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[Worldtrace2]
VSブロート・ハーベイ2
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ブロートは左手の上で魔力を旋回させる。更にその下から火を出現させ巻き上げる。それクリスへと投げた。
マーク「な!炎の竜巻だと!」
流石にマークも目を開けて確認する。
クリス「はぁ、大広間がめちゃくちゃだな。」
ブロート「貴様が選択したんだ。文句は御門違いだぞ。」
クリスは左手で水の玉を生成し、投げつけ消火する。当然ながら、水蒸気が発生し視界が塞がる。
マーク「クリス様!」
クリス「落ち着け。僕は大丈夫だ。」
声のお陰でマークの位置は把握出来ている。しかしこの視界でブロートを発見するは難しいかも知れない。だが今の状況は以前、砂掛けで目をやられた時と似ている。
その時、前方からガチッと音がした。クリスは思うブロートがさっき放った魔法で剥がれた床だと。恐らく踏み付けたのだろう。続けて右側面からタンと音が鳴った。更に真後ろからも脚音が聞こえた。ブロートはクリスを撹乱する為、周りを走っていた。すると今度は前方でまたガチンと音がする。あの割れた床だろう。ただ何となく割れた床と位置が違う様に感じる。
クリスは意識を耳に集める。ヒューと風の流れる様な音を聞く。位置は・・・。
ブロート「死ねぇい!」
クリス「は!」
ギリィンっと音を立てる。左側から迫る攻撃をクリスは受け止める。
ブロート「く!貴様!」
クリス「ふぅ、やはり先生は凄いですね。下手をすれば僕は今、死んでいたでしょう。」
ブロート「チッ!ならば大人しくくたばれば良い!」
マーク「これ以上、好きにはさせん!」
マークが風を起こし水蒸気を吹き飛ばす。ブロートが睨むとマークは既に目を閉じ、洗脳を回避していた。
ブロート「くそ!」
クリスは、ブロートの意識が自分に向いていない今を見逃さず剣を跳ね上げる。
ブロート「うお!」
クリスはすかさずブロートの胸元にバツの字を刻む。
ブロート「ぐわ!こいつ!・・・喰らえ!」
クリス「そうはいきませんよ!」
ブロートの動きに合わせクリスも剣振り下ろす。何度か打ち合った所為か、バキンとブロートの剣が折れる。
ブロート「な!」
クリス「これで終わりです!」
クリスの突きがブロートの顔に迫る。
ブロート「舐めるなよ!」
ブロートは自分の魔力を右手に集め炎の剣を作り、クリスの剣を受け止める。ブロートはその間に自分の魔力を左手にも集め、石の盾を作る。
クリス「!」
ブロート「始めからこうすれば良かった。邪眼を使うより魔力を喰うからやりたく無かったがな。」
お互い距離を取る。ブロートはフェンシングの構えから、盾で身体を隠す構えに変える。クリスはいつも通りに構え、試しにと正面へ踏み込み突きを放つ。
クリス「く!」
石の盾は硬く簡単には貫く事は出来なかった。クリスは剣を弾かれ体勢を崩す。
だが、一方のブロートも顔には出さないが追い詰められていた。本来なら、最初の洗脳が成功していれば仕事は終了だった。
しかし、クリスはその洗脳を跳ね除け歯向かって来た。とは言えデータ通りのクリスならばここで仕留められた。
術式も無くただ魔力を回転させ、そこに火を流し適当に炎の竜巻を作って打つける。それだけで簡単に終わる筈だった。
だが予想に反しクリスは無事だ。それ所か盾と剣を自分の魔法で創造しそれを維持する為、常に魔力を消費せざるを得ない状況に陥った。これが窮地と言わずに何と言うのか。
ブロート「喰らえ!」
ブロートは炎の剣を真っ直ぐ振り下ろす。クリスは体勢は崩していたが、床に倒れ込む形で躱す。そのまま床を転がり距離を取る。盾がある為、先程と違い難易度が上がった。ここでなんとか一撃を当て相手の防御を崩し、そこから一気に攻めて討ち取る。それが理想的だろう。ただ言うのは簡単だが実際にやり遂げるのは楽では無いだろう。だが、ここで退く訳にも行かない。
クリスは深呼吸をして改めて構え直す。ブロートも盾を前に身体を隠しながら接近する。
クリスは戦いの最中だが姉、アイリスと遊んでいた時の事を思い出す。姉は勉強も運動も出来た。それも産まれて間も無くの頃からと聞いた。その姉は初級の魔法を簡単に覚え自分で創作した魔法も使っていた。そんな姉と子供の頃に遊びとして覚えた魔法がある。
背中に当てた左手に魔力を集め、その魔法を放つ。
クリス「[Icebullet]!」
姉と遊んでいた時の様に左手の親指と人差し指を立てるとブロート目掛け、氷の玉を撃ち出す。
ブロート「チッ!」
ブロートは石の盾で払い除ける。クリスはその一瞬で、ブロートとの距離を詰める。クリスが攻めて来るのを理解していたブロートも、その突きに合わせ踏み込む。
ブロートは剣を下から突き上げ軌道を逸らす。
クリス「く!」
そのまま弧を描く様に右側へ押し込む。
ブロート「フンッ!」
クリス「な!」
ブロートは力を込め、クリスのレイピアをへし折る。
ブロート「終わりだ!」
マーク「クリス様!?」
クリス「く!まだだ!」
クリスは振り下ろされた攻撃をレイピアの鍔で受け止める。そんな時、敵を見据えていたクリスの右頬に痛みが走る。ブロートがクリスを石の盾で殴ったからだ。クリスは千鳥脚で退がり膝を突く。
マーク「クリス様!大丈夫ですか!」
間の抜けた絵だが、洗脳される訳にはいかないマークは未だに目を閉じていてはっきり状況が掴めていなかった。
クリス「ああ、大丈夫だ。」
ブロート「そんな綺麗な顔だ。殴られた事なんて無いんじゃないか?」
クリス「フッ、その発言は今回で2回目ですよ。」
ブロート「はっ!何の話だ!」
口の右端からは血が出ている。しかしクリスは意外にも落ち着いていた。視察で訪れた時の喧嘩騒ぎ、そして魔族の襲撃事件。あの時の経験が今、正に自分を護っている。クリスはブロートの盾を真似て、レイピアの刀身に土魔法で石の刃を作る。
クリス「中々、疲れる作業ですね。」
ブロート「貴様!」
またお互い距離を詰める。クリスは突きの仕草をする。ブロートは迎え討つ為、盾を構える。クリスは軌道を変え、盾を跳ね除ける。クリスが剣を振り下ろすとブロートも剣で受け止める。クリスは次の攻撃を躱す為、直ぐにその場を離れる。先程と同じくブロートの盾による殴打を放っていた。
ブロート「くそ!」
2度も同じ手を喰らう訳にはいかない。なんとか回避は成功させたが、まだ攻撃は続く。右の斬撃と左の殴打。その連撃に対応しながら打開策を考える。
盾と剣、騎士の基本と言える構え。その盾が邪魔だ。それに跳ね除けたとしても、次の動きに移る頃には敵が攻撃を開始している。
理想は盾を腕から外させるか、破壊する事が望ましいだろう。盾を破壊しつつ攻撃する。自分の持っている手札でそれが可能な技はある。剣の刀身を石で作ったのはそれを使う為の布石でもあった。しかしどの瞬間にそれを使うかはまだ決めていない。ただこのままならいよいよ覚悟を決めなければならない。放つなら一撃、1回限りだ。
クリスはただその瞬間を狙い、心の準備をする。
マーク「な!炎の竜巻だと!」
流石にマークも目を開けて確認する。
クリス「はぁ、大広間がめちゃくちゃだな。」
ブロート「貴様が選択したんだ。文句は御門違いだぞ。」
クリスは左手で水の玉を生成し、投げつけ消火する。当然ながら、水蒸気が発生し視界が塞がる。
マーク「クリス様!」
クリス「落ち着け。僕は大丈夫だ。」
声のお陰でマークの位置は把握出来ている。しかしこの視界でブロートを発見するは難しいかも知れない。だが今の状況は以前、砂掛けで目をやられた時と似ている。
その時、前方からガチッと音がした。クリスは思うブロートがさっき放った魔法で剥がれた床だと。恐らく踏み付けたのだろう。続けて右側面からタンと音が鳴った。更に真後ろからも脚音が聞こえた。ブロートはクリスを撹乱する為、周りを走っていた。すると今度は前方でまたガチンと音がする。あの割れた床だろう。ただ何となく割れた床と位置が違う様に感じる。
クリスは意識を耳に集める。ヒューと風の流れる様な音を聞く。位置は・・・。
ブロート「死ねぇい!」
クリス「は!」
ギリィンっと音を立てる。左側から迫る攻撃をクリスは受け止める。
ブロート「く!貴様!」
クリス「ふぅ、やはり先生は凄いですね。下手をすれば僕は今、死んでいたでしょう。」
ブロート「チッ!ならば大人しくくたばれば良い!」
マーク「これ以上、好きにはさせん!」
マークが風を起こし水蒸気を吹き飛ばす。ブロートが睨むとマークは既に目を閉じ、洗脳を回避していた。
ブロート「くそ!」
クリスは、ブロートの意識が自分に向いていない今を見逃さず剣を跳ね上げる。
ブロート「うお!」
クリスはすかさずブロートの胸元にバツの字を刻む。
ブロート「ぐわ!こいつ!・・・喰らえ!」
クリス「そうはいきませんよ!」
ブロートの動きに合わせクリスも剣振り下ろす。何度か打ち合った所為か、バキンとブロートの剣が折れる。
ブロート「な!」
クリス「これで終わりです!」
クリスの突きがブロートの顔に迫る。
ブロート「舐めるなよ!」
ブロートは自分の魔力を右手に集め炎の剣を作り、クリスの剣を受け止める。ブロートはその間に自分の魔力を左手にも集め、石の盾を作る。
クリス「!」
ブロート「始めからこうすれば良かった。邪眼を使うより魔力を喰うからやりたく無かったがな。」
お互い距離を取る。ブロートはフェンシングの構えから、盾で身体を隠す構えに変える。クリスはいつも通りに構え、試しにと正面へ踏み込み突きを放つ。
クリス「く!」
石の盾は硬く簡単には貫く事は出来なかった。クリスは剣を弾かれ体勢を崩す。
だが、一方のブロートも顔には出さないが追い詰められていた。本来なら、最初の洗脳が成功していれば仕事は終了だった。
しかし、クリスはその洗脳を跳ね除け歯向かって来た。とは言えデータ通りのクリスならばここで仕留められた。
術式も無くただ魔力を回転させ、そこに火を流し適当に炎の竜巻を作って打つける。それだけで簡単に終わる筈だった。
だが予想に反しクリスは無事だ。それ所か盾と剣を自分の魔法で創造しそれを維持する為、常に魔力を消費せざるを得ない状況に陥った。これが窮地と言わずに何と言うのか。
ブロート「喰らえ!」
ブロートは炎の剣を真っ直ぐ振り下ろす。クリスは体勢は崩していたが、床に倒れ込む形で躱す。そのまま床を転がり距離を取る。盾がある為、先程と違い難易度が上がった。ここでなんとか一撃を当て相手の防御を崩し、そこから一気に攻めて討ち取る。それが理想的だろう。ただ言うのは簡単だが実際にやり遂げるのは楽では無いだろう。だが、ここで退く訳にも行かない。
クリスは深呼吸をして改めて構え直す。ブロートも盾を前に身体を隠しながら接近する。
クリスは戦いの最中だが姉、アイリスと遊んでいた時の事を思い出す。姉は勉強も運動も出来た。それも産まれて間も無くの頃からと聞いた。その姉は初級の魔法を簡単に覚え自分で創作した魔法も使っていた。そんな姉と子供の頃に遊びとして覚えた魔法がある。
背中に当てた左手に魔力を集め、その魔法を放つ。
クリス「[Icebullet]!」
姉と遊んでいた時の様に左手の親指と人差し指を立てるとブロート目掛け、氷の玉を撃ち出す。
ブロート「チッ!」
ブロートは石の盾で払い除ける。クリスはその一瞬で、ブロートとの距離を詰める。クリスが攻めて来るのを理解していたブロートも、その突きに合わせ踏み込む。
ブロートは剣を下から突き上げ軌道を逸らす。
クリス「く!」
そのまま弧を描く様に右側へ押し込む。
ブロート「フンッ!」
クリス「な!」
ブロートは力を込め、クリスのレイピアをへし折る。
ブロート「終わりだ!」
マーク「クリス様!?」
クリス「く!まだだ!」
クリスは振り下ろされた攻撃をレイピアの鍔で受け止める。そんな時、敵を見据えていたクリスの右頬に痛みが走る。ブロートがクリスを石の盾で殴ったからだ。クリスは千鳥脚で退がり膝を突く。
マーク「クリス様!大丈夫ですか!」
間の抜けた絵だが、洗脳される訳にはいかないマークは未だに目を閉じていてはっきり状況が掴めていなかった。
クリス「ああ、大丈夫だ。」
ブロート「そんな綺麗な顔だ。殴られた事なんて無いんじゃないか?」
クリス「フッ、その発言は今回で2回目ですよ。」
ブロート「はっ!何の話だ!」
口の右端からは血が出ている。しかしクリスは意外にも落ち着いていた。視察で訪れた時の喧嘩騒ぎ、そして魔族の襲撃事件。あの時の経験が今、正に自分を護っている。クリスはブロートの盾を真似て、レイピアの刀身に土魔法で石の刃を作る。
クリス「中々、疲れる作業ですね。」
ブロート「貴様!」
またお互い距離を詰める。クリスは突きの仕草をする。ブロートは迎え討つ為、盾を構える。クリスは軌道を変え、盾を跳ね除ける。クリスが剣を振り下ろすとブロートも剣で受け止める。クリスは次の攻撃を躱す為、直ぐにその場を離れる。先程と同じくブロートの盾による殴打を放っていた。
ブロート「くそ!」
2度も同じ手を喰らう訳にはいかない。なんとか回避は成功させたが、まだ攻撃は続く。右の斬撃と左の殴打。その連撃に対応しながら打開策を考える。
盾と剣、騎士の基本と言える構え。その盾が邪魔だ。それに跳ね除けたとしても、次の動きに移る頃には敵が攻撃を開始している。
理想は盾を腕から外させるか、破壊する事が望ましいだろう。盾を破壊しつつ攻撃する。自分の持っている手札でそれが可能な技はある。剣の刀身を石で作ったのはそれを使う為の布石でもあった。しかしどの瞬間にそれを使うかはまだ決めていない。ただこのままならいよいよ覚悟を決めなければならない。放つなら一撃、1回限りだ。
クリスはただその瞬間を狙い、心の準備をする。
応援ありがとうございます!
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