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第四章 新しい国誕生!〜国の設立と同盟〜
4-18 お兄ちゃんの【大聖霊】と【聖獣】誕生?!
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家に戻って一息ついた時だったかな?
いきなり、お兄ちゃんの魔法鞄から不思議な光が放たれたの。
何事かと驚いていると、【聖獣】達がお兄ちゃんの鞄を見て笑顔を見せる。
そして...。
『これはこれは。どうやら卵が孵りそうですのう。坊ちゃん。鞄から卵を取り出して欲しいのう。』
フウちゃんがそうお兄ちゃんに伝えると、お兄ちゃんは嬉しそうな表情で魔法鞄から卵を取り出す。
フウちゃんの言う通りなのか、卵が不思議な光を放っていた。
そして、その光に反応する様にお兄ちゃんの腕輪も同様に光を放つようになった。
何が起きているのか分からず、お父さんもお母さんは焦っている。
その反面、ドラしゃんとムキじぃーちゃんは嫌な予感がしているようで、眉間に皺がだんだんと寄っていっている。
お兄ちゃんの腕輪が一段と光光が強くなったその時だった。何かが飛び出してきたのだ。
ぽん!となんとも言えない可愛らしい音がしたと思ったら、これまためちゃくちゃ可愛い生き物が腕輪から出てきたのだ。
そして、その生き物はゆっくりと目を開けて、自分の周りを見つめたあとにぱっと笑みを浮かべると話しかけてきた。
『初めまして?かなぁ?やっと君に会えたよ。君の心がきちんと成長したのを感じたよ。僕は【火の大聖霊】まだ名前はないんだ。君が付けてくれるかい?』
お兄ちゃんの腕輪の中から産まれてきたのは、【火の大聖霊】。
文字通りに"火の様に"メラメラと燃える短髪の赤色の髪が特徴的で、シュウイロの瞳をしていて、アラブ系の服を着たとても可愛い男の子だ。
以前【炎の大聖霊】に進化したイフリートがお兄ちゃんに渡した【大聖霊】の種が成長して産まれてきたのだった。
お兄ちゃんは、大感激して声にならない声をあげていた。
自分だけの、【大聖霊】を手にする事が出来たのもあるが、自分が成長している事が分かったのもあり本当に嬉しそうにしている。
「じゃー君に"レッド"って名前あげる!僕が1番好きな色なんだ。リーダーの色だから。」
お兄ちゃんは、戦隊モノなら必ず"赤色"のヒーローを選んでいた。
もちろん他の色のヒーローも好きだが、"赤"はお兄ちゃんの中では特別な色だった。
お兄ちゃんに"レッド"って言われた【火の大聖霊】は嬉しそうな表情をする。
『嬉しいね。僕だけの名前!"レッド"ありがとう。今日から僕は"レッド"だ!』
レッドが両手両足を広げて、大の字になった時周りに火の粉が散った。
その火の粉が卵に触れた瞬間、お兄ちゃんが手にしていた光る卵も割れて中から【聖獣】がでてきた。
しかも1つの卵から3匹も出てきたのだった。
オレンジ色のトカゲ?なのかな??あと、眼鏡をかけたモグラ?見ないな生き物と、短毛で少しボサっとした灰色の毛を纏った犬?みないなのがでてきたのだ。
どれもとても小さかった。
お父さんとお母さんは、驚きすぎて現実逃避してお茶を啜りながらお煎餅を食べていた。
ドラしゃんとムキじぃーちゃんは、胃を押さえながら床に伏せて、私は自分の【聖獣】達とワイワイしている。
『珍しいのう。1つの卵から3匹とはのう...。それもどれも性質はバラバラじゃのう。どの仔もまだ赤子じゃのう。
主人の兄だから魔力はそれなりに高いからのう、すぐ成長するでのう。』
フウちゃんが不思議そうな表情を浮かべながらそう教えてくれた。
お兄ちゃんは、もうテンションMAX状態。
目は爛々として、感激のあまり完全に声が出ていなかった。
そんなお兄ちゃんに、レッドが声をかける。
『主人。この子達は、主人の魔力と僕と魔力が合わさって産まれた、主人だけの【聖獣】だよ。
まだ名前がないから、僕みたいに名前をつけてあげて。
そうすれば、主人と契約できるから。』
レッドの言葉を聞いて、お兄ちゃんはハッと我にかえり、今度は悩み出す。
そして、後ろで【聖獣】達と騒いでいる私に声をかけて来た。
「リン。どうやって名前を決めたんだ?」
お兄ちゃんは、すでに【聖獣】と契約をしている私にアドバイスを求めて来たのだった。
しかし、そんな事を聞かれても..。
「ちょっかん!」
としか、私は言えれなかった。
本当にそうだからね。その子の顔を見ていると、この名前しかない!!って感じで決めたからね...。
私の言葉を聞いて、お兄ちゃんは何故か納得していた。さすが、私のお兄ちゃんって言うべきだね。
そして。
「ありがとう。」
と私に御礼を言うと、産まれたばかりの【聖獣】達の前に行き見つめる。
しばらく微動たりともせずに、いて何か思いついたのか"よし!"と言う声をあげた。
「トカゲみたいなキミは、"サラマンダー"、モグラに似ているキミは、"ハカセ"、犬に似たキミは、"ウルバリン"だ!どう?いい名前だろう?」
お兄ちゃんは、満面の笑顔を浮かべてそう【聖獣】達に向かって声をかけたのだった。
すると、【聖獣】達は自分達に付けられた名前に反応して、額が光り出すのと同時にお兄ちゃんの腕輪にも腕輪も光だす。
光が消えると、お兄ちゃんの腕輪には、【聖獣】達の額に浮かんだ紋章と同じ紋章の飾りがついていた。
『これで、お主と【聖獣】との契約が結ばれたのう。
この仔らは、お主の魔力と想いで作り上げられた【聖獣】だのう。
お主の心、力ひとつで、こやつらは【魔獣】にでも、【聖獣】にでも変わる事ができる。もちろん進化もだのう。
主人であるお主が良き心で成長し、この仔らにもそれ望むのであれば、この仔らもそれに応えてくれるでのう。頑張るのだのう。』
フウちゃんがそうお兄ちゃんに丁寧に説明する。
本当にフウちゃんは物知りなんだなぁーと私は感心した。
そして、私にも
『この言葉は、主人にも通ずるものがあるでのう。
この世界で元々いた【聖獣】や【大聖霊】達も、主人の気持ちや魔力次第でどうとにでもなるのう。
ワシらは、主人がこのままで成長してくれるのを望むでのう。
そうすれば、ワシらももっと強くなって、この街どころか、この世界丸ごと良いものに出来るでのう。』
フウちゃんの言葉に、その時の私とお兄ちゃんは特に何も考えずに"わかった"って返事をしたけど、周りで聞いていたお父さん達はゾッとしていた。
幼い私とお兄ちゃん次第で、【聖獣】や【大聖霊】だけでなく、この世界すら変えてしまうと言う事実にだ。
フウちゃんの言葉に喜んでいる私とお兄ちゃんとは、反対にお父さん達の顔色はだんだんと悪くなっていった。
それに気付いたフウちゃんは、お父さん達の前に飛んで行き小声で話をする。
『そこまで気にやむ必要はないのう。
あの2人に今まで通り、善悪をはっきり教えてくれたら良いのう。
そして、惜しみない愛情を注いでくれるだけで良いのう。言葉で、態度で、視線で。主達が出来る全ての手段で頼むのう。
ワシらは信じておるのう。主人達が、今のままの純粋で思いやりのある人間のまま成長してくれる事をのう。』
フウちゃんの言葉によって、お父さん達の顔色は少し戻ってきた。
お父さん達とフウちゃんが話している間に、今度は"お兄ちゃん"がやらかしたのだった。
「なら、僕はヒーローやムキじぃーちゃんみたいに強い男になる!
弱い者を護れる強い男に。体も心も。
そんでもって、いつかみんなでこの世界を冒険するんだ。
だから、お前達も強くかっこよくなってくれよ!今日から僕の相棒だからな!」
とお兄ちゃんが【聖獣】に行った瞬間だった。
産まれたてで、ヨチヨチ姿の【聖獣】が一気に、フウちゃん達と同じ大きさになり、少し姿もしっかりとした姿になった。
さらに...。
『すげーぞ主人!こんなに早く、喋れる様になるなんて!今日からよろしくな!』
と、サラマンダーがいきなり話しかけてきたので、私もお兄ちゃんもびっくりする。
風貌が少し、コモドドラゴン??に似ていて、背中に立て髪が生えた感じに見えているのは...気のせい?と思いたいが...気のせいではないみたい。
頭から尻尾まで、火の立て髪がメラメラと揺れていて、二本足で直立姿勢を取りながらお兄ちゃんに話しかけてきたのだから驚くなって言う方が無理だよね。
たがそれだけでなかった。サラマンダーの側にいた他の子達も同様に...
『わぁーい♪僕も喋れるぅ~。主人宜しくねぇ~。困った事があったらなんでも言ってねぇ~。相談にはのるからぁ~。』
と、ハカセが。
小さかったからモグラに見えたが、少し大きくなったらどちらかと言うとタヌキ??に雰囲気が似てるような...でも尻尾は短いからモグラだね。
眼鏡は掛けたままだっし、フォルムがデカくなっただけで、手足や顔はそのままだし、目は糸目だしね。
気の抜けたふんわりとした喋りをする。
なんとなく...モッケしゃんに似ていると感じたのは私だけなんだろうか??
『ヨッ!お前の心意気気に入ったぜ!
今日から相棒かぁ~!いいぜいいぜ!
よろしく頼んだぜぇ!相棒!』
と、ウルバリンが。
犬と言うか、灰色かかった狼の姿になっていた。
それでもまだ、仔犬感は若干感じられるがとても頼もしい姿になっていた。
産まれて数分の出来事...。
もう、ドラしゃんもムキじぃーちゃんも何も言えなかった。
何せ前科者が居るので、今更って感じのようだ。
(前科者って誰なんだろうね?)
それでも、やはりお兄ちゃんの魔力量は凄かったみたい。
爆誕したお兄ちゃんの【大聖霊】と【聖獣】。
普通は同時に誕生する事はフウちゃんいわく、ないらしいのだが...なぜが爆誕した。
お兄ちゃんの【大聖霊】と【聖獣】は、お兄ちゃんの魔力と心の強さで、産まれたオリジナルだしね。
能力値もどの程度成長し、進化するかもわからい。
まさに未知数の能力を兼ね備えた、未知の存在なのだ。
お兄ちゃん次第で、悪にでも善にもなる。
しかもこれだけですまないのは、ドラしゃんもムキじぃーちゃんも既に私で経験済み。
今後何が起きるのかは、大体の予測ができていた。
その為、ドラしゃんもムキじぃーちゃんも警戒をしていたが...?...?
一向に、そういう気配がしない。???どういう事かと、ドラしゃんがフウちゃんに尋ねると、フウちゃんから意外な返事が返ってきた。
どうやらお兄ちゃんの魔力は高いが、私ほど複数の契約が出来るだけの能力値が高くなかったみたい。
今のメンバーと腕輪に眠っている【大聖霊】と契約するのが限界との事だった。
それを聞いて、あからさまにホッとするふたり。
私は少しムッとしてしまった。
お兄ちゃんは少し、しょんぼりしていたが自分だけの【大聖霊】と【聖獣】の両方と契約できたので、良しとしたようだ。
一応お兄ちゃんも【大聖霊】と【聖獣】両方と契約した事を、ルミばぁーちゃんやロドじぃーちゃん達にも連絡する事に。
その間、私とお兄ちゃんはそれぞれの【聖獣】達と遊んで過ごす事にした。
能力値の確認も兼ねて。
お兄ちゃんが契約した【大聖霊】は、火関係の魔法は最初から初級から神級まで使えるみたい。
それを聞いて、私とお兄ちゃんは驚いたが、同じ【大聖霊】であるイフリートが言うには、【大聖霊】なら当たり前だそうだ。
それより、【聖獣】の3匹の方が意外性に富んでいたみたい。
まず、サラマンダーは見た目通り火系は勿論だが、水系と土系の魔法も使えるみたい。
しかも防御系より、攻撃系が得意で魔法の種類も豊富なのが分かった。
初級と中級までだが、それでも産まれたての【聖獣】にしては、上出来だとフウちゃんとイフリートが教えてくれた。
フウちゃんも産まれたてなのに、なんで物知りなのか聞いたら、フウちゃん達は元々この世界にいた【聖獣】を元にして産まれたので、記憶や能力の一部は引き継いで産まれているんだって。
同じ産まれたてでも、お兄ちゃんの【聖獣】とは、年季が違うんだと自慢げに話すフウちゃん。
私が新しく契約した【聖獣】は、幼い見た目に反して能力は一級品なのも特例らしい。
私の年齢に合わせて、彼らも見た目を合わせてくれているのだという。
それを新たに知って、私は複雑な気分に...。
(まぁー可愛からいいんだけどね。)
気を取り直して、お兄ちゃんの残りの【聖獣】の能力確認の続きをすると、ハカセは、土系と水系の他にも風系の魔法も使える。
しかも、単体魔法の他にも複合魔法も使えるというのだ。
これはかなりレアケースらしく、フウちゃんもイフリートも驚いていたけど、本人はいたってマイペースでほわーんとしている。
サラマンダーとは違い、攻撃系より防御系が得意で、回復魔法も使える。
かなりバランスがとれる組み合わせである事が分かった。
あと、ウルバリンはと言うと...風系と雷系に氷系魔法も使えるという。
しかも、ハカセと同じで単体魔法から複合魔法まで使える上に、攻撃系も防御系も両方バランスよく使えるのだ。
そしてウルバリンの1番凄い能力が、成長すれば"群れの長"と言うスキルが使えるとの事だ。
"群れの長"と言うスキルは、自分より格下の魔獣や【聖獣】を一時的に従える事ができ、群れにて敵を攻撃したり、防御を行う事ができるという優れもの。
それは、犬系の魔獣のごく一部だけが使えるスキルだとか...。
思わぬ能力の持ち主ばかりで、皆で驚くしかできなかった。
お兄ちゃんを確認したら、自然と私の方へ視線が。
えっ?!と私が驚いていると、この際だから私の契約している【大聖霊】と【聖獣】の能力を確認しては?とお父さんとお母さんが言い出したのだ。
その言葉に反応したのか、私の腕輪が光って【大聖霊】達が皆出てきて、何故か目を輝かせて私を見つめる。
(やる気満々?えっ?!)
不安がる私をよそに、皆は能力鑑定をし出す。
そう言ってもステータスをオープンにして見せるのと、簡単な魔法を披露するだけだが...。
それでもえげつない状態に...。
元来この世界にいる【大聖霊】達は、魔法に関しては、自分達の属性系の魔法なら初級から神級まで全て使えるのが前提だ。
だが!!問題はここからだ。
本来ならそこまでなんだが、私と契約する事によって複数の合成魔法まで使える様になっていたらしい。
本来なら【大聖霊】と言えど、身体にかなりの負担を強いられるので、合成魔法は【大聖霊】単体では使わない。
使うなら、互いに協力し合って、互いの魔法を合成して使うのが、本来の仕組みらしい。
簡単に言えば、イフリートのウンディーナが火と水の初級魔法を組み合わせて、火と水の合成魔法にしてから放つみたいな...。
それを、イフリートならイフリート単体で火と水の合成魔法を放つ事が出来る様になっていた。
それも、身体に負担もなく...。
??なぜ??
『簡単じゃのう。主人と契約する事によって、主人の魔力をワシらはモロに影響されるのう。
そのお陰で、ワシらの魔力値は強化され知らぬうちに進化ももたらしてくれたのう。』
驚く私達にフウちゃんが解説してくれた。
ちなみにだが、ドライアドは、水と土の属性魔法しか使えなかったのが、契約後には火も使えるようになり、更に"森林緑魔法"と"花魔法"というオリジナルの魔法も編み出していた。
ノームは、土の属性魔法のみだったのが、契約後には水と火も使える様になった上に、"大地魔法"を編み出していた。
ウンディーナは、水の属性魔法のみだったのが、契約後には氷と土も使えるのようになり、"水氷魔法"と"自然魔法"を編み出していて、天候までも自由に操れる様になっていた。
イフリートは、火の属性魔法のみだったのが、契約後には炎と風も使えるようになり、"火炎魔法"と"火山生成"を編み出していた。
シルフは、風の属性魔法のみだったのが、契約後には雷と土も使えるようになっていて、"天災魔法"と"風霧魔法"を編み出していた。
ミストは、水の属性魔法のみだったのが、契約後には風と氷も使えるようになっていて、"霧魔法"と"水風魔法"を編み出していた。
サクラちゃんは、元々オリジナル【大聖霊】扱いになるので、契約時より水と土と風に火魔法が使えるうえに、更にオリジナルの"花魔法"と植物魔法"が使えていた。
セルシウスは、氷の属性魔法のみだったのが、契約後には水と風も使えるようになり、"水氷魔法"と"氷霧魔法"を編み出していた。
シヴァは、氷と水の属性魔法のみだったのが、契約後は風と闇と雷も使えるようになっていて、"水風魔法"、"氷風魔法"、"氷闇魔法"を編み出していた。
ルナミスは、光の属性魔法のみだったのが、契約後は火と水と風魔法も使えるようになっていて、"光火魔法"、"光風魔法"を編み出していた。
シャドウは、闇の属性魔法のみだったのが、契約後は火と水と土魔法も使えるようになっていて、"闇黒魔法"、"漆黒魔法"を編み出していた。
オリジンは、呼んでも出てこなかったのでお仕事中??という事で次回になった。
しかし、それでも【大聖霊】でこれって言う事は...。
側に居る【聖獣】達を見つめると満面の笑顔が...。
『ワシらは【大聖霊】様の眷属じゃのう。【大聖霊】様達の能力が向上しているなら、ワシらも同じだのう。』
フウちゃんが能天気にそう話してくれたのだが、内容は能天気な内容ではなかった。
『あと、主人もですよ。今はまだ魔法は最小限しか使えない様にしてありますが、かなり能力値は上がってますよ。
そうでないと、契約している我らの能力も上がりませんからね。下手したらここにいる【大聖霊】全員より主人の方が能力値はかなり上です。』
ドライアドがこれまたえげつない内容を満面の笑顔で話してくれた。
いまいち状況が掴めない私とお兄ちゃんはキョトンと。
意味が分かるお父さんとお母さんは、白目を向いて倒れてしまった。
私はフウちゃんにお願いして、ドラしゃんとムキじぃーちゃんを呼びに行ってもらった。
ドラしゃん達が来るまで、残っているメンバーでお父さん達の介抱をする事にした。
しかし、やり方が分からず困っていたら、シャドウがお父さんとお母さんを影を使って浮かせて移動してくれて、プレイペースまで運んでくれた。
すると、ドライアドが木の皮の繊維を編んでハンカチを作ってくれて、ウンディーナがそれを水で濡らして、シヴァが適度に凍らせてくれた。
それをふたりのおでこに置いて、シルフがそよ風を吹かせて、サクラちゃんがお母さんの好きなカモミールの香りを漂わせてくれた。
そして、周りを皆で囲んで様子を見る事に。
いろんな情報が一気に入ってきて、処理できずにパンクしたと、フウちゃんは言っていたが...。
なかなか目を覚さない両親の状況に心配しかなかった。
かと言って、自分が出来ることはなかった...。
こんな時って、子供である自分が無性に腹立った。
それを察した、【大聖霊】と【聖獣】達に慰められた。
『人間が子供でいる期間ってすごく短いらしいの。』
『子供でいられる間は、甘えたらいいんだよ。』
『子供の特権ってやつだ。』
『いやでも大人になれるんだからよ。』
『子供の時期にしかできない体験を沢山したら良いよ。』
『...焦るの...よくない...。』
『大丈夫だよ!』
『凹むのもわかるけど。』
『それも、これからのあなたにとって大切な体験よ。』
『大丈夫。あなたができない事は。』
『我らがするだけの事。』
【大聖霊】達にそれぞれ励まされた。
その言葉に私もお兄ちゃんも勇気を貰い、少しむず痒くなった時だった。
家の...というか、玄関の扉が勢いよく開く音と共にドタバタと足音が聞こえてきた。
『旦那様!奥様!ごぶじですか?!』
扉が勢いよく開いたと同時に、ドラしゃん、ムキじぃーちゃん、ルミばぁーちゃん、ロドじぃーちゃんが入ってきた。
その後ろを慌てた様子でフウちゃんが必死に追いかけている。
私達の様子をみて、顔色を失うドラしゃん達。
一体何事??私とお兄ちゃんは唖然。
【大聖霊】と【聖獣】達も目が点状態。
なぜそんなにドラしゃん達が慌てるのかがわからなかったからだ。
特にドラしゃんはこの世の終わりの様な顔だった。
私はゆっくり立ち上がり、ドラしゃんの元に。
そして、ドラしゃんに声をかけた。
「お父さんとお母さん。みんなのはなしをきいたらたおれたの。」
私の言葉にドラしゃんを含めたメンバーがうん?と言う表情に。
「リン?もう一度言ってくれるかしら?」
ルミばぁーちゃんに言われて、私はもう一度話した。
「みんなから、みんなのこときいたら、お父さんもお母さんもたおれちゃったの。」
私の言葉に捕捉する様に、ドライアドが話してくれた。
『主人の兄上殿と契約した【大聖霊】や【聖獣】達の能力の確認をして、その後に私達の能力値の確認をしていたら、理解力の容量オーバーとなったのでしょう。
白目を向いて倒れられました。
今先程、我らでこちらへ移動して開放していた所です。』
ドライアドの言葉に、私とお兄ちゃんは頷いた。
それをみて、ドラしゃん達は一気に脱力して行った。
「なんだ。そんなことかよぉ~。」
「良かったぁ~。」
『安心しました...てっきり...。』
どうやら皆、お父さん達が病気か何かで倒れたと思った様で急いで駆けつけてくれたのだった。
それはそれは...。
フウちゃんが、"主人の親御様柄倒れられましたのう"と伝えた瞬間、皆は慌てて飛び出したそうだ。
『話は最後まで聞くのだのう。』
フウちゃんがやっとこさドラしゃん達に追いついてそう言うと、何故か睨まれていた。
命に別状がないことを知り、ホッとしている皆にウンディーナがお水を差し出した。
「でっだ。一体何が結局あったんだ?」
水を飲みながら、ムキじぃーちゃんが問いかけてきたのだが、私とお兄ちゃんでは、説明が上手く出来ないので、彼らにお任せした。
結局、ドライアドが先程話をした内容を全てドラしゃん達に伝えると、再度皆の顔色が...話が進むにつれて、青ざめていった。
最後の方は息をするのも忘れているのでは?ってな感じだった。
『...で、話を終えますと御二人が倒れられまして、フウにあなた方を呼びに行っている間に、こちらへ運び介抱をって言う流れです。御理解頂けましたでしょうか?』
ドライアドは、皆の顔色が悪くなっても気にせずマイペースで話きった。
ドライアドが話し切る頃には、皆は意気消沈していた。
「そりゃー倒れるな。」
ロドじぃーちゃんの言葉に、ドラしゃん達は無言で頷く。
ある程度の影響は、互いに何かしら受けるであろうと予測はしていた様だが...。
そこまで私とお兄ちゃんの魔力の影響が強いとは、ドラしゃんも想定外だったようだ。
当の本人である私とお兄ちゃんはいまいち自分の置かれている状況が理解できていないので、平然としているが...。
正直な話、ドライアドが言ったことが"本当"なら、すでに私とお兄ちゃんは【大聖霊】をも凌駕する力を持っている状態ということだ。
【大聖霊】は嘘をつく事ができないので、本当の事なんだと思っているが、その時のドラしゃん達は信じたくなかったようだ。
とりあえず、私とお兄ちゃんの力に関しては、現実逃避する事にしてお父さん達の介抱を優先する事にした。
プレイスペースでは、ゆっくり休めないだろうと言う事で、ムキじぃーちゃんとロドじぃーちゃんが、2人の寝室へと運んでくれた。
その間に、ルミばぁーちゃんがご飯の支度をする事に。
ドラしゃんは、再度【大聖霊】達と何やらお話し合いをし出したので、私とお兄ちゃんは、暇となってしまった。
そこで、【聖獣】達をクッションがわりにして、久しぶりのお昼寝タイムを取る事にしたのだった。
リン:
玄関のドア大丈夫かなぁ?
アキラ:
壊れても直してくれるよ^ ^
リン:
でも凄かったね。
あんな勢いよく入ってくるんだもんね。
アキラ:
うん。僕も驚いたよ~_~;
フウちゃん:
話を最後までする前に、消えたのだのう。
焦ったのう。
リン:
フウちゃんお疲れ様^ ^
アキラ:
ドラしゃん達でも、そそかっしいことあるだね^ ^
フウちゃん:
ゆっくりしたいのだのう。
リン:
次回はゆっくりできますように^ ^
いきなり、お兄ちゃんの魔法鞄から不思議な光が放たれたの。
何事かと驚いていると、【聖獣】達がお兄ちゃんの鞄を見て笑顔を見せる。
そして...。
『これはこれは。どうやら卵が孵りそうですのう。坊ちゃん。鞄から卵を取り出して欲しいのう。』
フウちゃんがそうお兄ちゃんに伝えると、お兄ちゃんは嬉しそうな表情で魔法鞄から卵を取り出す。
フウちゃんの言う通りなのか、卵が不思議な光を放っていた。
そして、その光に反応する様にお兄ちゃんの腕輪も同様に光を放つようになった。
何が起きているのか分からず、お父さんもお母さんは焦っている。
その反面、ドラしゃんとムキじぃーちゃんは嫌な予感がしているようで、眉間に皺がだんだんと寄っていっている。
お兄ちゃんの腕輪が一段と光光が強くなったその時だった。何かが飛び出してきたのだ。
ぽん!となんとも言えない可愛らしい音がしたと思ったら、これまためちゃくちゃ可愛い生き物が腕輪から出てきたのだ。
そして、その生き物はゆっくりと目を開けて、自分の周りを見つめたあとにぱっと笑みを浮かべると話しかけてきた。
『初めまして?かなぁ?やっと君に会えたよ。君の心がきちんと成長したのを感じたよ。僕は【火の大聖霊】まだ名前はないんだ。君が付けてくれるかい?』
お兄ちゃんの腕輪の中から産まれてきたのは、【火の大聖霊】。
文字通りに"火の様に"メラメラと燃える短髪の赤色の髪が特徴的で、シュウイロの瞳をしていて、アラブ系の服を着たとても可愛い男の子だ。
以前【炎の大聖霊】に進化したイフリートがお兄ちゃんに渡した【大聖霊】の種が成長して産まれてきたのだった。
お兄ちゃんは、大感激して声にならない声をあげていた。
自分だけの、【大聖霊】を手にする事が出来たのもあるが、自分が成長している事が分かったのもあり本当に嬉しそうにしている。
「じゃー君に"レッド"って名前あげる!僕が1番好きな色なんだ。リーダーの色だから。」
お兄ちゃんは、戦隊モノなら必ず"赤色"のヒーローを選んでいた。
もちろん他の色のヒーローも好きだが、"赤"はお兄ちゃんの中では特別な色だった。
お兄ちゃんに"レッド"って言われた【火の大聖霊】は嬉しそうな表情をする。
『嬉しいね。僕だけの名前!"レッド"ありがとう。今日から僕は"レッド"だ!』
レッドが両手両足を広げて、大の字になった時周りに火の粉が散った。
その火の粉が卵に触れた瞬間、お兄ちゃんが手にしていた光る卵も割れて中から【聖獣】がでてきた。
しかも1つの卵から3匹も出てきたのだった。
オレンジ色のトカゲ?なのかな??あと、眼鏡をかけたモグラ?見ないな生き物と、短毛で少しボサっとした灰色の毛を纏った犬?みないなのがでてきたのだ。
どれもとても小さかった。
お父さんとお母さんは、驚きすぎて現実逃避してお茶を啜りながらお煎餅を食べていた。
ドラしゃんとムキじぃーちゃんは、胃を押さえながら床に伏せて、私は自分の【聖獣】達とワイワイしている。
『珍しいのう。1つの卵から3匹とはのう...。それもどれも性質はバラバラじゃのう。どの仔もまだ赤子じゃのう。
主人の兄だから魔力はそれなりに高いからのう、すぐ成長するでのう。』
フウちゃんが不思議そうな表情を浮かべながらそう教えてくれた。
お兄ちゃんは、もうテンションMAX状態。
目は爛々として、感激のあまり完全に声が出ていなかった。
そんなお兄ちゃんに、レッドが声をかける。
『主人。この子達は、主人の魔力と僕と魔力が合わさって産まれた、主人だけの【聖獣】だよ。
まだ名前がないから、僕みたいに名前をつけてあげて。
そうすれば、主人と契約できるから。』
レッドの言葉を聞いて、お兄ちゃんはハッと我にかえり、今度は悩み出す。
そして、後ろで【聖獣】達と騒いでいる私に声をかけて来た。
「リン。どうやって名前を決めたんだ?」
お兄ちゃんは、すでに【聖獣】と契約をしている私にアドバイスを求めて来たのだった。
しかし、そんな事を聞かれても..。
「ちょっかん!」
としか、私は言えれなかった。
本当にそうだからね。その子の顔を見ていると、この名前しかない!!って感じで決めたからね...。
私の言葉を聞いて、お兄ちゃんは何故か納得していた。さすが、私のお兄ちゃんって言うべきだね。
そして。
「ありがとう。」
と私に御礼を言うと、産まれたばかりの【聖獣】達の前に行き見つめる。
しばらく微動たりともせずに、いて何か思いついたのか"よし!"と言う声をあげた。
「トカゲみたいなキミは、"サラマンダー"、モグラに似ているキミは、"ハカセ"、犬に似たキミは、"ウルバリン"だ!どう?いい名前だろう?」
お兄ちゃんは、満面の笑顔を浮かべてそう【聖獣】達に向かって声をかけたのだった。
すると、【聖獣】達は自分達に付けられた名前に反応して、額が光り出すのと同時にお兄ちゃんの腕輪にも腕輪も光だす。
光が消えると、お兄ちゃんの腕輪には、【聖獣】達の額に浮かんだ紋章と同じ紋章の飾りがついていた。
『これで、お主と【聖獣】との契約が結ばれたのう。
この仔らは、お主の魔力と想いで作り上げられた【聖獣】だのう。
お主の心、力ひとつで、こやつらは【魔獣】にでも、【聖獣】にでも変わる事ができる。もちろん進化もだのう。
主人であるお主が良き心で成長し、この仔らにもそれ望むのであれば、この仔らもそれに応えてくれるでのう。頑張るのだのう。』
フウちゃんがそうお兄ちゃんに丁寧に説明する。
本当にフウちゃんは物知りなんだなぁーと私は感心した。
そして、私にも
『この言葉は、主人にも通ずるものがあるでのう。
この世界で元々いた【聖獣】や【大聖霊】達も、主人の気持ちや魔力次第でどうとにでもなるのう。
ワシらは、主人がこのままで成長してくれるのを望むでのう。
そうすれば、ワシらももっと強くなって、この街どころか、この世界丸ごと良いものに出来るでのう。』
フウちゃんの言葉に、その時の私とお兄ちゃんは特に何も考えずに"わかった"って返事をしたけど、周りで聞いていたお父さん達はゾッとしていた。
幼い私とお兄ちゃん次第で、【聖獣】や【大聖霊】だけでなく、この世界すら変えてしまうと言う事実にだ。
フウちゃんの言葉に喜んでいる私とお兄ちゃんとは、反対にお父さん達の顔色はだんだんと悪くなっていった。
それに気付いたフウちゃんは、お父さん達の前に飛んで行き小声で話をする。
『そこまで気にやむ必要はないのう。
あの2人に今まで通り、善悪をはっきり教えてくれたら良いのう。
そして、惜しみない愛情を注いでくれるだけで良いのう。言葉で、態度で、視線で。主達が出来る全ての手段で頼むのう。
ワシらは信じておるのう。主人達が、今のままの純粋で思いやりのある人間のまま成長してくれる事をのう。』
フウちゃんの言葉によって、お父さん達の顔色は少し戻ってきた。
お父さん達とフウちゃんが話している間に、今度は"お兄ちゃん"がやらかしたのだった。
「なら、僕はヒーローやムキじぃーちゃんみたいに強い男になる!
弱い者を護れる強い男に。体も心も。
そんでもって、いつかみんなでこの世界を冒険するんだ。
だから、お前達も強くかっこよくなってくれよ!今日から僕の相棒だからな!」
とお兄ちゃんが【聖獣】に行った瞬間だった。
産まれたてで、ヨチヨチ姿の【聖獣】が一気に、フウちゃん達と同じ大きさになり、少し姿もしっかりとした姿になった。
さらに...。
『すげーぞ主人!こんなに早く、喋れる様になるなんて!今日からよろしくな!』
と、サラマンダーがいきなり話しかけてきたので、私もお兄ちゃんもびっくりする。
風貌が少し、コモドドラゴン??に似ていて、背中に立て髪が生えた感じに見えているのは...気のせい?と思いたいが...気のせいではないみたい。
頭から尻尾まで、火の立て髪がメラメラと揺れていて、二本足で直立姿勢を取りながらお兄ちゃんに話しかけてきたのだから驚くなって言う方が無理だよね。
たがそれだけでなかった。サラマンダーの側にいた他の子達も同様に...
『わぁーい♪僕も喋れるぅ~。主人宜しくねぇ~。困った事があったらなんでも言ってねぇ~。相談にはのるからぁ~。』
と、ハカセが。
小さかったからモグラに見えたが、少し大きくなったらどちらかと言うとタヌキ??に雰囲気が似てるような...でも尻尾は短いからモグラだね。
眼鏡は掛けたままだっし、フォルムがデカくなっただけで、手足や顔はそのままだし、目は糸目だしね。
気の抜けたふんわりとした喋りをする。
なんとなく...モッケしゃんに似ていると感じたのは私だけなんだろうか??
『ヨッ!お前の心意気気に入ったぜ!
今日から相棒かぁ~!いいぜいいぜ!
よろしく頼んだぜぇ!相棒!』
と、ウルバリンが。
犬と言うか、灰色かかった狼の姿になっていた。
それでもまだ、仔犬感は若干感じられるがとても頼もしい姿になっていた。
産まれて数分の出来事...。
もう、ドラしゃんもムキじぃーちゃんも何も言えなかった。
何せ前科者が居るので、今更って感じのようだ。
(前科者って誰なんだろうね?)
それでも、やはりお兄ちゃんの魔力量は凄かったみたい。
爆誕したお兄ちゃんの【大聖霊】と【聖獣】。
普通は同時に誕生する事はフウちゃんいわく、ないらしいのだが...なぜが爆誕した。
お兄ちゃんの【大聖霊】と【聖獣】は、お兄ちゃんの魔力と心の強さで、産まれたオリジナルだしね。
能力値もどの程度成長し、進化するかもわからい。
まさに未知数の能力を兼ね備えた、未知の存在なのだ。
お兄ちゃん次第で、悪にでも善にもなる。
しかもこれだけですまないのは、ドラしゃんもムキじぃーちゃんも既に私で経験済み。
今後何が起きるのかは、大体の予測ができていた。
その為、ドラしゃんもムキじぃーちゃんも警戒をしていたが...?...?
一向に、そういう気配がしない。???どういう事かと、ドラしゃんがフウちゃんに尋ねると、フウちゃんから意外な返事が返ってきた。
どうやらお兄ちゃんの魔力は高いが、私ほど複数の契約が出来るだけの能力値が高くなかったみたい。
今のメンバーと腕輪に眠っている【大聖霊】と契約するのが限界との事だった。
それを聞いて、あからさまにホッとするふたり。
私は少しムッとしてしまった。
お兄ちゃんは少し、しょんぼりしていたが自分だけの【大聖霊】と【聖獣】の両方と契約できたので、良しとしたようだ。
一応お兄ちゃんも【大聖霊】と【聖獣】両方と契約した事を、ルミばぁーちゃんやロドじぃーちゃん達にも連絡する事に。
その間、私とお兄ちゃんはそれぞれの【聖獣】達と遊んで過ごす事にした。
能力値の確認も兼ねて。
お兄ちゃんが契約した【大聖霊】は、火関係の魔法は最初から初級から神級まで使えるみたい。
それを聞いて、私とお兄ちゃんは驚いたが、同じ【大聖霊】であるイフリートが言うには、【大聖霊】なら当たり前だそうだ。
それより、【聖獣】の3匹の方が意外性に富んでいたみたい。
まず、サラマンダーは見た目通り火系は勿論だが、水系と土系の魔法も使えるみたい。
しかも防御系より、攻撃系が得意で魔法の種類も豊富なのが分かった。
初級と中級までだが、それでも産まれたての【聖獣】にしては、上出来だとフウちゃんとイフリートが教えてくれた。
フウちゃんも産まれたてなのに、なんで物知りなのか聞いたら、フウちゃん達は元々この世界にいた【聖獣】を元にして産まれたので、記憶や能力の一部は引き継いで産まれているんだって。
同じ産まれたてでも、お兄ちゃんの【聖獣】とは、年季が違うんだと自慢げに話すフウちゃん。
私が新しく契約した【聖獣】は、幼い見た目に反して能力は一級品なのも特例らしい。
私の年齢に合わせて、彼らも見た目を合わせてくれているのだという。
それを新たに知って、私は複雑な気分に...。
(まぁー可愛からいいんだけどね。)
気を取り直して、お兄ちゃんの残りの【聖獣】の能力確認の続きをすると、ハカセは、土系と水系の他にも風系の魔法も使える。
しかも、単体魔法の他にも複合魔法も使えるというのだ。
これはかなりレアケースらしく、フウちゃんもイフリートも驚いていたけど、本人はいたってマイペースでほわーんとしている。
サラマンダーとは違い、攻撃系より防御系が得意で、回復魔法も使える。
かなりバランスがとれる組み合わせである事が分かった。
あと、ウルバリンはと言うと...風系と雷系に氷系魔法も使えるという。
しかも、ハカセと同じで単体魔法から複合魔法まで使える上に、攻撃系も防御系も両方バランスよく使えるのだ。
そしてウルバリンの1番凄い能力が、成長すれば"群れの長"と言うスキルが使えるとの事だ。
"群れの長"と言うスキルは、自分より格下の魔獣や【聖獣】を一時的に従える事ができ、群れにて敵を攻撃したり、防御を行う事ができるという優れもの。
それは、犬系の魔獣のごく一部だけが使えるスキルだとか...。
思わぬ能力の持ち主ばかりで、皆で驚くしかできなかった。
お兄ちゃんを確認したら、自然と私の方へ視線が。
えっ?!と私が驚いていると、この際だから私の契約している【大聖霊】と【聖獣】の能力を確認しては?とお父さんとお母さんが言い出したのだ。
その言葉に反応したのか、私の腕輪が光って【大聖霊】達が皆出てきて、何故か目を輝かせて私を見つめる。
(やる気満々?えっ?!)
不安がる私をよそに、皆は能力鑑定をし出す。
そう言ってもステータスをオープンにして見せるのと、簡単な魔法を披露するだけだが...。
それでもえげつない状態に...。
元来この世界にいる【大聖霊】達は、魔法に関しては、自分達の属性系の魔法なら初級から神級まで全て使えるのが前提だ。
だが!!問題はここからだ。
本来ならそこまでなんだが、私と契約する事によって複数の合成魔法まで使える様になっていたらしい。
本来なら【大聖霊】と言えど、身体にかなりの負担を強いられるので、合成魔法は【大聖霊】単体では使わない。
使うなら、互いに協力し合って、互いの魔法を合成して使うのが、本来の仕組みらしい。
簡単に言えば、イフリートのウンディーナが火と水の初級魔法を組み合わせて、火と水の合成魔法にしてから放つみたいな...。
それを、イフリートならイフリート単体で火と水の合成魔法を放つ事が出来る様になっていた。
それも、身体に負担もなく...。
??なぜ??
『簡単じゃのう。主人と契約する事によって、主人の魔力をワシらはモロに影響されるのう。
そのお陰で、ワシらの魔力値は強化され知らぬうちに進化ももたらしてくれたのう。』
驚く私達にフウちゃんが解説してくれた。
ちなみにだが、ドライアドは、水と土の属性魔法しか使えなかったのが、契約後には火も使えるようになり、更に"森林緑魔法"と"花魔法"というオリジナルの魔法も編み出していた。
ノームは、土の属性魔法のみだったのが、契約後には水と火も使える様になった上に、"大地魔法"を編み出していた。
ウンディーナは、水の属性魔法のみだったのが、契約後には氷と土も使えるのようになり、"水氷魔法"と"自然魔法"を編み出していて、天候までも自由に操れる様になっていた。
イフリートは、火の属性魔法のみだったのが、契約後には炎と風も使えるようになり、"火炎魔法"と"火山生成"を編み出していた。
シルフは、風の属性魔法のみだったのが、契約後には雷と土も使えるようになっていて、"天災魔法"と"風霧魔法"を編み出していた。
ミストは、水の属性魔法のみだったのが、契約後には風と氷も使えるようになっていて、"霧魔法"と"水風魔法"を編み出していた。
サクラちゃんは、元々オリジナル【大聖霊】扱いになるので、契約時より水と土と風に火魔法が使えるうえに、更にオリジナルの"花魔法"と植物魔法"が使えていた。
セルシウスは、氷の属性魔法のみだったのが、契約後には水と風も使えるようになり、"水氷魔法"と"氷霧魔法"を編み出していた。
シヴァは、氷と水の属性魔法のみだったのが、契約後は風と闇と雷も使えるようになっていて、"水風魔法"、"氷風魔法"、"氷闇魔法"を編み出していた。
ルナミスは、光の属性魔法のみだったのが、契約後は火と水と風魔法も使えるようになっていて、"光火魔法"、"光風魔法"を編み出していた。
シャドウは、闇の属性魔法のみだったのが、契約後は火と水と土魔法も使えるようになっていて、"闇黒魔法"、"漆黒魔法"を編み出していた。
オリジンは、呼んでも出てこなかったのでお仕事中??という事で次回になった。
しかし、それでも【大聖霊】でこれって言う事は...。
側に居る【聖獣】達を見つめると満面の笑顔が...。
『ワシらは【大聖霊】様の眷属じゃのう。【大聖霊】様達の能力が向上しているなら、ワシらも同じだのう。』
フウちゃんが能天気にそう話してくれたのだが、内容は能天気な内容ではなかった。
『あと、主人もですよ。今はまだ魔法は最小限しか使えない様にしてありますが、かなり能力値は上がってますよ。
そうでないと、契約している我らの能力も上がりませんからね。下手したらここにいる【大聖霊】全員より主人の方が能力値はかなり上です。』
ドライアドがこれまたえげつない内容を満面の笑顔で話してくれた。
いまいち状況が掴めない私とお兄ちゃんはキョトンと。
意味が分かるお父さんとお母さんは、白目を向いて倒れてしまった。
私はフウちゃんにお願いして、ドラしゃんとムキじぃーちゃんを呼びに行ってもらった。
ドラしゃん達が来るまで、残っているメンバーでお父さん達の介抱をする事にした。
しかし、やり方が分からず困っていたら、シャドウがお父さんとお母さんを影を使って浮かせて移動してくれて、プレイペースまで運んでくれた。
すると、ドライアドが木の皮の繊維を編んでハンカチを作ってくれて、ウンディーナがそれを水で濡らして、シヴァが適度に凍らせてくれた。
それをふたりのおでこに置いて、シルフがそよ風を吹かせて、サクラちゃんがお母さんの好きなカモミールの香りを漂わせてくれた。
そして、周りを皆で囲んで様子を見る事に。
いろんな情報が一気に入ってきて、処理できずにパンクしたと、フウちゃんは言っていたが...。
なかなか目を覚さない両親の状況に心配しかなかった。
かと言って、自分が出来ることはなかった...。
こんな時って、子供である自分が無性に腹立った。
それを察した、【大聖霊】と【聖獣】達に慰められた。
『人間が子供でいる期間ってすごく短いらしいの。』
『子供でいられる間は、甘えたらいいんだよ。』
『子供の特権ってやつだ。』
『いやでも大人になれるんだからよ。』
『子供の時期にしかできない体験を沢山したら良いよ。』
『...焦るの...よくない...。』
『大丈夫だよ!』
『凹むのもわかるけど。』
『それも、これからのあなたにとって大切な体験よ。』
『大丈夫。あなたができない事は。』
『我らがするだけの事。』
【大聖霊】達にそれぞれ励まされた。
その言葉に私もお兄ちゃんも勇気を貰い、少しむず痒くなった時だった。
家の...というか、玄関の扉が勢いよく開く音と共にドタバタと足音が聞こえてきた。
『旦那様!奥様!ごぶじですか?!』
扉が勢いよく開いたと同時に、ドラしゃん、ムキじぃーちゃん、ルミばぁーちゃん、ロドじぃーちゃんが入ってきた。
その後ろを慌てた様子でフウちゃんが必死に追いかけている。
私達の様子をみて、顔色を失うドラしゃん達。
一体何事??私とお兄ちゃんは唖然。
【大聖霊】と【聖獣】達も目が点状態。
なぜそんなにドラしゃん達が慌てるのかがわからなかったからだ。
特にドラしゃんはこの世の終わりの様な顔だった。
私はゆっくり立ち上がり、ドラしゃんの元に。
そして、ドラしゃんに声をかけた。
「お父さんとお母さん。みんなのはなしをきいたらたおれたの。」
私の言葉にドラしゃんを含めたメンバーがうん?と言う表情に。
「リン?もう一度言ってくれるかしら?」
ルミばぁーちゃんに言われて、私はもう一度話した。
「みんなから、みんなのこときいたら、お父さんもお母さんもたおれちゃったの。」
私の言葉に捕捉する様に、ドライアドが話してくれた。
『主人の兄上殿と契約した【大聖霊】や【聖獣】達の能力の確認をして、その後に私達の能力値の確認をしていたら、理解力の容量オーバーとなったのでしょう。
白目を向いて倒れられました。
今先程、我らでこちらへ移動して開放していた所です。』
ドライアドの言葉に、私とお兄ちゃんは頷いた。
それをみて、ドラしゃん達は一気に脱力して行った。
「なんだ。そんなことかよぉ~。」
「良かったぁ~。」
『安心しました...てっきり...。』
どうやら皆、お父さん達が病気か何かで倒れたと思った様で急いで駆けつけてくれたのだった。
それはそれは...。
フウちゃんが、"主人の親御様柄倒れられましたのう"と伝えた瞬間、皆は慌てて飛び出したそうだ。
『話は最後まで聞くのだのう。』
フウちゃんがやっとこさドラしゃん達に追いついてそう言うと、何故か睨まれていた。
命に別状がないことを知り、ホッとしている皆にウンディーナがお水を差し出した。
「でっだ。一体何が結局あったんだ?」
水を飲みながら、ムキじぃーちゃんが問いかけてきたのだが、私とお兄ちゃんでは、説明が上手く出来ないので、彼らにお任せした。
結局、ドライアドが先程話をした内容を全てドラしゃん達に伝えると、再度皆の顔色が...話が進むにつれて、青ざめていった。
最後の方は息をするのも忘れているのでは?ってな感じだった。
『...で、話を終えますと御二人が倒れられまして、フウにあなた方を呼びに行っている間に、こちらへ運び介抱をって言う流れです。御理解頂けましたでしょうか?』
ドライアドは、皆の顔色が悪くなっても気にせずマイペースで話きった。
ドライアドが話し切る頃には、皆は意気消沈していた。
「そりゃー倒れるな。」
ロドじぃーちゃんの言葉に、ドラしゃん達は無言で頷く。
ある程度の影響は、互いに何かしら受けるであろうと予測はしていた様だが...。
そこまで私とお兄ちゃんの魔力の影響が強いとは、ドラしゃんも想定外だったようだ。
当の本人である私とお兄ちゃんはいまいち自分の置かれている状況が理解できていないので、平然としているが...。
正直な話、ドライアドが言ったことが"本当"なら、すでに私とお兄ちゃんは【大聖霊】をも凌駕する力を持っている状態ということだ。
【大聖霊】は嘘をつく事ができないので、本当の事なんだと思っているが、その時のドラしゃん達は信じたくなかったようだ。
とりあえず、私とお兄ちゃんの力に関しては、現実逃避する事にしてお父さん達の介抱を優先する事にした。
プレイスペースでは、ゆっくり休めないだろうと言う事で、ムキじぃーちゃんとロドじぃーちゃんが、2人の寝室へと運んでくれた。
その間に、ルミばぁーちゃんがご飯の支度をする事に。
ドラしゃんは、再度【大聖霊】達と何やらお話し合いをし出したので、私とお兄ちゃんは、暇となってしまった。
そこで、【聖獣】達をクッションがわりにして、久しぶりのお昼寝タイムを取る事にしたのだった。
リン:
玄関のドア大丈夫かなぁ?
アキラ:
壊れても直してくれるよ^ ^
リン:
でも凄かったね。
あんな勢いよく入ってくるんだもんね。
アキラ:
うん。僕も驚いたよ~_~;
フウちゃん:
話を最後までする前に、消えたのだのう。
焦ったのう。
リン:
フウちゃんお疲れ様^ ^
アキラ:
ドラしゃん達でも、そそかっしいことあるだね^ ^
フウちゃん:
ゆっくりしたいのだのう。
リン:
次回はゆっくりできますように^ ^
20
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