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「辛くないの」
誰が言ったのか分からない声が二人しかいない部屋に響く。
しばらく経って自分自身の発した声だと気づいた。完全に無意識で訊いてしまった。こんなことを訊くつもりなんてなかったのに、どうして声に出してしまったのだろう。優しく微笑む彼女は悲しそうな顔を向ける。
「辛くはないかな、だって最初からいなかったもの。ずっとママと二人だった」
「そうなんだ……」
「気にしなくていいよ。ホントのことだもん。パパはいるけどね、パパは私の事なんてどうでもいいと思ってるよ。養育費だけを払えばそれでいいの。ママが楽になるから」
「それって……」
「うん。私には愛情がないみたい。会ったことも話したこともない遠いところにいる人なんだ」
話してる声は明るいのに心臓に風穴が空いたような、そんな気持ちにさせる。
「辛くないの?」
もう一度確認するように訊いた。
「うん」
うそだ。彼女はきっとお父さんに会いたいと思っているだろう。じゃなければ、そんな悲しそうな顔をしないはずだ。
「私の心配してくれてるの?」
「え……いや、その」
「大丈夫。会うことはないから」
軽快に笑う彼女を見ていると痛々しく思ってしまう。今どき、片親なんて当たり前なはずなのに、彼女の横顔を見ているとどうにかしてあげたくなる。できることなんてないのだろうけど……。
誰が言ったのか分からない声が二人しかいない部屋に響く。
しばらく経って自分自身の発した声だと気づいた。完全に無意識で訊いてしまった。こんなことを訊くつもりなんてなかったのに、どうして声に出してしまったのだろう。優しく微笑む彼女は悲しそうな顔を向ける。
「辛くはないかな、だって最初からいなかったもの。ずっとママと二人だった」
「そうなんだ……」
「気にしなくていいよ。ホントのことだもん。パパはいるけどね、パパは私の事なんてどうでもいいと思ってるよ。養育費だけを払えばそれでいいの。ママが楽になるから」
「それって……」
「うん。私には愛情がないみたい。会ったことも話したこともない遠いところにいる人なんだ」
話してる声は明るいのに心臓に風穴が空いたような、そんな気持ちにさせる。
「辛くないの?」
もう一度確認するように訊いた。
「うん」
うそだ。彼女はきっとお父さんに会いたいと思っているだろう。じゃなければ、そんな悲しそうな顔をしないはずだ。
「私の心配してくれてるの?」
「え……いや、その」
「大丈夫。会うことはないから」
軽快に笑う彼女を見ていると痛々しく思ってしまう。今どき、片親なんて当たり前なはずなのに、彼女の横顔を見ているとどうにかしてあげたくなる。できることなんてないのだろうけど……。
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