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いち
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衝動的に外に飛び出た。
会いたい人が外にいるような、そんな気がして外にでた。
だけど当然そこには誰もいなくて、呆然と目の前の真っ暗な海を眺めた。
日の出前の薄暗い海も砂浜も明るいときよりも綺麗にみえる。散歩をしに歩いて向かう。家から徒歩の道に蟹が歩いていて笑った。海が近いとこんなこともあるのか。
さきほどまでロマンチックなことを考えてたおかしな自分のことが恥ずかしく思えて、手のひらで顔を覆う。誰も家にいなくてよかった。こんな異常行動をシェアハウスしている友人にみられでもしたら羞恥心で消えたくなっていたかもしれない。そして自分はネカフェに籠るだろう。そしてほとぼりが冷めたら家に戻って話を蒸し返されて大笑いされるんだろうな。そこまでわかっていても笑い話にするまで時間がかかってしまう。それが宇賀神晴季《うかがみ はるき》という男なのだ。
砂浜で膝を抱えて座った。尻が砂まみれになることなんて、海の近くに住むことを決めてからはとうの昔に諦めた。
高校を卒業してから自堕落に遊び呆けては消費する金のことなどお構いなしに、ただ生きているだけの生活を繰り返していた。みんな同じように生きているんだとばかり思っていたが、そうではなかった。真面目に貯金をして仕事をしている連中ばかり。気づいたとき、自分もそろそろ落ち着こうと多少の貯まった金で海岸沿いの小さな町に引っ越しをすることにした。安いシェアハウスを借りて知らない人と住むことに決めた。男ばかりの生活に慣れてきたころ、出逢いを求めている自分に気づいて、いろんなひとと付き合ったが長続きすることはしなかった。シェアをしている同い年の男に話を聞いてもらっては慰められる日々。その男には長年付き合っている彼女がいてそろそろ結婚を考えているという。落ち着いていて愛情をかかさないだろう彼は子どもができたら溢れるくらいの愛情を注ぐのだろう。
周りが異性を好きになる一方、自分が好きになるのは決まっていた。どうしてこんなふうになってしまったのか。思えば、小学生のころからその節はあった。きっともうこどもを持つことはできないだろう。
砂浜で大きな城を作ってやろうと両手で徐々に山を作っていた。バケツがないとちんまりとしていて惨めなそれは自分のしょうもない感情のようで笑えてくる。
両手で覆うと隠れてしまうほどの丸みのある小ぶりの山。丸みを足していって角が出るように砂を増やしていく。水を足して土を固め、そこらへんにある木の棒で形を整える。思っていたよりも真剣に作っていたせいか、できあがった城に満足して写真を撮った。形は歪だけど、城だとわかるくらいには特徴を捉えているような気がする。
うしろから砂を踏む音が聞こえて振り返ると、いつのまにかシェアハウスの仲間が集まっていた。
「おー! なかなか綺麗なお城だな」
隣の部屋の作曲家の宇部滴《うべ しずく》が晴季の作った城に触る。
「宇部さん、そんな完璧に作ろうとしないでくださいよ……」
手先が器用なのか、何なのかはわからないが彼は砂の山をあっというまに芸術作品かのような作りを魅せてくる。
「もうそろそろ勘弁してやれよ、夕飯もうできてんだから帰るぞ」
「おお! ゆっくんのご飯!」
結城真城《ゆうき ましろ》、宇部と同室の料理が上手なアパレル店員だ。世話好きなのか常に宇部を身の回りをよく整えている。
独特な雰囲気を持つ二人を見ていると凡人な自分にはなにが起きているのかわからないことが多い。仲良しなのか、喧嘩をしているのか、わからないことが多くて混乱するのだ。 お互いを貶し合っていて喧嘩しているのかと思えば、一緒に仲良くリビングでご飯を食べていたりする。
元の形すらなんだったのか思い出せないほどの本格的な城ができあがり、開いた口が塞がらなくなった。
「これ、さっき俺が作ってた城……?」
「そんなことよりも夕飯食べよう~! もうお腹が空いて耐えられんぞ!」
お腹を抱えて倒れそうなフリして走って家へと向かっていく姿は本当に子どもみたいだった。それに呆れて眉を顰める結城は溜息を吐きながらも笑っていた。やはり仲がいいのだと安心する。
間に入り込めない空気があるのは顔が美形なせいもあるのだろうか。ルームシェアに入居が決まったときもその顔面に圧倒されていた。まともに目を合わせられるようになったのも半年はかかったくらいだ。
アッシュグレイの癖毛で短髪。背は晴季よりも低く小柄。そして顔が幼く、高校生だと言われても違和感ない。宇部は見た目通りの男なのだ。そして結城はチャラく女子を侍らせていそうな見た目をしている。肩にかかるくらいの髪の毛を一つに括り、ラベンダーアッシュなのか、ピンクなのかわからないが綺麗な色をしている。目尻が下がっていて優しそうに見える。優しいが思っていたよりもぶっきらぼうだ。
結城の横顔に見惚れていると、こちらに気づいて「宇賀神さんもご一緒にお昼、どうですか?」と目を合わせてくる。
「ああ……そうですね。俺も一緒したいです」
遠慮しがちに声を潜めて笑顔を向ける。目を合わせられるようになれるまではよかった。だけどまだ緊張して言葉にするのが苦手に思えてくる。
散歩をするついでに通りの無人店のくだもの屋でさくらんぼとあんずを買った。季節的にもちょうどよく美味しく食べられるだろうと同室の男の分も買ってやった。
二人は先に帰ってもらって、買ってきたさくらんぼを渡してデザートにして食べた。たまたま冷凍庫にバニラアイスが入っていたらしく分けてもらった。
料理が得意な結城に盛り付けを任せた甲斐があった。豪華で量の多いアイスはパフェと化した。このじわっと汗がでる暑さには喉を通る冷たいアイスが体の均衡を保っている感じがして好きだ。
「美味しい……」
ひとこと、こぼした言葉に宇部が反応した。
「ゆっくんの料理は最高だ、安心する味がする! 明日の朝もお願いしたいなっ」
あざとく上目遣い攻撃を結城にかける宇部はニタニタとした顔をして結城のスプーンに乗っているアイスを口に含み奪った。
固まっている結城を心配して顔を覗き込むと、怒っているのか顔を真っ赤にして宇部を睨んだ。
「ふふーん」
満足そうに笑う声に結城はため息をついて、「あとで説教」とだけ言い残してパフェの入っていたグラスを片付けた。その声は怒気というよりは殺気に近いものを感じる。横で口を開けてポカンとしている宇部の様子に雷が落ちる音が聞こえる気がして、自分の皿だけを片付けて早々に部屋に戻ることにした。そのうち隣から泣き喚く宇部の声が聞こえてくるんだろうなと憂鬱な気分になりながらも、あらかじめわかっていた方が対処しがいがあるというものだ。
隣の男が帰ってくる前に机に付箋を置いて、耳栓をする。ベッドに横たわり、静寂の中、目をつぶった。
肩を揺さぶられ、一気に目が覚めるとそこには同室の男が覗き込んでいた。
「ねえねえ、これ食べていいってこと?」
あくびをしながら起き上がり、耳栓を抜く。
「だからそう書いてある……もう寝る」
「ああ! 待って待って、これいつも世話になってるから。よかったら貰ってくれない?」
青い透き通った瞳が明りに照らされて輝いている。
「そんなのいらないのに。ありがとう、そしておやすみ」
「おやすみ~」
もぐもぐと食べているような音がする。咀嚼音が不快に思わないのは晴翔《はると》だけかもしれない。寝ているときに聞こえてくる咀嚼音がなぜか安心する。
気づけば、揺蕩うように意識が遠のいていた。
起きると耳栓が抜けているのはどうしてなのだろうか。寝相が悪いわけでもないのに左右の耳栓はベッドから落ちていた。
目覚まし時計が鳴る前に起きたようで時間を確認すると、五時前だった。珍しくもないが不思議と目が冴えていて気分がいい。体を伸ばして、軽くストレッチをして仕事に向き合うことにした。
窓の外を眺め、休憩を繰り返しながら進めていく仕事は充実そのものだ。
突然うしろから眉間に触れられ驚いて、体を震わせる。
「うわっ」
犯人は晴翔だった。人差し指で心配そうに晴季の顔を覗き込んでいる。
晴季は顔を顰めて様子を眺めていたが、晴翔は心配そうにそっと両手で頬を包み込む。
「なに?」
「元気そうだからよかったと思って」
「なんだよ」
つるっと指が離れると、晴翔は背を向けた。
「僕さ、来月から夏生《なつき》ちゃんと同棲することになったんだ。だから報告! まあ、心配してはいないけどさ。そういうことだからさ、今までありがとうが伝えたかったんだ」
表情が見えないせいでどんな顔をしているのか、想像もできないが、きっと、そうなんだろう。
幸せそうな顔を想像するとやはりその声色には合っている。
「おめでとう」
それだけ呟き、仕事に向き直った。
静かにドアの外にでていく足音が聞こえて、安堵する。堪えていたものが込み上げてきて、画面の中の黒い影の肩が、小刻みに震えていた気がした。
会いたい人が外にいるような、そんな気がして外にでた。
だけど当然そこには誰もいなくて、呆然と目の前の真っ暗な海を眺めた。
日の出前の薄暗い海も砂浜も明るいときよりも綺麗にみえる。散歩をしに歩いて向かう。家から徒歩の道に蟹が歩いていて笑った。海が近いとこんなこともあるのか。
さきほどまでロマンチックなことを考えてたおかしな自分のことが恥ずかしく思えて、手のひらで顔を覆う。誰も家にいなくてよかった。こんな異常行動をシェアハウスしている友人にみられでもしたら羞恥心で消えたくなっていたかもしれない。そして自分はネカフェに籠るだろう。そしてほとぼりが冷めたら家に戻って話を蒸し返されて大笑いされるんだろうな。そこまでわかっていても笑い話にするまで時間がかかってしまう。それが宇賀神晴季《うかがみ はるき》という男なのだ。
砂浜で膝を抱えて座った。尻が砂まみれになることなんて、海の近くに住むことを決めてからはとうの昔に諦めた。
高校を卒業してから自堕落に遊び呆けては消費する金のことなどお構いなしに、ただ生きているだけの生活を繰り返していた。みんな同じように生きているんだとばかり思っていたが、そうではなかった。真面目に貯金をして仕事をしている連中ばかり。気づいたとき、自分もそろそろ落ち着こうと多少の貯まった金で海岸沿いの小さな町に引っ越しをすることにした。安いシェアハウスを借りて知らない人と住むことに決めた。男ばかりの生活に慣れてきたころ、出逢いを求めている自分に気づいて、いろんなひとと付き合ったが長続きすることはしなかった。シェアをしている同い年の男に話を聞いてもらっては慰められる日々。その男には長年付き合っている彼女がいてそろそろ結婚を考えているという。落ち着いていて愛情をかかさないだろう彼は子どもができたら溢れるくらいの愛情を注ぐのだろう。
周りが異性を好きになる一方、自分が好きになるのは決まっていた。どうしてこんなふうになってしまったのか。思えば、小学生のころからその節はあった。きっともうこどもを持つことはできないだろう。
砂浜で大きな城を作ってやろうと両手で徐々に山を作っていた。バケツがないとちんまりとしていて惨めなそれは自分のしょうもない感情のようで笑えてくる。
両手で覆うと隠れてしまうほどの丸みのある小ぶりの山。丸みを足していって角が出るように砂を増やしていく。水を足して土を固め、そこらへんにある木の棒で形を整える。思っていたよりも真剣に作っていたせいか、できあがった城に満足して写真を撮った。形は歪だけど、城だとわかるくらいには特徴を捉えているような気がする。
うしろから砂を踏む音が聞こえて振り返ると、いつのまにかシェアハウスの仲間が集まっていた。
「おー! なかなか綺麗なお城だな」
隣の部屋の作曲家の宇部滴《うべ しずく》が晴季の作った城に触る。
「宇部さん、そんな完璧に作ろうとしないでくださいよ……」
手先が器用なのか、何なのかはわからないが彼は砂の山をあっというまに芸術作品かのような作りを魅せてくる。
「もうそろそろ勘弁してやれよ、夕飯もうできてんだから帰るぞ」
「おお! ゆっくんのご飯!」
結城真城《ゆうき ましろ》、宇部と同室の料理が上手なアパレル店員だ。世話好きなのか常に宇部を身の回りをよく整えている。
独特な雰囲気を持つ二人を見ていると凡人な自分にはなにが起きているのかわからないことが多い。仲良しなのか、喧嘩をしているのか、わからないことが多くて混乱するのだ。 お互いを貶し合っていて喧嘩しているのかと思えば、一緒に仲良くリビングでご飯を食べていたりする。
元の形すらなんだったのか思い出せないほどの本格的な城ができあがり、開いた口が塞がらなくなった。
「これ、さっき俺が作ってた城……?」
「そんなことよりも夕飯食べよう~! もうお腹が空いて耐えられんぞ!」
お腹を抱えて倒れそうなフリして走って家へと向かっていく姿は本当に子どもみたいだった。それに呆れて眉を顰める結城は溜息を吐きながらも笑っていた。やはり仲がいいのだと安心する。
間に入り込めない空気があるのは顔が美形なせいもあるのだろうか。ルームシェアに入居が決まったときもその顔面に圧倒されていた。まともに目を合わせられるようになったのも半年はかかったくらいだ。
アッシュグレイの癖毛で短髪。背は晴季よりも低く小柄。そして顔が幼く、高校生だと言われても違和感ない。宇部は見た目通りの男なのだ。そして結城はチャラく女子を侍らせていそうな見た目をしている。肩にかかるくらいの髪の毛を一つに括り、ラベンダーアッシュなのか、ピンクなのかわからないが綺麗な色をしている。目尻が下がっていて優しそうに見える。優しいが思っていたよりもぶっきらぼうだ。
結城の横顔に見惚れていると、こちらに気づいて「宇賀神さんもご一緒にお昼、どうですか?」と目を合わせてくる。
「ああ……そうですね。俺も一緒したいです」
遠慮しがちに声を潜めて笑顔を向ける。目を合わせられるようになれるまではよかった。だけどまだ緊張して言葉にするのが苦手に思えてくる。
散歩をするついでに通りの無人店のくだもの屋でさくらんぼとあんずを買った。季節的にもちょうどよく美味しく食べられるだろうと同室の男の分も買ってやった。
二人は先に帰ってもらって、買ってきたさくらんぼを渡してデザートにして食べた。たまたま冷凍庫にバニラアイスが入っていたらしく分けてもらった。
料理が得意な結城に盛り付けを任せた甲斐があった。豪華で量の多いアイスはパフェと化した。このじわっと汗がでる暑さには喉を通る冷たいアイスが体の均衡を保っている感じがして好きだ。
「美味しい……」
ひとこと、こぼした言葉に宇部が反応した。
「ゆっくんの料理は最高だ、安心する味がする! 明日の朝もお願いしたいなっ」
あざとく上目遣い攻撃を結城にかける宇部はニタニタとした顔をして結城のスプーンに乗っているアイスを口に含み奪った。
固まっている結城を心配して顔を覗き込むと、怒っているのか顔を真っ赤にして宇部を睨んだ。
「ふふーん」
満足そうに笑う声に結城はため息をついて、「あとで説教」とだけ言い残してパフェの入っていたグラスを片付けた。その声は怒気というよりは殺気に近いものを感じる。横で口を開けてポカンとしている宇部の様子に雷が落ちる音が聞こえる気がして、自分の皿だけを片付けて早々に部屋に戻ることにした。そのうち隣から泣き喚く宇部の声が聞こえてくるんだろうなと憂鬱な気分になりながらも、あらかじめわかっていた方が対処しがいがあるというものだ。
隣の男が帰ってくる前に机に付箋を置いて、耳栓をする。ベッドに横たわり、静寂の中、目をつぶった。
肩を揺さぶられ、一気に目が覚めるとそこには同室の男が覗き込んでいた。
「ねえねえ、これ食べていいってこと?」
あくびをしながら起き上がり、耳栓を抜く。
「だからそう書いてある……もう寝る」
「ああ! 待って待って、これいつも世話になってるから。よかったら貰ってくれない?」
青い透き通った瞳が明りに照らされて輝いている。
「そんなのいらないのに。ありがとう、そしておやすみ」
「おやすみ~」
もぐもぐと食べているような音がする。咀嚼音が不快に思わないのは晴翔《はると》だけかもしれない。寝ているときに聞こえてくる咀嚼音がなぜか安心する。
気づけば、揺蕩うように意識が遠のいていた。
起きると耳栓が抜けているのはどうしてなのだろうか。寝相が悪いわけでもないのに左右の耳栓はベッドから落ちていた。
目覚まし時計が鳴る前に起きたようで時間を確認すると、五時前だった。珍しくもないが不思議と目が冴えていて気分がいい。体を伸ばして、軽くストレッチをして仕事に向き合うことにした。
窓の外を眺め、休憩を繰り返しながら進めていく仕事は充実そのものだ。
突然うしろから眉間に触れられ驚いて、体を震わせる。
「うわっ」
犯人は晴翔だった。人差し指で心配そうに晴季の顔を覗き込んでいる。
晴季は顔を顰めて様子を眺めていたが、晴翔は心配そうにそっと両手で頬を包み込む。
「なに?」
「元気そうだからよかったと思って」
「なんだよ」
つるっと指が離れると、晴翔は背を向けた。
「僕さ、来月から夏生《なつき》ちゃんと同棲することになったんだ。だから報告! まあ、心配してはいないけどさ。そういうことだからさ、今までありがとうが伝えたかったんだ」
表情が見えないせいでどんな顔をしているのか、想像もできないが、きっと、そうなんだろう。
幸せそうな顔を想像するとやはりその声色には合っている。
「おめでとう」
それだけ呟き、仕事に向き直った。
静かにドアの外にでていく足音が聞こえて、安堵する。堪えていたものが込み上げてきて、画面の中の黒い影の肩が、小刻みに震えていた気がした。
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