【R18】モンスター・プリンス

ヒルナギ

文字の大きさ
7 / 10

第七話

しおりを挟む
 少年は、困った顔をしてエイレシアとエンハウンスを交互に見る。

「だいたい彼らはひとじゃなくて、怪物でしょ。僕等と一緒の」

「なるほど」

 腕組みをして、顎に手をあてたフランケンシュタインが頷く。

「そう言われてみれば、そんな気もしますな」

「ふざけるな!」

 エイレシアは、絶叫するように叫んだ。

「遊びじゃないぞ、これは。大体わたしは、人間だ!」

「ほらあ、泣かしちゃったじゃないですか。殿下が、大事なおもちゃ壊すから」

 憑神は、たしなめるように言った。

 エイレシアは、本当に泣き出しそうな顔になって憑神を睨む。

 少年は、頭をさげた。

「そっかあ、ごめんなあ」

「貴様」

 エイレシアがまた叫びだそうとするのを、フランケンシュタインが遮る。

「怪物と戦うものは、怪物になることを恐れなければならない。深淵を覗き込むものはまた、深淵から覗かれているのだから。そう、昔会った哲学者は言っていたぞ、エイレシア」

 エイレシアは、複雑な表情をしてフランケンシュタインを見る。

 フランケンシュタインは、その異相に笑みを浮かべた。

 少年は、虚空に浮いた扉を指差す。

「まあ、お詫びといっちゃあなんだけど、モンスターランドに招待してもいいよ」

 扉の向こうは、虹色に輝いている。

「君たちの師匠になる、世界の中心の木に吊るされたおとこもいるよ。こないだ、僕の父さんとチェスをしていたさ」

 エイレシアは、息をのんだ。

「主が、その向こうにいるというのか」

 少年は、にこにこ微笑む。

「うん、この向こうにはオーディンやロキそれにゼウスやハデスもいるし、ミカエルもベルゼバブだっているさ」

 エイレシアは、魅了された表情になって一歩扉に向かって踏み出そうとする。

「おい、エイレシア」

 戸惑ったような声を、エンハウンスが発した。

 その声で、エイレシアは我にかえる。

「確かに、夜は今宵だけではない、そうだったな、フランケンシュタイン」

 エイレシアの言葉に、フランケンシュタインは笑みを浮かべて頷く。

「また会おう、金星の落とし子よ」

 エイレシアは、言葉を残して闇に消えてゆく。

 エンハウンスも、それに続いた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

【アラウコの叫び 】第1巻/16世紀の南米史

ヘロヘロデス
歴史・時代
【毎日07:20投稿】 1500年以降から300年に渡り繰り広げられた「アラウコ戦争」を題材にした物語です。 マプチェ族とスペイン勢力との激突だけでなく、 スペイン勢力内部での覇権争い、 そしてインカ帝国と複雑に様々な勢力が絡み合っていきます。 ※ 現地の友人からの情報や様々な文献を元に史実に基づいて描かれている部分もあれば、 フィクションも混在しています。 また動画制作などを視野に入れてる為、脚本として使いやすい様に、基本は会話形式で書いています。 HPでは人物紹介や年表等、最新話を先行公開しています。 公式HP:アラウコの叫び youtubeチャンネル名:ヘロヘロデス insta:herohero_agency tiktok:herohero_agency

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

王国の女王即位を巡るレイラとカンナの双子王女姉妹バトル

ヒロワークス
ファンタジー
豊かな大国アピル国の国王は、自らの跡継ぎに悩んでいた。長男がおらず、2人の双子姉妹しかいないからだ。 しかも、その双子姉妹レイラとカンナは、2人とも王妃の美貌を引き継ぎ、学問にも武術にも優れている。 甲乙つけがたい実力を持つ2人に、国王は、相談してどちらが女王になるか決めるよう命じる。 2人の相談は決裂し、体を使った激しいバトルで決着を図ろうとするのだった。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

処理中です...