異世界親父騒動記

マサカド

文字の大きさ
54 / 328
第二章 親父たち大陸横断する

親父たち、突進する(?)

しおりを挟む
 ゴーレム列車で旅を続ける親父たち、運転を交代して休憩スペースで休んでいた村正は同じく休憩スペースで計算していた教授に疑問をぶつけてみた。 
「教授。今どの辺りを走っているんだ?」
「うむ、先ほど軍曹が六分儀で調べた結果だと、我々いた世界で言うところのアイオワ州をもうすぐ抜けることになるな村正」
「アイオワ州って、確か大統領選挙の時に必ず話題になる」
「うむ、その通りだよ。「アイオワを制する者が大統領選挙を制する」とも言われている。あのアイオワ州だよ」
「じゃあ、このコーンベルトとももうすぐお別れか」
 そう言って列車の外を眺める村正。そこはトウモロコシではないが、黄色に実ったイネ科の植物で覆われていた。
「ちょっと意味が違うぞ村正。コーンベルトはより高い価格を得るために議会に圧力をかけた強力な農業組合によって支えられた農業地帯を表しているのだよ」
「そうなのか?教授はあいかわらず博識だな」
「二人とも、講義はそのくらいにした方がいいでござるよ」
 そう言って、列車の上で見張りをしていた影が加わった。
「うむ。どうしんだね?影」
「前方から複数の黒い煙が見えるでござる」
「それ絶対に、ただの火事ではないよな!」
「その通りでござる。村正どの!」
「うむ、だとするとマズイな!そろそろゴーレム列車の内部動力を冷却するための水を補給しようと思っていたからな。何かトラブルがあるとまずい」
「確かに、水の補給はおろか、ゴーレム列車そのものを放棄することになるな。運転しているブドウに言って迂回するように言ってくる」
「それは無理でござるよ。村正どの」
「なぜだ?影」
「こちらに向かってくる多数の馬の足音が聞こえてくるでござる」
「それならなおのことマズイ!今この列車を運転しているのがブドウなんだぞ!」
「うむ、確かにマズイことになるな!」
「運転しているのがブドウどのである以上、相手の方がマズイことになるでござるな!」
「拙者。ブドウを止めてくる」
「軍曹にこの事を伝えてくるでござる」
 そう言って、影は後方で見張りをしている軍曹にこの事を伝えに行き、村正はブドウが運転している操縦室に向かったが、すでに操縦室からでも人が乗った馬の集団が視認できる距離になっていた。
「なんだあの馬の集団は、わしの愛車に喧嘩売ってんのか!」
「ブドウ。この列車はお前のものではないぞ」
「なんだ村正。運転の交代ならさっきしたばかりだろう」
「あの馬の集団が来るから、迂回するように言い来たんだ!」
「何を言っているんだ村正!あんな貧弱な奴らになんでわしの愛車が道を譲らなければならないんだ!」
「お前の愛車でもないし、無用なトラブルを避けるために手段だ!」
 思わずツッコミを入れる村正。この旅を初めてわかったことだが、ブドウは乗り物を運転すると性格が変わるタイプであった。ブドウ以外の全員がブドウが元の世界に戻った時のことを心配していたが、
「安心しろ!フルスロットルで、あんな奴らをなぎ払ってやる」
「馬鹿やめろ!そんなことしたら、こちらにも無事では済まさせれない」
 村正が止めるのも聞かずに、ブドウはゴーレム列車を加速させ、ゴーレム列車は走るミサイルと化した。
正面から向かってきた集団に次々とゴーレム列車に体当たりされ、人と馬は宙を舞ったのだった。
 ゴーレム列車の休憩スペースに避難していた教授、影、軍曹は飛んできた人や馬を見て、村正がブドウの説得に失敗したことを察していた。
「うむ、人と馬が飛んでいる」
「人も馬の五体を広げて、十字手裏剣のように回転しているでござる」
「肯定であります」
 そう言って現実から目を背けていた。
 そして、この事が後のトラブルの火種になることを親父たちは気づいていなかった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

屋上の合鍵

守 秀斗
恋愛
夫と家庭内離婚状態の進藤理央。二十五才。ある日、満たされない肉体を職場のビルの地下倉庫で慰めていると、それを同僚の鈴木哲也に見られてしまうのだが……。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~

ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。 そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。 そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。

性転のへきれき

廣瀬純七
ファンタジー
高校生の男女の入れ替わり

処理中です...