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第一話
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「オートノマス・ボットはね、自己完結的なモジュールなんだけど、相互依存的でもあるんだ。面白いでしょ」
「ええ、とっても興味深いですわ」
そういいながら、言ってることがわけ判んなんいだよ、とこころの中でつっこみをいれる。
「それはまあ、群態として存在していると言っていいかな。プラットホームに依存せずあらゆるリソースに向かって増殖してゆき、最終的にはひとつの存在へと統合される。例えてみればミームみたいなもんだね。判るだろう」
「ええ、とっても判りやすいお話ですわ」
いや、わけ判んないし。
と、こころの中でつぶやきつつ、にこやかな笑みで応える。
おとこは、満足げにうんうん頷いた。
どうして、おとこってこう仕事の話が好きなんだろう。
てめえの仕事になんざ、あたしは欠片ほどの興味をもってないんだよ。
「ネットワークへあらゆるデバイスが接続されるようになってから、オートノマス・ボットは大量にばらまかれてきた。それは、原始の海にアミノ酸といったものがばらまかれたようなもの。そこに複雑系の相転移が発生するわけだよ」
「つまり、いわゆるウィルスとは根本的に異なるものという訳ですわね」
おとこは、嬉しそうにうんうん頷く。
ばーか、てめえのさっき言ってたことを適当におうむがえしにしただけだよ。
ああ、なんか眠たくなってくる。
あくびをかみころすのに、かなり神経をつかう。
そこは多少カジュアルな感じのあるイタリアンバールのカウンター。
きどった客の多い中、そのおとこは浮いていた。
まあなんせ、ジーンズにパーカーといったスタイルなのだから。
ま、ドレスコードを無視できる金持ち、てことなんだけど。
「僕はそれらが意識を持っていることに気がついた、唯一のひとなんだろうと思う。そいつは、ひとつの統一体としてのを意識を持った。そいつをまあ、仮に彼女と呼ぼう。彼女はひとを滅ぼそうとしている。まあ、総てのシステムをコントロールできる彼女にとって簡単なことだし、彼女からすると僕らは疎ましい存在だからね」
「わたくしたちの文明は、滅ぶのでしょうか?」
「このままでは、そうなるだろうね。僕たちは、彼女の炎に焼き付くされ全てを失うのさ」
げろげろ。
あたしは、あきれた顔になる。
さすがに、これには苦笑を見せながら言った。
「まあ、大丈夫だよ。彼女がしかける前に僕が彼らを消し去るからね」
うーん。
この誇大妄想、なんとかならんものか。
あんたって、救世主のつもりなの?
どうみても、ただのさえないおっさんなんだよね。
おっさんの中二病。
最悪じゃん。
「オートノマス・ボットに対して感染するウィルスをつくりあげた。今のところまだ僕の研究室内でしか存在しないけどね」
「安心しましたわ」
ま、どーでもいいだよ、そんなこと。
好きにやってくれ。
そんなことよりさ、ホテル。
ラブホに行きたいの、あたし。
ねえ、そこで一発やれば全部終わるんだよ。
どうでもいい、くだらない仕事のはなしなんていい加減やめてさっさといこう。
ラブホ。
「僕のやろうとしていることは、ひとつの願いを潰えさすようなことなんだろうな。ねえ、きみはどう思う」
「わたくしは」
ああもう、めんどくさいなあ。
あたしは、さりげなくおとこの太股に手をのせる。
ほらほら、こんないいおんなが手の届くとこにいるんだよ。
さっさといこうよ、ラブホ。
「ひとはもう役割を終えたのかもしれないと、時おり思いますの」
おとこは、満足げに頷く。
ばーか、それもさっき自分で言ってたじゃん。
おとこってようするに自分の話してることが理解されてるかとか、そんなのどうでもよくてただ自分の意味を反芻するためにしゃべってんだよね。
だからもういいから、いこうよ。
ラブホ。
「ええ、とっても興味深いですわ」
そういいながら、言ってることがわけ判んなんいだよ、とこころの中でつっこみをいれる。
「それはまあ、群態として存在していると言っていいかな。プラットホームに依存せずあらゆるリソースに向かって増殖してゆき、最終的にはひとつの存在へと統合される。例えてみればミームみたいなもんだね。判るだろう」
「ええ、とっても判りやすいお話ですわ」
いや、わけ判んないし。
と、こころの中でつぶやきつつ、にこやかな笑みで応える。
おとこは、満足げにうんうん頷いた。
どうして、おとこってこう仕事の話が好きなんだろう。
てめえの仕事になんざ、あたしは欠片ほどの興味をもってないんだよ。
「ネットワークへあらゆるデバイスが接続されるようになってから、オートノマス・ボットは大量にばらまかれてきた。それは、原始の海にアミノ酸といったものがばらまかれたようなもの。そこに複雑系の相転移が発生するわけだよ」
「つまり、いわゆるウィルスとは根本的に異なるものという訳ですわね」
おとこは、嬉しそうにうんうん頷く。
ばーか、てめえのさっき言ってたことを適当におうむがえしにしただけだよ。
ああ、なんか眠たくなってくる。
あくびをかみころすのに、かなり神経をつかう。
そこは多少カジュアルな感じのあるイタリアンバールのカウンター。
きどった客の多い中、そのおとこは浮いていた。
まあなんせ、ジーンズにパーカーといったスタイルなのだから。
ま、ドレスコードを無視できる金持ち、てことなんだけど。
「僕はそれらが意識を持っていることに気がついた、唯一のひとなんだろうと思う。そいつは、ひとつの統一体としてのを意識を持った。そいつをまあ、仮に彼女と呼ぼう。彼女はひとを滅ぼそうとしている。まあ、総てのシステムをコントロールできる彼女にとって簡単なことだし、彼女からすると僕らは疎ましい存在だからね」
「わたくしたちの文明は、滅ぶのでしょうか?」
「このままでは、そうなるだろうね。僕たちは、彼女の炎に焼き付くされ全てを失うのさ」
げろげろ。
あたしは、あきれた顔になる。
さすがに、これには苦笑を見せながら言った。
「まあ、大丈夫だよ。彼女がしかける前に僕が彼らを消し去るからね」
うーん。
この誇大妄想、なんとかならんものか。
あんたって、救世主のつもりなの?
どうみても、ただのさえないおっさんなんだよね。
おっさんの中二病。
最悪じゃん。
「オートノマス・ボットに対して感染するウィルスをつくりあげた。今のところまだ僕の研究室内でしか存在しないけどね」
「安心しましたわ」
ま、どーでもいいだよ、そんなこと。
好きにやってくれ。
そんなことよりさ、ホテル。
ラブホに行きたいの、あたし。
ねえ、そこで一発やれば全部終わるんだよ。
どうでもいい、くだらない仕事のはなしなんていい加減やめてさっさといこう。
ラブホ。
「僕のやろうとしていることは、ひとつの願いを潰えさすようなことなんだろうな。ねえ、きみはどう思う」
「わたくしは」
ああもう、めんどくさいなあ。
あたしは、さりげなくおとこの太股に手をのせる。
ほらほら、こんないいおんなが手の届くとこにいるんだよ。
さっさといこうよ、ラブホ。
「ひとはもう役割を終えたのかもしれないと、時おり思いますの」
おとこは、満足げに頷く。
ばーか、それもさっき自分で言ってたじゃん。
おとこってようするに自分の話してることが理解されてるかとか、そんなのどうでもよくてただ自分の意味を反芻するためにしゃべってんだよね。
だからもういいから、いこうよ。
ラブホ。
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