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第10章…夏祭りでデート
浴衣
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美希との海水浴デートから1週間経過した。海、とても楽しかった。
だがお楽しみは海だけじゃない。夏休みはまだ始まったばかり。これからもっともっと美希と一緒にたくさん思い出を作りたい。
今日の夜、近所で夏の風物詩ともいえる大きなイベントがある。
それは、夏祭り。夏といえば祭り。
去年までは祭りと言われてもぜんぜん乗り気じゃなかった。
しかし、今年は違う。今年は可愛い彼女がいる。
彼女に浴衣を着せて、2人っきりでお祭りデートに行く! これは昔から抱いていた夢だ。この夢がついに叶う時がきた。
美希の浴衣姿を想像し、自分の部屋でドキドキしてしまう。
って、1人でドキドキしてどうする。行動しないとダメだろ、善は急げだ。さっそく美希を夏祭りデートに誘うぞ!
オレはスマホで美希に電話する。
トゥルルル……
心臓の鼓動が加速する。もし断られたらどうしようという恐怖感がオレを襲う。
ガチャ
『はい、もしもし』
「美希か? 竜だけど」
『竜先輩! 何かご用ですか?』
電話でも美希の声は可愛くて癒される。癒されるけどやっぱり誘うの緊張する。
「あ、あのさ、今日の夜、お祭りがあるんだけど、時間空いてたら、よかったら一緒に行かないか?」
ドキドキして上手く言えないけどなんとか用件を伝えた。
『……』
少し沈黙する美希。沈黙はほんの少しの間だけだけど、返事を待つのが怖くて緊張して全く余裕がない。
『お祭りですか? 夜ヒマですから大丈夫ですよ。何時にどこに行けばいいですか?』
美希からOKのサインが出て、ホッと胸を撫で下ろすオレ。
「今日の18時に、学校の校門で」
『はい、わかりました』
「あ、それと……浴衣着てきてほしい」
オレがそう言うと、スマホから美希のクスクスと笑う声が聞こえる。
『言われなくてもわかってますよ。楽しみに待っててくださいね』
電話を切る。今からもうドキドキワクワクが止まらない。
―――
17時45分。
オレは待ち合わせ場所の青葉高校の校門で美希を待つ。
美希の浴衣、楽しみだな。早く美希来ないかな……
―――18時10分頃。
約束の時間より10分ほど遅れて美希が来た。
「す、すいません竜先輩!! 遅れてしまいました……ハァ……ハァ……」
走ってきたのか、息を切らしていた。約束通り、浴衣姿だった。
おぉ……可愛い……!
美希のためなら10分くらい全然平気で待てる、と言いたいところだが正直言ってもしかしたら来ないんじゃないかって思って少し心細かった。
しかし美希の浴衣姿を見たら心細さなどどこかへ吹っ飛んでしまった。美希が来てくれただけで十分幸せだ。
走ってきたため多少着物が乱れていたが、それでも浴衣姿の美希はとってもキレイだ。美しすぎる。反則だろ、それ。
美希の浴衣はピンク色で花柄。赤い帯をつけていて、ウチワを右手に持っている。
美希の髪型がいつもと違う。ゆるふわ系の長い髪を結んでサイドテールにしている。結び目の部分に白い花の髪飾りをつけている。
普段の美希よりもちょっとだけ幼く見えてかなり可愛い。水着とはまた違った可愛さ。なんかもう、可愛すぎて抱きしめたくなる。
……って、浴衣の美希に見惚れているヒマがあったら息切れしてる美希を心配するべきだろう。そういうところだぞオレ。
「大丈夫か?」
「は……はい、もう落ち着きました」
「なんか急がしたみたいでごめん。もっと遅い時間にした方がよかったかな……」
「そんな、遅刻した私が悪いんですよ!浴衣を着るのに時間がかかってしまいまして……本当にすみません……」
深々と頭を下げる美希。
そんな丁寧に謝ることじゃないだろう。急に誘ったのはオレだし女の子は着付けとか準備に時間がかかるだろうしこんなことで怒るわけない。
「気にしないでくれ。それより浴衣すごく似合ってて可愛いよ、美希」
「……っ……!」
美希は顔をほんのりと赤く染め、オレの顔を見る。
う……自分で言っといて恥ずかしくなる。お互い照れる。
好きな女の子に対して『可愛い』という言葉を自然に言えるなんて……少し前のオレだったら考えられない。
オレ、美希と付き合い始めてから成長できてるような気がする。
「―――と、とにかく、祭りに行こう!ここからなら10分もかからない」
オレは美希の右手を握ってスタスタと歩き出す。
なんか無意識に手を握ってしまった。大胆な行動に自分でびっくりする。
今、美希と手を繋いでいる。激しくドキドキする。
美希はオレに引っ張られるように下駄をカタンカタンと鳴らしながら歩く。
「りゅ、竜先輩……手が汗ばんでます。大丈夫ですか?」
「!! あ、ごめん……!」
MAXに緊張していて手汗がヤバイことに。美希の清らかな手をオレの汚い汁で汚すわけにはいかない。
オレはとっさに手を離そうとするが、美希がオレの手をギュッと握って離さない。
「……っ、誰が離せって言いましたか……?」
「―――っ!!!!!!」
顔を真っ赤にして目を逸らす美希が破壊力強すぎてオレは浄化されていく。
―――10分後。
夏祭りが行われている神社に到着。
たくさんの人で賑わっている。金魚すくい、輪投げ、かき氷、チョコバナナ、フランクフルトなど、いろいろな店が並んでいる。
「わぁ、すごく人がいっぱいいますね」
口に手を当てて、目をパッチリと開いて驚く美希。可愛い。
「そんじゃ、屋台回ろう。美希、なんか欲しい物ある? オレが奢る」
「え、奢ってくれるんですか!?」
「当然」
なんで意外そうな顔をするんだ。オレが誘ったんだし浴衣を着る手間までかけさせたんだし彼氏としてこのくらい当たり前だ。美希のためにたくさん金を用意してきた。
「ありがとうございます! 私、わたあめが食べたいです」
わたあめか……可愛い。美希は選ぶ食べ物まで可愛い。
オレはわたあめを買って美希にあげた。
「ありがとうございます!美味しそうなわたあめですね」
嬉しそうにわたあめを食べる美希。
美希の笑顔がとても眩しくて心臓がまたバクバクと酷使されていく。
「美希、わたあめ美味しいか?」
「はい、美味しいです。もぐもぐ」
!!
わたあめを頬張って、ほっぺたが膨らんでる! 指でつつきたくなる可愛さだ。
それ狙ってやってるのか!? わざとじゃないなら無自覚で男を殺す兵器だ。世界を破壊できるほっぺただ。
ああ、可愛い……抱きしめたい。押し倒したい。浴衣を脱がしたい。裸にして犯したい。
浴衣姿の美希が可愛すぎて、不純な欲望が次から次へと沸き上がってくる。
ダメだ、我慢しろ。今はお祭りなんだ。そういうシチュエーションじゃないんだ。こんなところで犯したりなんかしたら、絶対に美希に嫌われてしまう。
「竜先輩もわたあめ食べますか?」
欲望を抑えているオレをよそに、美しい瞳でオレの顔をジッと見つめる美希。
そんな目で見つめられるとますます興奮してしまう。
「ん、ん~……そうだな、オレも食いたくなってきた。自分の分も買ってくる」
オレはそう言ってさっき買った屋台へ戻ろうとする。美希はオレの服を掴んで止める。
「何言ってるんですか。私の分をわけてあげますよ」
「!?」
え、いや、美希の分のわたあめをもらおうだなんてそんな恐れ多い……
美希はわたあめをちぎって、オレの口の前に差し出した。
「竜先輩っ。はい、あーん」
「―――!!!!!!」
なんという強烈な誘惑。デレデレすんなって言われても無理だ。
どんなにクールな男でも、『はいあーん』なんてされたらデレデレせざるを得ないだろう。
心臓を最大まで暴れさせながらもオレは素直に口を開ける。美希はオレの口の中にわたあめを入れる。
「おいしい?」
「……ああ」
「ふふっ、可愛い」
わたあめが口の中で溶ける。とても甘い。でもそのわたあめよりも今この瞬間の空気がさらに甘い。
オレの顔は赤くなりすぎて火災発生している。なんでこんなオーバーキルしてくるんだ。オレは何回美希の可愛さにノックアウトされればいいんだ。
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