異世界で家族と新たな生活?!〜ドラゴンの無敵執事も加わり、ニューライフを楽しみます〜

藤*鳳

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第二章 歩み〜生活基盤を整えましょう〜

2-7 新設!鍛治工房のお披露目

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 固まっていたドラしゃんも元に戻ったので地面に倒れている2人を放置して皆で新設された鍛冶場and鍛治工房を見学することにした。

案内役補助が私とお兄ちゃんで説明はお父さんとドムじぃーちゃんがすることに。

まず初めに入ったのは鍛冶場の方。
外観は西洋風の石造りの倉庫みたいな佇まいをしているが...扉はいたってシンプルな板の引戸。

まぁ~シンプルに見えてても使っている素材は一級品で、耐熱性も備えているから鍛冶場の扉にはうってつけ。

引戸をあけると...かなりの熱気が室内から押し寄せてくる。
まだ炉に火は灯されてないのになぜ??見るからに熱気の入った場所であることが肌で感じられるぐらいの熱気があった。

でもちゃんとなかを確認すると火は灯されてないから驚くしかない。

『凄いですね。今の今までで火を灯して作業をしていたようですね。ここでどんな作品が生み出されるのかこれは楽しみですね。』

「あちゅうーい。」

「暑い...でもなんも燃えてないですね?」

ドラしゃんの腕に抱かれて小さな手をパタパタされる私とお兄ちゃん。
そして...

「これは凄いよぉ~。魂の入った鍛冶場じゃねぇーか!こんなの王都にもないぜ!凄えなぁー!やるじゃねぇーなぁー!ドムのやろう!!」

「ああ!これは凄いな。これだけの鍛冶場...人生で一度拝めるか分からない出来栄えじゃねぇーかぁー...。」

いつのまにか復活したロドじぃーちゃんとムキじぃーちゃんが感激の声を上げる。
ルミばぁーちゃんもお母さんも2人の言葉に頷く。

そんな皆の反応を見てお父さんとドムじぃーちゃんは照れくさそうにしながら建物の説明を丁寧にしてくれた。

「色々あったがよぉー...これが今朝完成した【異世界 鍛治工房】ってやつだ。
今お前さん達に見てもらってるのが"鍛冶場"部分になるな。ここで、剣や刃物類を打つんだぜ。いいだろう。
ちゃんとそれぞれの獲物を打つのに必要な温度を出す炉も数用意してあるし、地下を素材庫にしてある。
地下の倉庫も含めて...2階建ての建物にしてみたぜ。
俺が土台と骨組みをつくって、あとはユウダイに任せてみた。いい出来栄えだろう?」

ドムじぃーちゃんは小さい体をめいいっぱい大きくして自慢する。
その横でお父さんは照れ臭そうにはみ噛みながら

「こういった専門の建物を造るのは初めてでしたからかなり悩みました。でも、ドムじぃーちゃんが分かりやすく説明してくれたのでそこまで悩まずにできたかと思います。
こういった建物は私の世界にもありましたからね。まったくなければここまではできませんでしたよ。」

頭を掻きながら話すお父さんはどことなく可愛く思えた。

今回のこの"鍛冶場"は、外観も内装もその世界の人達には見慣れないデザインだったようで、それぞれ散り散りに気になる所を見て回り出す。

鍛冶場の内側の壁は六重構造をしているらしく、内側の素材ほど耐熱性に優れており外側に行くほど通気性と冷却性を備えた性質を持つ素材を使っているとお父さんは語る。

これにはドムじぃーちゃんも初め聴いた時かなり驚いたそうだから他の人もそりゃー驚くよね...。

『はい?六重ですか?!またなんでそこまでされるんですか?』

「私らの知る鍛冶場ですら良くて三重じゃなかったかい?」

「ああ、確かそうだったはずだぜ。ドムの所もそうだろう?」

ドラしゃん、ルミばぁーちゃん、ロドじぃーちゃんは本気で驚いていてドムじぃーちゃんを見つめると...ドムじぃーちゃんは困惑しながらお父さんを見つめる。

皆の視線を感じお父さんは壁を触りながら説明をはじめる。

「えっと...ですね、私の世界にありますある工房では...内側からの熱による火災を防止するための対応策として床は石畳かコンクリートといって熱に強い素材を使用してます。壁にも色々工夫してまして...熱に耐えながら空気の流れを阻害せずに湿気なんかにも対応する構造をとっているところがあったんですよ。それを参考にしてみました。」

お父さんの言葉に大人達は唖然として、私とお兄ちゃんは建物内でかけっこをして遊んでいた。

 外観にこだわっているのは鍛冶場だけではなかった。工房の方もこだわっているみたいで、手前半分が土壁で所々細かな竹細工の飾り加工が施されているなど、目でも楽しめるように造られている。
日本の京都なんかでは見慣れた感じの外観だけどこの世界では新鮮そのもの。

工房の方も引戸を採用しており、建物の外観も内装も鍛冶場とはまた違った雰囲気に仕上げているがとてもいいつくりにしている。

特に窓が変わっていて、飾り窓の横に必ず機能性のある窓を設置しており中で作業している人だけでなく、来店されるお客様の目も楽しませるように気遣われたつくりにしている。

これは建築士としてのお父さんの気遣いとおもてなしの心遣いが滲み出ていたのだ。

工房の作業スペースは"和"の雰囲気を中心とした涼やかで落ち着いた雰囲気に家具類を統一している。

売り場の方は和と洋を上手く組み合わせた雰囲気作りがされていて、建物全体を通してもどことなく雰囲気が統一された感がちゃんとありいい感じ。

「商品棚は一度作ったものをドムじぃーちゃんに見てもらって、こちらの世界の人にも違和感のない作りにした方がいいと言われまして、実際に手で取って確認できるような感じにしました。」

どうやら最初は全てショーケースに入れて展示するようにしていたようなのだが、それでは庶民には敷居が高い雰囲気になってしまうのでやめた方がいいとドムじぃーちゃんが指摘したそう。

そして2人して話し合って

「いい奴は数点だけカウンター近くに置いて他は工房内で保管する事にしたんだ。」

「盗難防止も兼ねてその方がいいだろうと言われましたのでそのようにしてみたんです。」

ドムじぃーちゃんとお父さんがそう説明するとロドじぃーちゃんもルミばぁーちゃんもその方がいいと賛同する。

あとよく見ると...店内のどの家具、棚にも必ず何処かに店の外にかけてあった看板に印されていたモノと同じモノが刻まれている。

「盗難防止のためさ。家具だけでなく、商品にもちゃんと同じ"印"をつけるようにするつもりさ。」

ドムじぃーちゃんがそう話とドラしゃんが

『それならこの店内にあるもの全てにある"処置"を施しましょうか。盗難、窃盗、営利目的で店主の許可なく持ち出したり、売ったりしたら天罰が降るように。』

とても楽しそうに微笑みながら話しているが...内容は楽しくない。
だが、ドラしゃんの提案には両親以外全員賛成したので後ほどドラしゃんが"処置"を施すことになった。

そして店内ある程度見て回ったのだが...例の2人の姿が見当たらない。
いや...本当はとうに見つけているのだが...あえて気付かないフリを私とお兄ちゃん以外はしていたのだ。

私とお兄ちゃんは本当にラミィお兄ちゃんとモッケしゃんを見つけれてなかった。

すると急に会計カウンター近くにいたルミばぁーちゃんが咳払いをしたかと思ったら

「この建物は見慣れないけど雰囲気はいいじゃないかい。私は気に入ったよ!
あとは商品を飾って内装を少しいじればこの世界の住人も喜ぶさね。
特にうちの連中が見たら喜ぶだろうね。
 アイツらは新しいもの好きだから食いつきは良いと思うよ。
なんならあっちのギルドも古いからこんな感じにしてもらおうかしらね。」

辺りを見回しながらお父さん達に褒め言葉を送り出す。

すると...それをきっかけと言わんばかりに

「お父さん、凄いわぁー。昔家族で行った京都のお店に雰囲気が似てるわ。それに確かお父さんが昔、見学したって言う場所にも似てるわね!」

お母さんは嬉しそうにお父さんの側に行き感想を伝えたり、ドラしゃんも私達を抱き抱えたままお父さんの側に行き褒め言葉を伝えだす。

『旦那様凄いです。ドムが手伝ったと言っても完成度も高く雰囲気も素晴らしいです。
 これは、この世界で1番流行る店になりますよ。』

ドラしゃんにも褒められてお父さんは顔が真っ赤っかに。

私とお兄ちゃんはドラしゃんの腕の中から"よかったね。"と笑顔で気持ちを伝える。

『所で、先程から気になっていたのですが、看板や家具に印されているのはもしかして...。』

ドラしゃんがそう確認すると。

「アレは俺とユウダイで決めたマークだ。俺の立ち上げた大工ギルドのマークと組み合わせて造った印だ。
あとは、申請をすれば誰も文句は言えないだろう。
そんくらいしとかんと後々文句を言う奴らが出てくるからなぁー。」

ドムじぃーちゃんはそ言いながら古びた紙切れをズボンのポケットから出して見せた。
そこにはいくつか色んな印を描いてあり、家具達に印字されている印もちゃんと描かれてあり一際大きな丸で囲われている。

どうやらこの世界にも登録制度みたいなのがあり、商品を販売する前にどんな品を販売するのか、店の印(シンボル)はどんなものかを申請しておく必要があるとのこと。

これをしておくと、トラブルがあった時に直ぐに対応してくれるし印の付いた建物及び商品は偽造が認められない仕組みだとロドじぃーちゃんが教えてくれた。

しかも偽造したらそれなりの罰則がつくらしい。

(見分け方?確かね、印に宿る魔力を見るんだって。それで判別するんだって)

『では、申請に関してはこちらで後々手配しておきます。
で・す・の・で、販売商品はまだ造らないで下さいね。』

ドラしゃんはお父さんに注意を促す。
その点はちゃんと釘を刺しているとドムじぃーちゃんが笑いながら答えた。
お父さんもまだそこまで、準備が整ってないので大丈夫だと答える。

「しかし、なんだい?この...変わった匂いわ。臭くは、...ないんだけど嗅ぎ慣れない匂いだね。」

ルミばぁーちゃんが建物内から香るある匂いに気づき鼻をヒクヒクさせる。

(その匂いに関して私とお兄ちゃん、お母さんは、嗅ぎ慣れていた為違和感は感じなかったのであまり気づかなかったんだよね。)

ルミばぁーちゃんの言葉を聞いて皆で鼻をクンクンしてみた。
すると、懐かしい匂いがした。

「ちゃちゃみだ!」

私はつい嬉しくなり大きな声を上げてしまった。
そうなのです。この建物内で香っていた匂いの正体は、"畳のい草"の匂いだったのだ。

私の言葉にお父さんとお母さん、お兄ちゃんは"リン、正解だよ"と褒めてくれたが、ドラしゃん達は当然?マークが。

『あのう?"チャチャみ"とはなんですか?』

ドラしゃんはお父さん達に私の言った内容を繰り返して確認する。
ドラしゃんの言葉にお父さんは微笑しながら

「畳です。私達の国のシンボルの1つなんです。大体の家や建物には使われています。香りも良くて肌触りも良いんです。
私達には、馴染み深い物なんで造らせて貰いました。」

そうお父さんは説明すると工房への扉を開けて"畳"を見せる。
扉を開けるとより一層い草の香りが広がってくる。

皆視界に入っていて店内に入った時から気になっていたらしいが、それ以上に気になるものだらけだったので"畳"の存在は後回しになっていた様子。

「これは、凄いじゃないかい!いいね。
今度私の家にも作ってくれるかい?」

ルミばぁーちゃんは畳が気に入った様子でお父さんにお願いするとお父さんも、"こんなので良ければ"と快く了承していた。

畳をみたドラしゃんも感激していた。
そして、ドラしゃんも自分用に同じ物を作って欲しいと依頼したのであった。

終始イイ雰囲気で過ごしここまま何事もなく終わるかと思った。
が。ドラしゃんは忘れてはいなかった。

畳に盛り上がる中私とお兄ちゃんをお父さんとお母さんに預けると。
そーっと、気配を消してカウンターへ。

このまま、無事に終わると思い気を緩めていた2人の元へと...。

そうなのです。
私とお兄ちゃんを連れ去って走り、目眩しをして店内に逃げ込んだふたり...。
ラミィお兄ちゃんとモッケしゃんはずーーーーっとこのカウンターの裏で大きな体をこれでもかと小さくして隠れていたのだ。

誰も気付いていないと思い油断してしまったふたり。
カウンターの裏で小さくなりながらも、喜んでいたところに...悪魔の微笑みを浮かべたドラしゃんが声をかける。

『何で、こんな所でいるんですか?
隠れないといけない事でもしたんですか?
あっ~、そうでした。
先程、私の前からお嬢様と坊っちゃまを誘拐されましたね。
これは、お仕置きですね。
"無事でいられるとは思うなよ。"』

最後の一言は聞き取れなかったが近くにいた2人には聞こえており顔面蒼白になり地震でも起きたかのように震えているではないか。

ラミィお兄ちゃんとモッケしゃんがドラしゃんに怒られると思った私は必死にドラしゃんにお願いをする。

「ラミィお兄ちゃんとモッケしゃんはあしょんでくれたの。おこらないでね。」

私が必死にお願いするとドラしゃんは笑顔を向けて"大丈夫ですよ"と言って、何故かモッケしゃんだけ連れて店の外へと消えて行ったのだった。

残されたラミィお兄ちゃんは顔面蒼白のままドラしゃんとモッケしゃんが消えた先を見つめている。



...数分後。笑顔のドラしゃんとその後ろをフラフラになってやつれた顔をして歩いているモッケしゃんが帰えってきた。

見た目は怪我等はないのにやたらフラフラしているモッケしゃん。

なんとか無事?に、新しい工房の御披露目会も済んだので次の作業に取り掛かることにした。

『ラミィー。貴方には、今から旦那様の為に働いてもらいますから。
その覚悟でいて下さいね。』

ドラしゃんは笑顔でラミィお兄ちゃんを見つめながら伝えると、ラミィお兄ちゃんは、首がちぎれんばかりに振って頷く。

お披露目会も終わったので一度、皆で建物の外に出る。
店の外に出るとドラしゃんが何やら魔法を使い出したかと思ったら"鍵"を作成しだした。あと、建物全体に特殊な結界を張ったようで少しの間だけ建物全体が光っていた。

鍵は全部で3つ作られており、1つはドムじぃーちゃんに。もう1つはお父さんに。最後の1個はマスターキーとしてドラしゃんが持つ事になったようだ。

結界は工房が閉まっている時に、鍵も持たず私達家族以外の者が侵入した場合の為の保険とのことらしいが...

「もし、侵入してらどうなるんですか?」

とお父さんがドラしゃんに尋ねると目がまったく笑ってない笑顔で

『知らない方がいいですよ。』

ととても背筋が凍る返事がかえってきたので、誰も詳しくは聞くことはしなかった...。














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