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第十六話
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ギガンティスにあるモニター上から、龍の姿が完全に消えた。少年の一人があきれたように言う。
「ありゃ、自殺だぜ」
「いくら龍の表面が無限の硬度を持っていたとしても、中の奴は即死だね」
それを聞いていた、年長の少年が首を振る。
「いや、キャプテンドラゴンは、自殺するような男じゃない。だいたい、龍が表面を次元断層の皮膜で覆われているという仮説自体が間違っているのだろう。やはり、奴は伝説にあるように、一つの閉鎖した宇宙であり、奴の中は別の次元界と思ったほうがいい」
「馬鹿な」
「しかし、ブラックソルはそれよりも馬鹿げた存在にダイブをしかけてるんだぜ」
「そうは言っても、」
モニターを監視していた少年が、声をあげる。
「おい、地中を振動体が移動している。もうすぐこの真下へ来る」
「まさか?」
「ああ」
少年たちは、あきれたように顔を見合わせる。
「多分、龍だ」
ギガンティスの司令室に衝撃が走り、一瞬すべての警報が鳴り響く。やがてそれも停止し、照明も死んだ。龍は、巨大な宇宙戦艦の内部へ喰らい込んでいる。
ギガンティスは、一撃でその心臓を、貫かれた。
荒れ果てた大地に君臨する巨大な電子要塞は、壮大な鉄の棺と化している。龍は、その内部を存分に食い荒らし終えると、身を翻して地下へと向かう。
さらなる深みへと。
❖
メイは、狂気の炎に抱かれている気がした。漆黒の巨人はメイから見ると、狂った情報体にしか思えない。その中では、伝達する情報の時系列や、構成される論理系の因果律がずたずたに破壊されていた。
事象は原因を作りだし、情報は天空に雷が煌めくように、無から生成される。漆黒の巨人の中で無限に展開していく情報は、言語のカレイドスコープを思わせた。メイの意識は、混濁したデータの渦にのみ込まれる。しかし、その全てをブラックソルは明晰な意識により、メタレベルで把握しているのだろうと感じた。
❖
銀河そのものにみえる、銀色に輝き渦巻く大樹に磔にされた漆黒の巨人の金色に輝く瞳の下に、紅い裂け目が出現する。それは、巨人の口であった。深紅の裂け目は大きく広がり、漆黒の牙が覗く。
黒い巨人は、剥き出した牙を、銀色の巨人の首筋へと突き立てた。銀色の巨人は、微かに身震いしたように見える。
メイは思念で、絶叫を上げた。
メイの思考は限界点を突破し、意識は制御を失って半ば夢の中に入り込んだようになる。
メイは、こころの中で何度も叫んだ。
わたしの中へ、何かが入ってくる。
わたしの中へ、何かが入ってくる。
わたしの中へ、何かが入ってくる。
・・中へ、・・・何かが入ってくる。
・・・・■■■■の中へ、・・何かが、・・入ってくる・
・・・・■、■■、・・入ってくる・!■■■・・・・!!
「ありゃ、自殺だぜ」
「いくら龍の表面が無限の硬度を持っていたとしても、中の奴は即死だね」
それを聞いていた、年長の少年が首を振る。
「いや、キャプテンドラゴンは、自殺するような男じゃない。だいたい、龍が表面を次元断層の皮膜で覆われているという仮説自体が間違っているのだろう。やはり、奴は伝説にあるように、一つの閉鎖した宇宙であり、奴の中は別の次元界と思ったほうがいい」
「馬鹿な」
「しかし、ブラックソルはそれよりも馬鹿げた存在にダイブをしかけてるんだぜ」
「そうは言っても、」
モニターを監視していた少年が、声をあげる。
「おい、地中を振動体が移動している。もうすぐこの真下へ来る」
「まさか?」
「ああ」
少年たちは、あきれたように顔を見合わせる。
「多分、龍だ」
ギガンティスの司令室に衝撃が走り、一瞬すべての警報が鳴り響く。やがてそれも停止し、照明も死んだ。龍は、巨大な宇宙戦艦の内部へ喰らい込んでいる。
ギガンティスは、一撃でその心臓を、貫かれた。
荒れ果てた大地に君臨する巨大な電子要塞は、壮大な鉄の棺と化している。龍は、その内部を存分に食い荒らし終えると、身を翻して地下へと向かう。
さらなる深みへと。
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メイは、狂気の炎に抱かれている気がした。漆黒の巨人はメイから見ると、狂った情報体にしか思えない。その中では、伝達する情報の時系列や、構成される論理系の因果律がずたずたに破壊されていた。
事象は原因を作りだし、情報は天空に雷が煌めくように、無から生成される。漆黒の巨人の中で無限に展開していく情報は、言語のカレイドスコープを思わせた。メイの意識は、混濁したデータの渦にのみ込まれる。しかし、その全てをブラックソルは明晰な意識により、メタレベルで把握しているのだろうと感じた。
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銀河そのものにみえる、銀色に輝き渦巻く大樹に磔にされた漆黒の巨人の金色に輝く瞳の下に、紅い裂け目が出現する。それは、巨人の口であった。深紅の裂け目は大きく広がり、漆黒の牙が覗く。
黒い巨人は、剥き出した牙を、銀色の巨人の首筋へと突き立てた。銀色の巨人は、微かに身震いしたように見える。
メイは思念で、絶叫を上げた。
メイの思考は限界点を突破し、意識は制御を失って半ば夢の中に入り込んだようになる。
メイは、こころの中で何度も叫んだ。
わたしの中へ、何かが入ってくる。
わたしの中へ、何かが入ってくる。
わたしの中へ、何かが入ってくる。
・・中へ、・・・何かが入ってくる。
・・・・■■■■の中へ、・・何かが、・・入ってくる・
・・・・■、■■、・・入ってくる・!■■■・・・・!!
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