異世界親父騒動記

マサカド

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第二章 親父たち大陸横断する

親父たち、村正のキレ味におどろく

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 親父たちは驚いていた。
 ゴーレム汽車に手足が文字通り付いたからだ。
「なんだこれは、汽車に手足があるぞ」
「うむ、文字通り汽車に手足がつけられたようだな。ブドウ」
「肯定であります」
「…………」
 村正以外の全員がそのような感想を述べた。
「おどろいたか!このわしの魔導車は手足などのオプションパーツを付けることによって戦闘マシンになる。ただ物資を強奪するだけだと思ったのか、間抜けどもがホムンクルス多数に武装した魔導車五台も相手に武器もなしで勝てると思っているのか、もっとも武器があっても勝てないがな」
「うむ、汽車に手足が付いたことには驚いたが歩行がすり足とは」
「機械工学が専門の教授からしてみればすごく残念でありますな」
「どうせなら、搭乗できるようにすればよかったのにって、村正どうしたんだ?」
 それぞれがゴーレム汽車にたいして感想を述べている中、一人だけ無言を貫く村正。
 村正は終始無言であったが、その背後には怒りのオーラがでていた。
「目がおかしくなったのか?村正の背後に怒り狂った鬼神が見える」
「自分にもそう見えます」
「うむ、全員がそう見えるということは、幻覚でないことは確かだ」
 そのオーラは親父たち以外にも見えるのか、ホムンクルスは本能的に危険を察知した。
 五つ子たちは逃げ出した。
 村正が一歩動くと、ホムンクルス達は道を譲るように退いた。
「うむ、まるで映画十戒のように人が割れた」
「あれは人ではなく海だったけどな」
「肯定であります」
 そんな状況の中で村正の異変に気づいていないのはクレイ・スチームただ一人だけであった。
「なんだ。命乞いに来たのか、だがこの姿になったわしの魔導車は相手がどんな状態であろうと、ミンチになるまで攻撃をやめないようにできているんだ。無駄なことはやめておとなしく死ね」
 村正はクレイ・スチームの言葉を無視して、アイテムボックスから粗末な剣を取り出し、無言でゴーレム汽車に一太刀浴びせた。
 次の瞬間、ゴーレム汽車は真っ二つに切られた。
 その場にいた全員が唖然とした。
「な、何が起こったんだ?」
「うむ、村正が何かしたようだが?」
「何も見えなかったであります」
 親父たちは村正の行動におどろいたが、もっと驚いていたのはゴーレム汽車を切られたクレイ・スチームだった。
「な、何をした貴様!!わしの魔導車一号に何をしたんだ」(怒)
 怒り狂うクレイ・スチームに対して村正は静かに返答した。
「村雨斬り」
 そう言い放った瞬間、周りにいたホムンクルス達は上半身と下半身にが分断した。
「おまえら何をしているその男を殺せ。魔導車二号、三号、四号、五号もだ。ホムンクルスを多少巻き添えにしてもかまわん殺せ」
 村正が危険とようやく理解したのか、クレイ・スチームはホムンクルス達とゴーレム汽車に命令をしたが、村正の周りにいる者たちはすべて切られた。
「いったい何が起きているんだ?」
「うむ、推測でしかすぎないがなんとなくわかりかけてきた?」
「教授、何かわかったんでありますか?」
「うむ、村雨斬りとは南総里見八犬伝に出てくる村雨という架空の刀の指し示しているんだよ」
「八犬伝なら小説で読んだことありますから知ってますが、あんな威力がある刀ではなかったであります」
「うむ、いい質問だ軍曹。たしかに小説に出てくる刀にあんな威力はないが問題なのはその刀の能力だよ」
「刀の能力。たしか抜けば水が噴き出るという非常識な能力のことでありますか?」
「うむ、その通りだよ。その刀にウォーターカッターの力が加わったらどうなると思う」
「なるほど、教授のおっしゃる意味がわかりました。たしかに加圧した水を音速で出せは、切断できます。つまり村正は剣にその能力を付加したんであります」
「うむ、そのとおり、ウォーターカッターを発生させる技なんだよ」
「納得が言ったであります」
 教授と軍曹が納得したが、ブドウだけが「ぜんぜんわからん」であった。
 そんな中、親父たちの中で唯一敵に見つからなかった影が戻ってきた。
「この惨劇はなんなんでござるか?」
「うむ、影。やっと来たか」
「遅かったであります」
「出口はあったか?」
「それよりもこの状況はいったいどうなっているんでござる。血の海と化した作業場に辺りには鉄クズ、おまけに村正はあちこち剣で切りまくっているでござる」
「うむ、それなんだがな」
 教授は、影に自分たちが追い詰められてからの状況を説明した。
「なるほど、それなら村正どのが怒りまくるのも当然でござるな!」
「影はわかるのか?あれが?」
「当然でござる。汽車に手足をつけるなんて邪道以外のなにもでもないでござる。これが汽車からロボットに変形するのなら話は別でござるが」
「なぜそう言いきれるんだ?」
「男のロマンに反するからでござるよ」
「うむ、男のロマンか」
「あまりにも常識はずれな出来事が多すぎて情報処理が追い付かないであります」
「その話はおいておいて影。出口はみつけたのか?」
「それなら見つけたでござる。ついでに捕らわれになっていた人たちも見つけたでござる」
「うむ、なら後は行動あるのみだ。影案内してくれたまえ」
「村正どのはどうするんでござるか?」
「あんな、頭に血がのぼった状態で説得は無理であります」
「たしかに、クレイ・スチームも協力者であるボーガン・アースロールやその子供である五つ子も逃げ出したから、ここから脱出する以外の選択肢はないな」
「うむ、だがその前にやらなければならないことがある」
「教授、それはなんでござる?」
「うむ、すぐに済むことだよ影」
 こうして暴れまわる村正を放置して、親父たちは捕らわれた人たちを救助し、出口に向かった。

「教授。大丈夫でありますか?」
 軍曹の問いかけに教授から返事はなかった。
「軍曹。やめておけ、教授は返答できないほど息切れを起こしている」
「もうすぐ出口でござるから、教授。頑張るでござる」
 親父たちは現在集団の最後尾にいた。
 捕われていた人たちが全員逃げ出したのか確認に時間をとられたことや、捕われていた人たちが思いのほか元気で足が速かった。
「影。そう言えば聞いていなかったが、出口には何があるんだ?」
「出口には巨大な列車があるでござる。それに乗って脱出するでござる」
 その時軍曹は何を思ったのか、立ち止まった。
 息切れを起こしていた教授も立ち止まる。
「どうしたんだ?軍曹」
「なんで立ち止まるんでござるか?」
「二人とも、奴らはどこに行ったと思う?」
「奴らって、クレイ・スチーム一味か?そりゃこんな状態なったんだ。こんな基地……あ!」
「なんとななくわかったでござる!」
「その通りであります。奴らも脱出するためにどこかに向かったはずであります」
「なるほど、影が言っていた巨大な列車で脱出しようとするから鉢合わせになる可能性が高いと言いたいのか」
「肯定であります」
「じゃあ、どうするんでござるか?前方のクレイ・スチーム一味。後方の怒りくるった村正どのがいるでござるよ?」
 通路のの奥からはいまだに怒りが収まらない。
「クレイ・スチームのバカはどこだ!あのバカどこにかくれた」
 村正の叫び声が聞こえてきた。
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