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俺だけ見てろ
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しおりを挟むおばちゃんが倒れた日から2週間ほどが経った。
あれからおばちゃんの回復は順調みたいで、勤めていた病院に入院していた事もあり早く復帰したいとぼやいている。
私はよく優斗とお見舞いに行ってて、まだその事をななたちには伝えていなかった。
「おばちゃん、明日退院できるんだって?おめでとー!」
「あら、めいちゃん。今日も来てくれてありがとね。そうなのよー、でもまだ仕事復帰は先だって婦長に言われちゃって」
意識が戻ってからは割とピンピンしていたからずっとおばちゃんは職場のことを気にしていた。
表情からして本当に仕事が大切で好きなんだなと思う。
「まあまあ。休める時に休んだ方がいいって」
「まーねえ。あ、そういえば昨日優斗のお友達の、ななちゃんだっけ。来てくれたのよ。めいちゃんもお友達なのよね?」
「あ、うん。仲良いよ」
昨日はななが優斗のとお見舞いに行くと言っていたから私はバイトはなかったけど遠慮しておいた。
多分優斗はななの事を好きだと思うから2人きりにしてあげた方がいいのかなって。
「最近の子は皆細いわね。もっと食べて肉付けないと」
「あはは、まあななは特に細いから」
「ねえめいちゃん、優斗って学校でどう?ほらあの子基本無口だから全然喋ってくれないのよね」
「結構モテるみたいだよ。この前も私、告白されてる所見ちゃってヒェーって思っちゃった」
なるほどねえ、とおばちゃんはほくそ笑む。
こんなこと話したって優斗には知られたら、絶対怒ってきそう。
そんな事を気にしてる私を見ておばちゃんはめいちゃん、とつぶやく。
「あの子の事、よろしくね」
「いやー、よろしくしてもらってるのは私の方だよおばちゃん。いつも面倒見てもらいっぱなしで」
「ふふ、あの子ね、たまに喋るかと思ったらあなたの事ばかりなのよ昔から。めいちゃんがいなくなったらどうなるんだか」
優斗が私の前からいなくなる、なんてことも。
私が優斗のそばからいなくなることも、今まで考えたことはなかった。
だけどもしも優斗とななが付き合ったら、やっぱり私は今までみたいに優斗と一緒にいちゃいけないんだと思う。
だから私はおばちゃんにそう言われても笑って返すしかできなかった。
「母さん、書類出してきた」
「ん。ありがとねー優斗」
優斗が受付から戻ってきてドアを開けて入ってくる。
にやにやしているおばちゃんを訝しがりながらも、彼は置いていた荷物を手に取って私の方を見ながら言った。
「じゃあ、明日も学校あるから退院には付き添えないけど」
「はいはい、それくらい大丈夫よ。いろいろ手続きまでありがとね」
優斗が部屋を出て行くから私も後ろを追う。
おばちゃんにお辞儀をするとまたね、と手を振られた。
優斗はおばちゃんの着替えとか、諸々の荷物を持ちながら私の前を歩いて行く。
「何喋ってたの」
「いや、別に、世間話とか」
そう話していると携帯が震えて連絡が入る。
ん?と思って画面を見ると類くんからだった。
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