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君じゃなきゃダメなんだ!
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しおりを挟むそれから数日。
類くんとはバイトで会ったり私が家に行ったりとで結構会えていて、私的には申し分のない夏休みを過ごしていた。
そして待ちに待った週末。
お祭りの日!
去年は吉田さんに行こうよと言って約束したのに、当日になったら頭痛くなったって言われて家に行ったら最終的にヤることだけやって帰らされた苦い思い出がある。
だから待ち合わせ場所で類くんに会うまでちょっと心配してたんだけど、行ったらすでに待っていてくれてそれだけで感動しちゃうちょろい私。
「類くん!ほんとに来てくれた!」
「……なんで浴衣着てんだよ」
「えへへー」
お母さんが若い頃着てたっていう、紺色の生地に白と黄色の花があしらわれた浴衣を借りてきたのだ。
浴衣は胸を潰されるから少し苦しいけど、類くんにはやっぱり見てほしくってくるりと一周回ってみせる。
「どうかな」
「普通」
「思った通りの反応で真顔になっちゃう」
はいはいどうせ普通ですよー。
まあいいさ。
一緒にお祭りに来てくれたって事実だけで私は飯が3杯は食える!
そう切り替えて人の流れに沿って歩いて行こうとしたら左手を掴まれた。
「ふらふら歩くな」
「あ……、はい」
手、握ってくれた…。
じんわりと手汗が滲んできちゃって緊張しちゃう。
嬉しすぎてそのまま何も言えなくて、ただ人混みの中を類くんの隣で歩いているだけで幸せ。
「ほんとに人多いな。これだから祭りは嫌なんだ」
「…だね」
「何か食いたいものある?」
「ううん」
「飲みもん買うか。何がいい」
「…炭酸ならなんでも」
そう私が言うと、道の端に私を置いて待ってろ、と髪をポンと撫でて走っていく類くん。
幸せすぎて蒸発しちゃうかもしれない…。
なんてドキドキしながら待っていたら、キンキンに冷えたラムネを持って戻ってきてくれた。
「ん」
「っ、ちべたいです類くん……ッ」
悪戯っぽく彼は私のほっぺにラムネをくっつける。
そんで見下ろして笑うその表情は優しい。
うわーデートっぽー…、なんて見惚れていると、後方から私の名前を呼ぶ声がした。
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