東堂さんにそんなこと言われるなんて驚いた。


『名前負けですよ。僕は…東堂さんこそ、優しくてイケメンで、必ず東堂製粉所の2代目になる人だし、しっかりしててうらやましいです』


それは、本心だった。


『渡辺君は…雫ちゃんのこと…好きなのかな?』 


あまりに突然の質問で驚いた。


数秒間の沈黙。


『…あ、えと…』


『ごめんごめん。こんなとこじゃ話せないよね。良かったら、この後、飲みに行かない?20歳は越えてるよね?』


東堂さんからの誘い…


『あ、はい。20歳ですから大丈夫です。僕も2人で話したいです。雫さんのこと…』


OKしてしまった。


ライバルである東堂さんと話すのは、少し抵抗あるけど…


でも、今を逃すと、もうチャンスが無いような気がしたから。


バイトを終えてから、居酒屋へ。


近くだから歩いて行ったら、店の前にはもう東堂さんが来ていた。


『すみません。お待たせして』


駆け寄って謝った。


『全然。俺も今来たとこ。入ろうか』


『はい』


2人で店に入った時、


『よお、希良!!』


大きな声で名前を呼ばれた。


『光平!?』


そうだった…


光平達も飲み会だったんだ。
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