15 / 71
聖女でなくなった?
しおりを挟む
アシャルティ様との面会を終えた私が部屋に戻ると、レリアが今か今かと待っていました。気が付けばアシャルティ様の部屋には半日近くいたので、レリアとしても長すぎると心配になったのでしょう。私も初日なので挨拶をして軽く話をしたら終わり…と思っていたので、こうも長い時間拘束されるとは思っていませんでした。
「ルネ様、変な事されませんでしたか?」
ドアが閉まると直ぐ、レリアがそう尋ねてきました。思った以上に時間が長かったので、何かされたと心配してくれたのでしょう。
「大丈夫よ、レリア。酷い事はされなかったわ」
「でも…初顔合わせなのに随分長かったのは…」
「それが…」
これはちゃんと説明しないとレリアの不安は消えなさそうです。私はレリアを安心させるためにも、アシャルティ様の部屋での事を話しました。
「それじゃ、ルネ様は隣に座ってずっと手を?」
「そうなのよ。それだけでアシャルティ様の大きすぎる魔力が私の聖力と交じり合って中和されるんですって」
「何とも…不思議なお話ですのね…」
「私もそう思ったわ。でも、手を繋いでいると温かい何かがじんわりと流れ込んでくるような感じがするの。アシャルティ様のお話では、それがアシャルティ様の魔力なんですって」
「しかし…魔力とは…」
そうです。こちらの世界では魔力とは古の邪悪な者達が持っていた力で、今では魔獣たちに受け継がれていると言われています。彼らは聖力に弱いため、古の聖女たちが彼らの侵入を防ぐために結界を張ったとも。だからアシャルティ様の魔力が危険なものではないかとレリアは案じているのです。
「それが…アシャルティ様が仰るには、あちらの世界では聖力は魔力の一種なのだそうよ」
「魔力の一種ですって?」
「ええ。あちらでは聖力は白魔術とか聖魔術と呼ばれていて、アシャルティ様にもそのお力があるのだとか」
「では、ルネ様の聖力切れは…」
「ええ。聖力切れは魔力切れと同じなのだそうよ。だからアシャルティ様の魔力を私に与えて下さったのですって」
何とも信じ難い話ですが、アシャルティ様は嘘を仰っている様には思えません。それに…アシャルティ様の魔力を受け容れても体調に問題はありません。むしろ怠さがなくなって前よりも調子がいい様にも感じます。
「アシャルティ様の話では、私がずっと体調が悪かったのも、結界を維持するために聖力を使い過ぎて、いつも聖力切れ寸前だったからなんだそうよ」
「聖力切れですか…」
「ええ。アシャルティ様の魔力を頂いたのだけど、確かにあれからは身体が軽く感じるわ」
「そうですか」
まだレリアは納得いっていないようでしたが、私の話にも一理あると思ったのでしょう。以前の私は肌も髪も艶がなく、目の下のクマが消える事もありませんでした。
でも、聖力切れを起こしてアシャルティ様の魔力を頂いてからは、体調がいいのです。牢に入っていたにも関わらず、です。最も、あれから結界に力を送っていないので、その影響もあるのでしょうが…
「それから…私、もう聖女じゃないみたいなの」
「ええっ?!」
「先ほどアシャルティ様に挨拶した時、王太子殿下が私の事を、聖女だったって仰ったのよ」
「それは…」
「過去形って事は…もう聖女じゃないんじゃないかしら?だから服も聖女のものじゃなくなったのね」
「そんな…それならそうと一言くらい…」
「ええ。今度王太子殿下にお会いしたらお聞きしてみるわ。それに、セザール殿下との婚約は解消されたんじゃないかしら?」
「ええっ?!本当ですか?」
「私がセザール殿下の婚約者になったのも、聖女だったからよ。聖女でなくなったのなら…もう婚約者でいる意味はないと思うの」
「確かに、そうですわね」
こちらにレリアは思いっきり反応しました。きっと聖女じゃなくなった事よりも、こちらの方が重要なのでしょうね。同感です。私も殿下の婚約者でなくなるのはとても嬉しいですもの。
「一応確認はしないといけないけれど…もしそうならセザール殿下にお会いする事もないんじゃないかしら?あの方は私を疎んじていたから、あちらからわざわざ会いに来られる事はないでしょうし」
「そうですわね。よかったですわ、本当に…」
レリアがしみじみと、噛みしめるようにそう言いました。レリアこそ、セザール殿下に蔑ろにされ、暴言を吐かれている私に心を痛めてくれていましたから。もし婚約が解消されれば、レリアに心配をかける事も減るでしょう。それが私は一番嬉しく感じました。
「え?」
その日の夜、湯浴みを終えて寝室に向かった私は、ベッドの上の存在に驚きました。
「ルネ様、どうし…あら、まぁ、クルル…」
そうです。牢で別れたっきりのクルルが、ちょこんとベッドの上で座っていたのです。
「まぁ、クルル。無事だったのね!」
「くぅん!」
「何と言うか、不思議な子ですね」
「ええ。でもこの子、牢にまでやってきたのよ」
「牢にですか?どうやって…」
「それがさっぱりなのよね。この子のサイズでも入りそうな隙間がなかったから」
そうです。あれから何度も牢の中を調べましたが、クルルが入り込めそうな隙間は見つかりませんでした。本当に、どうやって入ってきたのでしょう。
「猫などは狭い隙間も入り込むといいますけど…子犬では珍しいですね」
「本当よね…」
「この子、よっぽどルネ様が好きなんですね」
「そうかしら?」
「くぅん!」
「ほら、返事していますわよ」
そう言ってレリアが笑みを浮かべました。以前は二人きりでも用心して笑みを浮かべませんでしたが…レリアなりに安心する何かがあったのでしょうか。なんにせよ、こうして笑顔でレリアと話が出来る日を迎えて、私はようやく心の底に積もっている不安が少しずつ溶けていくのを感じましたが…
「あ!」
「そうしました、ルネ様?」
「私、アシャルティ様にお礼を言っていなかったわ!」
「お礼って…」
「聖力切れを起こした時、助けて頂いたお礼よ。聖女じゃなくなった事に気を取られて、すっかり忘れていたわ…」
なんて事でしょうか。命を助けて頂いたのに、すっかり忘れていたなんて…
明日は何が何でも、お礼とお詫びをしなければ…そう思いながら私は、その日を終えたのでした。
「ルネ様、変な事されませんでしたか?」
ドアが閉まると直ぐ、レリアがそう尋ねてきました。思った以上に時間が長かったので、何かされたと心配してくれたのでしょう。
「大丈夫よ、レリア。酷い事はされなかったわ」
「でも…初顔合わせなのに随分長かったのは…」
「それが…」
これはちゃんと説明しないとレリアの不安は消えなさそうです。私はレリアを安心させるためにも、アシャルティ様の部屋での事を話しました。
「それじゃ、ルネ様は隣に座ってずっと手を?」
「そうなのよ。それだけでアシャルティ様の大きすぎる魔力が私の聖力と交じり合って中和されるんですって」
「何とも…不思議なお話ですのね…」
「私もそう思ったわ。でも、手を繋いでいると温かい何かがじんわりと流れ込んでくるような感じがするの。アシャルティ様のお話では、それがアシャルティ様の魔力なんですって」
「しかし…魔力とは…」
そうです。こちらの世界では魔力とは古の邪悪な者達が持っていた力で、今では魔獣たちに受け継がれていると言われています。彼らは聖力に弱いため、古の聖女たちが彼らの侵入を防ぐために結界を張ったとも。だからアシャルティ様の魔力が危険なものではないかとレリアは案じているのです。
「それが…アシャルティ様が仰るには、あちらの世界では聖力は魔力の一種なのだそうよ」
「魔力の一種ですって?」
「ええ。あちらでは聖力は白魔術とか聖魔術と呼ばれていて、アシャルティ様にもそのお力があるのだとか」
「では、ルネ様の聖力切れは…」
「ええ。聖力切れは魔力切れと同じなのだそうよ。だからアシャルティ様の魔力を私に与えて下さったのですって」
何とも信じ難い話ですが、アシャルティ様は嘘を仰っている様には思えません。それに…アシャルティ様の魔力を受け容れても体調に問題はありません。むしろ怠さがなくなって前よりも調子がいい様にも感じます。
「アシャルティ様の話では、私がずっと体調が悪かったのも、結界を維持するために聖力を使い過ぎて、いつも聖力切れ寸前だったからなんだそうよ」
「聖力切れですか…」
「ええ。アシャルティ様の魔力を頂いたのだけど、確かにあれからは身体が軽く感じるわ」
「そうですか」
まだレリアは納得いっていないようでしたが、私の話にも一理あると思ったのでしょう。以前の私は肌も髪も艶がなく、目の下のクマが消える事もありませんでした。
でも、聖力切れを起こしてアシャルティ様の魔力を頂いてからは、体調がいいのです。牢に入っていたにも関わらず、です。最も、あれから結界に力を送っていないので、その影響もあるのでしょうが…
「それから…私、もう聖女じゃないみたいなの」
「ええっ?!」
「先ほどアシャルティ様に挨拶した時、王太子殿下が私の事を、聖女だったって仰ったのよ」
「それは…」
「過去形って事は…もう聖女じゃないんじゃないかしら?だから服も聖女のものじゃなくなったのね」
「そんな…それならそうと一言くらい…」
「ええ。今度王太子殿下にお会いしたらお聞きしてみるわ。それに、セザール殿下との婚約は解消されたんじゃないかしら?」
「ええっ?!本当ですか?」
「私がセザール殿下の婚約者になったのも、聖女だったからよ。聖女でなくなったのなら…もう婚約者でいる意味はないと思うの」
「確かに、そうですわね」
こちらにレリアは思いっきり反応しました。きっと聖女じゃなくなった事よりも、こちらの方が重要なのでしょうね。同感です。私も殿下の婚約者でなくなるのはとても嬉しいですもの。
「一応確認はしないといけないけれど…もしそうならセザール殿下にお会いする事もないんじゃないかしら?あの方は私を疎んじていたから、あちらからわざわざ会いに来られる事はないでしょうし」
「そうですわね。よかったですわ、本当に…」
レリアがしみじみと、噛みしめるようにそう言いました。レリアこそ、セザール殿下に蔑ろにされ、暴言を吐かれている私に心を痛めてくれていましたから。もし婚約が解消されれば、レリアに心配をかける事も減るでしょう。それが私は一番嬉しく感じました。
「え?」
その日の夜、湯浴みを終えて寝室に向かった私は、ベッドの上の存在に驚きました。
「ルネ様、どうし…あら、まぁ、クルル…」
そうです。牢で別れたっきりのクルルが、ちょこんとベッドの上で座っていたのです。
「まぁ、クルル。無事だったのね!」
「くぅん!」
「何と言うか、不思議な子ですね」
「ええ。でもこの子、牢にまでやってきたのよ」
「牢にですか?どうやって…」
「それがさっぱりなのよね。この子のサイズでも入りそうな隙間がなかったから」
そうです。あれから何度も牢の中を調べましたが、クルルが入り込めそうな隙間は見つかりませんでした。本当に、どうやって入ってきたのでしょう。
「猫などは狭い隙間も入り込むといいますけど…子犬では珍しいですね」
「本当よね…」
「この子、よっぽどルネ様が好きなんですね」
「そうかしら?」
「くぅん!」
「ほら、返事していますわよ」
そう言ってレリアが笑みを浮かべました。以前は二人きりでも用心して笑みを浮かべませんでしたが…レリアなりに安心する何かがあったのでしょうか。なんにせよ、こうして笑顔でレリアと話が出来る日を迎えて、私はようやく心の底に積もっている不安が少しずつ溶けていくのを感じましたが…
「あ!」
「そうしました、ルネ様?」
「私、アシャルティ様にお礼を言っていなかったわ!」
「お礼って…」
「聖力切れを起こした時、助けて頂いたお礼よ。聖女じゃなくなった事に気を取られて、すっかり忘れていたわ…」
なんて事でしょうか。命を助けて頂いたのに、すっかり忘れていたなんて…
明日は何が何でも、お礼とお詫びをしなければ…そう思いながら私は、その日を終えたのでした。
150
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
二度目の召喚なんて、聞いてません!
みん
恋愛
私─神咲志乃は4年前の夏、たまたま学校の図書室に居た3人と共に異世界へと召喚されてしまった。
その異世界で淡い恋をした。それでも、志乃は義務を果たすと居残ると言う他の3人とは別れ、1人日本へと還った。
それから4年が経ったある日。何故かまた、異世界へと召喚されてしまう。「何で!?」
❋相変わらずのゆるふわ設定と、メンタルは豆腐並みなので、軽い気持ちで読んでいただけると助かります。
❋気を付けてはいますが、誤字が多いかもしれません。
❋他視点の話があります。
絶望?いえいえ、余裕です! 10年にも及ぶ婚約を解消されても化物令嬢はモフモフに夢中ですので
ハートリオ
恋愛
伯爵令嬢ステラは6才の時に隣国の公爵令息ディングに見初められて婚約し、10才から婚約者ディングの公爵邸の別邸で暮らしていた。
しかし、ステラを呼び寄せてすぐにディングは婚約を後悔し、ステラを放置する事となる。
異様な姿で異臭を放つ『化物令嬢』となったステラを嫌った為だ。
異国の公爵邸の別邸で一人放置される事となった10才の少女ステラだが。
公爵邸別邸は森の中にあり、その森には白いモフモフがいたので。
『ツン』だけど優しい白クマさんがいたので耐えられた。
更にある事件をきっかけに自分を取り戻した後は、ディングの執事カロンと共に公爵家の仕事をこなすなどして暮らして来た。
だがステラが16才、王立高等学校卒業一ヶ月前にとうとう婚約解消され、ステラは公爵邸を出て行く。
ステラを厄介払い出来たはずの公爵令息ディングはなぜかモヤモヤする。
モヤモヤの理由が分からないまま、ステラが出て行った後の公爵邸では次々と不具合が起こり始めて――
奇跡的に出会い、優しい時を過ごして愛を育んだ一人と一頭(?)の愛の物語です。
異世界、魔法のある世界です。
色々ゆるゆるです。
召喚聖女に嫌われた召喚娘
ざっく
恋愛
闇に引きずり込まれてやってきた異世界。しかし、一緒に来た見覚えのない女の子が聖女だと言われ、亜優は放置される。それに文句を言えば、聖女に悲しげにされて、その場の全員に嫌われてしまう。
どうにか、仕事を探し出したものの、聖女に嫌われた娘として、亜優は魔物が闊歩するという森に捨てられてしまった。そこで出会った人に助けられて、亜優は安全な場所に帰る。
【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです
白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。
ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。
「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」
ある日、アリシアは見てしまう。
夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを!
「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」
「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」
夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。
自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。
ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。
※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
夫に顧みられない王妃は、人間をやめることにしました~もふもふ自由なセカンドライフを謳歌するつもりだったのに、何故かペットにされています!~
狭山ひびき
恋愛
もう耐えられない!
隣国から嫁いで五年。一度も国王である夫から関心を示されず白い結婚を続けていた王妃フィリエルはついに決断した。
わたし、もう王妃やめる!
政略結婚だから、ある程度の覚悟はしていた。けれども幼い日に淡い恋心を抱いて以来、ずっと片思いをしていた相手から冷たくされる日々に、フィリエルの心はもう限界に達していた。政略結婚である以上、王妃の意思で離婚はできない。しかしもうこれ以上、好きな人に無視される日々は送りたくないのだ。
離婚できないなら人間をやめるわ!
王妃で、そして隣国の王女であるフィリエルは、この先生きていてもきっと幸せにはなれないだろう。生まれた時から政治の駒。それがフィリエルの人生だ。ならばそんな「人生」を捨てて、人間以外として生きたほうがましだと、フィリエルは思った。
これからは自由気ままな「猫生」を送るのよ!
フィリエルは少し前に知り合いになった、「廃墟の塔の魔女」に頼み込み、猫の姿に変えてもらう。
よし!楽しいセカンドラウフのはじまりよ!――のはずが、何故か夫(国王)に拾われ、ペットにされてしまって……。
「ふふ、君はふわふわで可愛いなぁ」
やめてえ!そんなところ撫でないで~!
夫(人間)妻(猫)の奇妙な共同生活がはじまる――
捨てられた私が聖女だったようですね 今さら婚約を申し込まれても、お断りです
木嶋隆太
恋愛
聖女の力を持つ人間は、その凄まじい魔法の力で国の繁栄の手助けを行う。その聖女には、聖女候補の中から一人だけが選ばれる。私もそんな聖女候補だったが、唯一のスラム出身だったため、婚約関係にあった王子にもたいそう嫌われていた。他の聖女候補にいじめられながらも、必死に生き抜いた。そして、聖女の儀式の日。王子がもっとも愛していた女、王子目線で最有力候補だったジャネットは聖女じゃなかった。そして、聖女になったのは私だった。聖女の力を手に入れた私はこれまでの聖女同様国のために……働くわけがないでしょう! 今さら、優しくしたって無駄。私はこの聖女の力で、自由に生きるんだから!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる