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出迎えの準備
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先に入籍をして正式にセレン様の妻になった私ですが…実際のところ、苗字が変わったという以外の変化はありませんでした。セレン様は今は王都の連中の横槍を防ぐのが第一で、直ぐに夫婦関係を求めるつもりはないと言って、私の気持ちが追いつくまで待つと言ってくださいました。それでも結婚式を行って結婚したと周知するのは大事だからと、式は一月後と決まり、ジルベール様が直々にお祝いの会を開いて下さる事になりました。
「さぁ、ルネのドレスを超特急で用意するわよ!」
「はい、マリアンヌ様!!」
何故か私以上に気合が入っていたのはマリアンヌ様です。王都にいた時のマリアンヌ様は感情を表に出さない貞淑な淑女といった風でしたが…実は中々にお転婆なご令嬢だったのです。ただ、それだと王太子妃や王妃に相応しくないと陛下や王妃様が言い出しかねないので、大人しくしていたのだとか。またジルベール様がマリアンヌ様の良さを他の男性に見せたくないという我儘もあったそうです。
それが王妃になる可能性がなくなり、このバズレールに来てからは王都を気にする必要もなくなったからと、本来のお姿を見せるようになられたそうです。そんな事情があったのは意外でしたが、マリアンヌ様やお付きの侍女たちの話によると、ジルベール様はマリアンヌ様に関わると超心の狭い残念な方になるのだそうです。
「お祝いは大公宮のホールで行いましょうね」
「せっかくだからセレン殿の子爵位の授与式も一緒にやるのはどうだろうか?」
「まぁ、ジルベール様、名案ですわ!」
何と言いますか…当の私達を置き去りにして、大公ご夫妻が盛り上がっています。いいのでしょうか…いえ、とても嬉しく有難いのですが…
「こういう事は派手にしておく方がいいのよ。陛下達へのけん制にもなるし」
「そういう事。大々的に結婚したと公表してしまえば、オレリアも降嫁しようとは思わないだろうからね」
「なるほど…確かにその通りですね」
大公ご夫妻とセレン様は納得のご様子でしたが、いいのでしょうか?この事を知ったオレリア様が癇癪を起さないといいのですが…
「オレリアがセレン殿に降嫁する話は、表立っては出ていないからね。むしろ出る前だから派手なお披露目をするんだよ」
なるほど、そういうものなのですね。確かに結婚したと発表した相手に言い寄るのは不謹慎ですし、王女である事に誇りをお持ちのオレリア様が醜聞を良しとする事はないでしょう。
それから十日ほどが過ぎました。結婚式の準備は思った以上に進み、ウエディングドレスも既に仮縫いが終わって最後の仕上げに入っています。会場などの手配はマリアンヌ様が侍女たちと楽しそうに準備をしていて、私は皆さんの張り切り具合にやり過ぎないかと心配になっていました。
「王都から、正式に要請が来たよ。来月、セザールとオレリアを公式に訪問させると」
「思った通りですわね」
「セザールは新たな婚約者を連れてくるらしいな」
セザール様、婚約なさったのですね。あの方が私を取り戻そうとするとは思いませんが、新たな婚約者が出来たと聞いてほっとする自分がいました。
「まぁ、お相手はジオネ公爵家のご令嬢ですって?」
「ああ、どうやらルネ嬢の後を継いで聖女になられたらしいな」
「あら、あの方、聖力なんてお持ちだったかしら?」
そうです、ジオネ侯爵家の令嬢と言えば、確かディアナ様と仰った記憶があります。愛らしい美少女だと殿方から人気がおありで、確かセザール様の幼馴染だったはず。でも、聖力をお持ちだとは聞いた事がありませんが…
「さぁね。どうせお飾りの聖女だろう?」
「そうですわね、これからは聖女一人で結界を維持するわけじゃありませんものね」
何という事でしょうか、王都では聖女はもう名前だけで実がないとは…でも、平民出の私を疎んじていた陛下やセザール様なら納得だわ、と思ってしまいました。
「確かに。それで、あちらは何と?」
大公領の宰相でマリアンヌ様のお父君でもあるコーベール公爵がそう尋ねると、ジルベール様は苦笑を浮かべました。
「予想通り、オレリアをセレン殿に縁付けたいようだね。はっきりとは書いていないが、オレリアがセレン殿に会いたいと言っているらしい」
「そんな…」
やはり…との思いと共に、不安が一気に心の奥から湧き上がるのを感じました。以前からオレリア様がセレン様に興味を持たれていたのは知っていましたが、こうもはっきりと言われると足元が揺らぎそうに感じます。
「ルネ、心配はいらないよ。私はもう貴女のものだからね」
セレン様が私を支えるように手を取ってそう仰いました。その手の温かさと言葉の力強さが不安を解かしてはくれますが…
「正式な要請もないし、それ以前にセレン殿とルネ嬢の婚姻は成立している。ここは自治権を得ているから、この婚姻は他国の王、もちろん父上にも手出しは出来ない。だから大丈夫だよ」
「そうよ、ルネ。お二人はもう私たちの大切な仲間。みんなで守るから心配は不要よ」
ジルベール様とマリアンヌ様の力強い言葉に、私は沈んでいく気持ちが上向くのを感じました。それでも、王家のためなら死も辞さぬようにと育った私には、王家の望みに反する事をするだけでも重苦しいものを感じました。
「彼らが来るのは一月後だから…十日前にはお披露目が出来るわね」
「王都からここまで十日はかかる。仮に二人の事を知った王家の手の者が王都に知らせても、何も出来ないだろうね」
「各国の大使もお呼びしておきましょう。あのお二方がいらっしゃるのであれば、歓迎の舞踏会や夜会も催す必要がありますからな」
「そうね、それに…他国の目があればあの二人も無体な事は出来ないでしょう」
「この地が自治権を得たと知らしめる事も出来ますしな」
「ふふっ、それは楽しいことになりそうですわね」
何だかジルベール様とマリアンヌ様、そしてジルベール様の側近のエドガール様がとても楽しそうです。エドガール様は宰相のコーベール公爵を尊敬し師と仰いでいらっしゃって、今は宰相補佐も兼ねています。ジルベール様を軽く見ていた陛下達に強い反感を持たれていたので、一矢報いたいとお考えのようですが…大丈夫なのでしょうか。
「さぁ、ルネのドレスを超特急で用意するわよ!」
「はい、マリアンヌ様!!」
何故か私以上に気合が入っていたのはマリアンヌ様です。王都にいた時のマリアンヌ様は感情を表に出さない貞淑な淑女といった風でしたが…実は中々にお転婆なご令嬢だったのです。ただ、それだと王太子妃や王妃に相応しくないと陛下や王妃様が言い出しかねないので、大人しくしていたのだとか。またジルベール様がマリアンヌ様の良さを他の男性に見せたくないという我儘もあったそうです。
それが王妃になる可能性がなくなり、このバズレールに来てからは王都を気にする必要もなくなったからと、本来のお姿を見せるようになられたそうです。そんな事情があったのは意外でしたが、マリアンヌ様やお付きの侍女たちの話によると、ジルベール様はマリアンヌ様に関わると超心の狭い残念な方になるのだそうです。
「お祝いは大公宮のホールで行いましょうね」
「せっかくだからセレン殿の子爵位の授与式も一緒にやるのはどうだろうか?」
「まぁ、ジルベール様、名案ですわ!」
何と言いますか…当の私達を置き去りにして、大公ご夫妻が盛り上がっています。いいのでしょうか…いえ、とても嬉しく有難いのですが…
「こういう事は派手にしておく方がいいのよ。陛下達へのけん制にもなるし」
「そういう事。大々的に結婚したと公表してしまえば、オレリアも降嫁しようとは思わないだろうからね」
「なるほど…確かにその通りですね」
大公ご夫妻とセレン様は納得のご様子でしたが、いいのでしょうか?この事を知ったオレリア様が癇癪を起さないといいのですが…
「オレリアがセレン殿に降嫁する話は、表立っては出ていないからね。むしろ出る前だから派手なお披露目をするんだよ」
なるほど、そういうものなのですね。確かに結婚したと発表した相手に言い寄るのは不謹慎ですし、王女である事に誇りをお持ちのオレリア様が醜聞を良しとする事はないでしょう。
それから十日ほどが過ぎました。結婚式の準備は思った以上に進み、ウエディングドレスも既に仮縫いが終わって最後の仕上げに入っています。会場などの手配はマリアンヌ様が侍女たちと楽しそうに準備をしていて、私は皆さんの張り切り具合にやり過ぎないかと心配になっていました。
「王都から、正式に要請が来たよ。来月、セザールとオレリアを公式に訪問させると」
「思った通りですわね」
「セザールは新たな婚約者を連れてくるらしいな」
セザール様、婚約なさったのですね。あの方が私を取り戻そうとするとは思いませんが、新たな婚約者が出来たと聞いてほっとする自分がいました。
「まぁ、お相手はジオネ公爵家のご令嬢ですって?」
「ああ、どうやらルネ嬢の後を継いで聖女になられたらしいな」
「あら、あの方、聖力なんてお持ちだったかしら?」
そうです、ジオネ侯爵家の令嬢と言えば、確かディアナ様と仰った記憶があります。愛らしい美少女だと殿方から人気がおありで、確かセザール様の幼馴染だったはず。でも、聖力をお持ちだとは聞いた事がありませんが…
「さぁね。どうせお飾りの聖女だろう?」
「そうですわね、これからは聖女一人で結界を維持するわけじゃありませんものね」
何という事でしょうか、王都では聖女はもう名前だけで実がないとは…でも、平民出の私を疎んじていた陛下やセザール様なら納得だわ、と思ってしまいました。
「確かに。それで、あちらは何と?」
大公領の宰相でマリアンヌ様のお父君でもあるコーベール公爵がそう尋ねると、ジルベール様は苦笑を浮かべました。
「予想通り、オレリアをセレン殿に縁付けたいようだね。はっきりとは書いていないが、オレリアがセレン殿に会いたいと言っているらしい」
「そんな…」
やはり…との思いと共に、不安が一気に心の奥から湧き上がるのを感じました。以前からオレリア様がセレン様に興味を持たれていたのは知っていましたが、こうもはっきりと言われると足元が揺らぎそうに感じます。
「ルネ、心配はいらないよ。私はもう貴女のものだからね」
セレン様が私を支えるように手を取ってそう仰いました。その手の温かさと言葉の力強さが不安を解かしてはくれますが…
「正式な要請もないし、それ以前にセレン殿とルネ嬢の婚姻は成立している。ここは自治権を得ているから、この婚姻は他国の王、もちろん父上にも手出しは出来ない。だから大丈夫だよ」
「そうよ、ルネ。お二人はもう私たちの大切な仲間。みんなで守るから心配は不要よ」
ジルベール様とマリアンヌ様の力強い言葉に、私は沈んでいく気持ちが上向くのを感じました。それでも、王家のためなら死も辞さぬようにと育った私には、王家の望みに反する事をするだけでも重苦しいものを感じました。
「彼らが来るのは一月後だから…十日前にはお披露目が出来るわね」
「王都からここまで十日はかかる。仮に二人の事を知った王家の手の者が王都に知らせても、何も出来ないだろうね」
「各国の大使もお呼びしておきましょう。あのお二方がいらっしゃるのであれば、歓迎の舞踏会や夜会も催す必要がありますからな」
「そうね、それに…他国の目があればあの二人も無体な事は出来ないでしょう」
「この地が自治権を得たと知らしめる事も出来ますしな」
「ふふっ、それは楽しいことになりそうですわね」
何だかジルベール様とマリアンヌ様、そしてジルベール様の側近のエドガール様がとても楽しそうです。エドガール様は宰相のコーベール公爵を尊敬し師と仰いでいらっしゃって、今は宰相補佐も兼ねています。ジルベール様を軽く見ていた陛下達に強い反感を持たれていたので、一矢報いたいとお考えのようですが…大丈夫なのでしょうか。
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