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だって君が大切だから
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しおりを挟む廊下は薄暗くて、店長がずっと蛍光灯を変えるって言ったまま忘れ去られている。
類くんは私の制服の裾を掴むと、じっとを私を見つめた。
「なんでそんな最近、あいつばっかなの」
類くんは無表情のままそう聞く。
あまりにいつもと表情を変えないで言うからすぐには言葉が入ってこなかったんだけど。
え?
妬いてんの?
類くん、妬いてんのッ?!
「や、あの、今優斗ん家ちょっと大変みたいで。それで気になって話を聞いてあげてるっていうか。家族ぐるみで仲良かったからうちのお母さんも心配しててさ」
プライベートな事だと思うし、優斗がバイト先に詳しく伝えてないから私が話すのも何かな、と思って少しぼかして私は言った。
すると類くんは納得したのかしてないのかよくわかんないけど、膝に手をつきながら立ち上がる。
「…別に何でもいいけど」
何でもいいんかーい!
絶対よくないじゃん!
めっちゃ気にしてんじゃん!
とか思っててもそれを指摘したところで逆ギレされそうだからグッと抑えた。
類くんはそのままホールに戻ろうとしていて、私も立ち上がって類くんの手をパッと握る。
「優斗とは何もないし私が1番好きなのは類くんなんだけど、今は事情が事情だから優斗をほっとけないの。幼馴染として」
誤解されたくなくて私がそう必死に伝えると、類くんは私を見下ろして私の手をそっと払った。
何か言いたそうな表情をする彼。
でも類くんは何も言わなかった。
「あっそ」
今までのように突き放す感じではない、気はする。
類くんはそう言うとホールの方に戻って行く。
私はぎゅっと鞄の持ち手を握って外に出た。
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