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第七話
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中庭は、爆笑と歓声にのみこまれている。ダンジョン・エクスプローラーやダンジョン・ガイドは、FASTを嫌っていた。自由に生きようとする彼らを、何かと管理しようとする存在だからかもしれない。たんに、権威を傘にきる態度が好まれないだけとも思える。
いずれにせよ、彼らにとってFASTの傲慢なおんなが酒まみれになるのはいい出し物だったらしい。歓声と野次が、中庭で渦を巻く。
アグネスは、蒼褪めた顔でトキオを睨むと無言のまま立ち去ってゆく。トキオは、優雅に礼をした。
隻眼の老人は、うんざりしたようにため息をついた。
「こんなくだらないことをさせるために、あなたに浸透勁を教えたのではございません」
トキオは、驚いた顔になる。
「え、ただのパーティジョークだよ」
老人は、やれやれと首をふる。
「本土であれば、ラーゲリ送りものです」
トキオは、呆れ声をだす。
「ラーゲリって。再教育センタだろ。でも、ここは本土じゃない。死者の王、ネクロマンサー・ベリアル王の統べる島だ」
老人は不機嫌な目つきで、トキオの屈託のない顔を見ている。トキオはさらに何か言おうとして口を開きかけ、閉じた。目が宙をみつめ、なにかに集中するような表情となる。
ヒースは、トキオが耳につけているピアスをみた。それは、青い光を点滅させている。骨伝導イヤホンに、何かを受診したらしい。
そして、喉元につけたチョーカを操作し骨伝導マイクのスイッチをいれた。
小声で何かを、会話する。その会話は、すぐに終わった。トキオは、眉間に皺をよせ深くため息をつく。
「やっかいごとか?」
ヒースのかけた声に、少し口元を笑みの形に歪めトキオはこたえる。
「どうやら、グリモワールが盗まれたようだ。災害級の魔神が、召喚される可能性がある」
ヒースは、肩をすくめた。
「警察からの、依頼ということかな」
トキオは、頷く。
「ああ、黒天狐への依頼だよ」
トキオは、隻眼の老人に目をむけた。
「アカワ、後をたのむ。うまく、やっといてくれ」
アカワは、無言で礼をする。トキオは元の笑顔に戻ると、賓客たちに軽く礼をしながらバルコニーから室内へとむかう。ヒースはそのあとに、続いた。
「友よ、君もきてくれるか?」
「ガイドは引退した身だから、あまり期待はしてくれるなよ」
トキオは、くすりと笑う。
「なに、昔のように戦いの楽しみをわかち合うだけだよ」
ヒースは、苦笑を返した。
いずれにせよ、彼らにとってFASTの傲慢なおんなが酒まみれになるのはいい出し物だったらしい。歓声と野次が、中庭で渦を巻く。
アグネスは、蒼褪めた顔でトキオを睨むと無言のまま立ち去ってゆく。トキオは、優雅に礼をした。
隻眼の老人は、うんざりしたようにため息をついた。
「こんなくだらないことをさせるために、あなたに浸透勁を教えたのではございません」
トキオは、驚いた顔になる。
「え、ただのパーティジョークだよ」
老人は、やれやれと首をふる。
「本土であれば、ラーゲリ送りものです」
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「ラーゲリって。再教育センタだろ。でも、ここは本土じゃない。死者の王、ネクロマンサー・ベリアル王の統べる島だ」
老人は不機嫌な目つきで、トキオの屈託のない顔を見ている。トキオはさらに何か言おうとして口を開きかけ、閉じた。目が宙をみつめ、なにかに集中するような表情となる。
ヒースは、トキオが耳につけているピアスをみた。それは、青い光を点滅させている。骨伝導イヤホンに、何かを受診したらしい。
そして、喉元につけたチョーカを操作し骨伝導マイクのスイッチをいれた。
小声で何かを、会話する。その会話は、すぐに終わった。トキオは、眉間に皺をよせ深くため息をつく。
「やっかいごとか?」
ヒースのかけた声に、少し口元を笑みの形に歪めトキオはこたえる。
「どうやら、グリモワールが盗まれたようだ。災害級の魔神が、召喚される可能性がある」
ヒースは、肩をすくめた。
「警察からの、依頼ということかな」
トキオは、頷く。
「ああ、黒天狐への依頼だよ」
トキオは、隻眼の老人に目をむけた。
「アカワ、後をたのむ。うまく、やっといてくれ」
アカワは、無言で礼をする。トキオは元の笑顔に戻ると、賓客たちに軽く礼をしながらバルコニーから室内へとむかう。ヒースはそのあとに、続いた。
「友よ、君もきてくれるか?」
「ガイドは引退した身だから、あまり期待はしてくれるなよ」
トキオは、くすりと笑う。
「なに、昔のように戦いの楽しみをわかち合うだけだよ」
ヒースは、苦笑を返した。
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