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第八話
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憑神は、やれやれといった表情で少年に向き合う。
「なんだか、またややこしそうなのが、来たみたいですよ」
憑神が指差すほうに、月の光を浴びて金色に輝く竜がいた。
どうやら、ドラゴネット程度の小型にみえるその竜は、館の屋根に着地するつもりらしい。
地獄の獣がごとき凶々しい姿をした竜は、背に異形の天使を乗せている。
天使は、この世の外から訪れたものにこそ相応しい人外の美貌を持ち、白銀に輝く翼は畳まれているが神秘的な光を放っていた。
ただその右腕には、おぞましい瘴気を放つ蛇が巻き付いていたのだが。
天使の後ろから、ひとりの少女が降りてくる。
その少女は、夜のように黒い生地のドレスを淡雪のような白いレースで飾ったゴシックロリータふうの衣装を纏っていた。
少女は、スカートの裾を掴み礼をとる。
「ご機嫌麗しゅう、魔界の王子にあらせられるケイン殿下。プラハの魔法協会から謹んでご挨拶に参りました」
少年は、珍しいものを見るように少女を見る。
「ああ、プラハのねぇ」
「ヴァチカンの抹殺機関が退散してからくるあたり、いかにもですな」
フランケンシュタインは少し皮肉な笑みを浮かべたが、少女は笑みを浮かべて受け流す。
「ヴァチカンとはよい関係を続けたいと、思っておりますゆえ」
「よい関係って。まあ、ヴァチカンがナグ・ハマディ文書を聖典として認めてくれるといいね」
少年の言葉に、少女は笑みを浮かべて頷く。
「本当に、そう思いますわ」
「で、後ろにいるのはアスタロト閣下だね。その若さで、地獄の大公爵を召喚して使役とは優秀だね。名前はなんていうの?」
少女は、深く頭をさげる。
「過分なお言葉、恐れ入ります。わたしは、花苑院理図と申します」
「なんという嘆かわしいことだ、公爵閣下」
詩人のような白皙の顔を憂鬱に曇らせたドラキュラが、首をふる。
「あなたほどの方が、ひとの使い魔とは。本来であれば我らとともに、殿下と並ぶべきでしょうに」
竜に跨った天使は、美しい顔に少し妖艶な笑みを浮かべた。
「あー、なんか面白そうだから見学に来ただけよ。お久しぶり、ぼっちゃん」
天使の言葉に、少年は頷く。
「アスタロト閣下も元気そうで、なによりだね」
「プラハもなんでまた、花苑院の狂姫なんぞを使いによこすかね」
憑神は、やれやれと首を振った。
少女が険悪に、目を光らせる。
「式神風情が言ってくれるわね。あなたこそ、本来わたしの側にさぶらうべきでしょ」
憑神が、苦笑した。
「あんたとこは、物部と賀茂の系譜だろ。おれを作ったのは土御門系だから、あんたが土御門に頭を垂れれば、あんたに仕えることになるね」
少女は、失笑する。
「ナグ・ハマディ文書が、聖典になるくらいありえない」
少年が、笑い声をあげる。
「ヴァチカンと良い関係は、今世紀中は無理そうかな」
少女は無言で、頭を下げた。
「なんだか、またややこしそうなのが、来たみたいですよ」
憑神が指差すほうに、月の光を浴びて金色に輝く竜がいた。
どうやら、ドラゴネット程度の小型にみえるその竜は、館の屋根に着地するつもりらしい。
地獄の獣がごとき凶々しい姿をした竜は、背に異形の天使を乗せている。
天使は、この世の外から訪れたものにこそ相応しい人外の美貌を持ち、白銀に輝く翼は畳まれているが神秘的な光を放っていた。
ただその右腕には、おぞましい瘴気を放つ蛇が巻き付いていたのだが。
天使の後ろから、ひとりの少女が降りてくる。
その少女は、夜のように黒い生地のドレスを淡雪のような白いレースで飾ったゴシックロリータふうの衣装を纏っていた。
少女は、スカートの裾を掴み礼をとる。
「ご機嫌麗しゅう、魔界の王子にあらせられるケイン殿下。プラハの魔法協会から謹んでご挨拶に参りました」
少年は、珍しいものを見るように少女を見る。
「ああ、プラハのねぇ」
「ヴァチカンの抹殺機関が退散してからくるあたり、いかにもですな」
フランケンシュタインは少し皮肉な笑みを浮かべたが、少女は笑みを浮かべて受け流す。
「ヴァチカンとはよい関係を続けたいと、思っておりますゆえ」
「よい関係って。まあ、ヴァチカンがナグ・ハマディ文書を聖典として認めてくれるといいね」
少年の言葉に、少女は笑みを浮かべて頷く。
「本当に、そう思いますわ」
「で、後ろにいるのはアスタロト閣下だね。その若さで、地獄の大公爵を召喚して使役とは優秀だね。名前はなんていうの?」
少女は、深く頭をさげる。
「過分なお言葉、恐れ入ります。わたしは、花苑院理図と申します」
「なんという嘆かわしいことだ、公爵閣下」
詩人のような白皙の顔を憂鬱に曇らせたドラキュラが、首をふる。
「あなたほどの方が、ひとの使い魔とは。本来であれば我らとともに、殿下と並ぶべきでしょうに」
竜に跨った天使は、美しい顔に少し妖艶な笑みを浮かべた。
「あー、なんか面白そうだから見学に来ただけよ。お久しぶり、ぼっちゃん」
天使の言葉に、少年は頷く。
「アスタロト閣下も元気そうで、なによりだね」
「プラハもなんでまた、花苑院の狂姫なんぞを使いによこすかね」
憑神は、やれやれと首を振った。
少女が険悪に、目を光らせる。
「式神風情が言ってくれるわね。あなたこそ、本来わたしの側にさぶらうべきでしょ」
憑神が、苦笑した。
「あんたとこは、物部と賀茂の系譜だろ。おれを作ったのは土御門系だから、あんたが土御門に頭を垂れれば、あんたに仕えることになるね」
少女は、失笑する。
「ナグ・ハマディ文書が、聖典になるくらいありえない」
少年が、笑い声をあげる。
「ヴァチカンと良い関係は、今世紀中は無理そうかな」
少女は無言で、頭を下げた。
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