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第三話
しおりを挟むエリカが、不機嫌な声を上げる。
「愚痴は、いいよ。それより、そのブルシット・モンスターをどうするかだよ」
ロミオが、頷く。
「ブシェミ君、そのモンスターの情報は、レポートに載ってますか?」
ブシェミは、頷く。
「マンティコア、脅威度ランクBです。ネイムドではないですが、十分危険です」
エリカは、ロミオとカタギリの顔を交互に見る。
「ロミオさんって、Bランクライセンスのダンジョンガイドだよね。脅威度Bなら、対応できる?」
カタギリは、渋い顔をする。
「Bランクのガイドが脅威度Bのモンスターとエンカウントした場合の生還率は、50%だ。だが、傷ついて怒りを孕んだモンスターならB+からAー相当とみなすのが一般的だな」
ロミオは、カタギリの言葉に頷く。
「脅威度Bランクのモンスターは、Cランクまでのモンスターと存在の有様が違います」
「え、どういう意味?」
エリカは、ロミオの言葉に問いを投げる。ロミオはいつものように薄く笑みを浮かべた紅い唇から、言葉をこぼす。
「Cランクまではタンジョンで自然発生したモンスターですが、Bランク以上は邪神や魔族が生物兵器として造り上げた存在なのです」
エリカは、驚きで目を見開く。
「兵器ですって?」
ロミオは、頷いた。
「だから、容易にひととは関わろうとしません。が、ひとと関わった時には、必殺の意志を持っています。彼、もしくは彼女は殺すまで戦い抜くでしょう」
エリカは、少しため息をつく。
「逃げられるかしら」
ロミオはエリカの問いに、首を横にふった。
「場所が、よくありません。橋の上、ですからね。多分もう逃すことはないと踏んだので、奴は気配を漏らしたんでしょう」
エリカが突然にんまりと笑みを浮かべ、カタギリとロミオが呆れ顔になる。
「いいじゃん、この絶対絶命感。これぞダンジョン探索、って奴だよね」
カタギリが、やれやれと首を振った。エリカは、獰猛と言ってもいいような笑みを浮かべている。
「当然、こっから足掻くんでしょう?」
ロミオが頷く。
「やれる限りのことは、しますよ」
カタギリは少し唸ると、ブシェミに問いを投げる。
「なあ、この近くに応援を頼めそうなパーティはいるか?」
ブシェミは、眉間に皺を寄せヴァーチャルコンソールを睨む。
「提出されているダンジョン探索計画書のうち、ひとつがこのエリア探索のようなんですが。ちょっと当てには、ならないかな」
カタギリが、片方の眉を上げる。
「それは、どういうことかな?」
「計画を提示しているのは、ダンジョンシーカーなんですよね」
ああ、とカタギリは首をふる。エリカもダンジョンシーカーのことは、聞いていた。それは、ダンジョンの最深部まで探索することに成功したひとに与えられる称号である。世界に、十三人しかいないはずであった。
もし、そのダンジョンシーカーがこのエリアを探索していたとしても、ずっと奥深いところ、最下層レベルまで潜っているはずだ。彼女たちがいるのは、まだダンジョンの中階層といえる二十七階だった。あまり当てにしない方が、良さそうに思える。
「何にせよ、SOSのアラートは発信しておきましょう。助けが、間に合わないにしても」
このエリアが危険であるという認識を周知するために、必要なことなのだろうとエリカは思う。ロミオの言葉をうけ、ブシェミはヴァーチャルコンソールを操作する。
ロミオは、それを見つめていたが意を決したように顔をあげた。
「では、作戦開始前のブリーフィングをはじめましょう。カゴメ、あなたもきてもらえますか」
ロミオの言葉を受け、アサルトライフルを手にして周囲を警戒していたおんなの子がやってくる。少年のように髪を短くした、小柄な女性だ。確か、魔法大学の学生をしながらアルバイトでダンジョンガイドしている子だ。
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