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第一章 

1-30 高度な魔法がつかえちゃった

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 先程見た映像を両親に話すが、いまいち伝わらなかった。

私自身も上手く説明ができなかったのがいけなかった。

しかし、あの映像を説明するのは至難の技だった。

そこで、口で説明するより実際に身近なもので試してみる事にした。

お父さん達の前に、木のみを置いて映像で見た魔法を使ってみた。

一度見ただけで、初めて使う魔法なので成功するか心配だったがやるしかなかった。

お父さんとお母さんも、私のやる事を一応静かに見守ってくれるようだった。

私は集中して木のみに魔法をかけた。

すると、見事に成功した。

お父さん達の前から木のみが消えた。

あくまでもお父さん達の視界から消えただけで、私の目には木のみはしっかりあった。

お父さんとお母さんは大きな目をパチクリしていた。

お父さんとお母さんに、木のみがあった場所に手を置くようにいった。

すると、お父さんが恐る恐る手を前に突き出すと何もぶつかる事なく、地面に触れたのだった。

しかし、ちゃんと木のみはある。

お父さんにそのまま手を置いておくように言って、もう一度魔法をかけた。

今度は解除の魔法だ。

解除の魔法は映像にはなかったが、隠蔽魔法の逆をすればどうにかなると思って発動させた。

これまた成功!

お父さんの手の上に、木のみが現れた。

お父さんもお母さんも何が何やら...。

"お父さん達には、木のみが消えたように見えたけど、木のみはずっとあったんだよ。
この魔法なら、皆んなの存在を人間?にバレないようにできると思うよ"

私の言葉にお父さんとお母さんは唖然。

理屈は理解出来たようだが、木のみは小さいので私の負担は少なかった。

しかし、あれだけの大所帯のドラゴンをとなると話が違って来るのだった。

娘である私からのありがたい申し出に、お父さんもお母さんも複雑な表情を浮かべていた。

そして、私に魔法を使わす前にお父さんが兄弟達と話し合う事にした。

ドラゴン族の中で、私達の住処は1番人間の住処と近く、時々親しい人のみ交流があった。

まぁ~彼らが自分達を襲う事はないが、兄弟は別だ。

彼らから手を出せば、私達を襲わない人間も気持ちを変えるかもしれない。

それに、人間の友人達と交流を持っている事を兄弟とはいえ知られたくなかったのだった。

"私からのなんとか説得してみるよ。近くに住むのはいいが、せめてもう少し離れてくれと...。"

力なく呟くお父さん。

そんなお父さんにお母さんはそっと寄り添っていた。

いくら兄弟であるお父さんでも、あのドラゴン集団を説得出来るとは思ってなかったが、誰も口にしなかったのだった。


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