異世界で家族と新たな生活?!〜ドラゴンの無敵執事も加わり、ニューライフを楽しみます〜

藤*鳳

文字の大きさ
189 / 219
第五章〜私達兄妹は冒険者になります〜

5-36 懐かしい家族との再会と露店の料理を満喫

しおりを挟む
 街に入り直ぐに顔見知りと遭遇する事になったが、まだ依頼の途中な事もあり依頼完了後に伺うと言ってその場を離れた私達。

依頼主と一緒に最終目的地へと向かって荷物の積み下ろしの手伝いまで行い、依頼書に依頼達成のサインを貰う。

「今回はありがとうございました。あなた方に護衛をして貰って良かったです。
またあなた方に護衛を依頼したいと思います。その時はよろしくお願いします。」

初めましての護衛依頼で嬉しい言葉を依頼主から貰えたのは良好な事だ。

本来ならまだまだ未熟な私達の護衛にそこまで過大な評価をつけてくれるなんて思いもしなかった。

ありがたい言葉に私達は素直に御礼を伝えその場を後にする。

一つ目の依頼をこなしたので一度報告するために冒険者ギルドへと向かう事にした。

そうしないと...。

そう思って歩みを進めると...はははっ。
来ましたよ。

前方より笑顔で手を振りながら駆け足で寄ってくる顔馴染みが...?!!!

「ふ、増えてない?!!」

私達の嘆きは駆け寄って来た人たちによってかき消されてしまった。

囲まれたかと思ったら...気付いたら私達は冒険者ギルドのギルドマスターの部屋になぜか移動させられた。

私達の周りにはギルドマスターの他に顔馴染みのギルドの職員で固められているではないか。

皆は満面の笑顔で、私達の座っている席の前のテーブルには多種多様のお菓子が並べられていた。

いったいどんな状況なのか???

困惑する私達とは正反対に保護者二人は不機嫌そうな顔をしている。

「あーー。どれほど皆さんにお会いしたかったか...。
各街にそれぞれ派遣して街づくりを発展させるのに我々も色々大変だったからなぁー。」

「そうですね。それでも最初の頃は時々会いに来てくれたのに...。」

「ある日を境に...なかなか会えなくなったからね。
分かってるんだよ。でもね...。」

そう口々に皆は心の奥底に抱えていた鬱憤を吐き出し出す。

ここにいる人達はこの国の初めての街づくりから一緒に関わって来た人達ばかりだ。

中には以前住んでいた国から一緒に過ごして来た人もいる。

私やお兄ちゃんにとっては家族のような人達ばかりだ。

そんな人達がなぜここに?と思うでしょう?

四方に街を作った時、同盟国との窓口にそれぞれの街を発展させる為に何人か主力となる人達を派遣していた。

その時、南側の街へ行った初期メンバーばかりだ。

それぞれの街へ行った時は私達兄弟と両親はドラしゃんとムキじぃーちゃんの付き添いで毎週交代で各街へと顔を出していた。

それは、派遣して行った彼らに食料品などの物資を届けるためと街の発展の状況を確認する為に行っていたからだ。

しかし、ある程度それぞれの街がある程度発展しているのを確認すると訪問する回数を少しずつ減らしていき、最終的にはほとんど行かなくなったのだ。

もう大丈夫と言う安心感もあったのだが、私とお兄ちゃんが冒険者になるための勉強をするために時間が割けなくなったのだ。

それに関してはそれぞれの街へとちゃんと報告は入れていた。

報告は入れていたが...それでも寂しかったようだ。
でもそれは彼らだけでなく私達も同じだった。

皆んなあーだーこーだーと言うっているが、目はすごく嬉しそうな目をしている。

私とお兄ちゃんは互いに顔を見合わせて微笑すると皆は話をやめて私達をじーっと見つめていた。

「お前さん達がこの街へ冒険者として来ると連絡を受けた時はそれはそれは嬉しかった。よかったな。冒険者になれて。」

ギルドマスターにそう言われて私とお兄ちゃんは笑顔ではい!と返事をした。

「所で暫くはここに滞在できるのか?」

副ギルドマスターがギルマスを押しのけて質問して来た。
どうやら他の人達もそれが気になっていたようだ。

私とお兄ちゃんはパーティーメンバーと話をしてから返事を返した。

「実はもう一つ受けている依頼があるので、それが終わるまではここに滞在する予定です。」

私の言葉に皆は嬉しそうにする。

「じゃー今日は宴会だ。この街一番の食堂を貸し切ってやるぞ!!」

「あと、お前さん達に依頼したい事が幾つかあったからそれも頼めるか?」

「お金を払って頂けるなら可能です。」

私達が返事をする前にアサくんが返事を返す。

「そりゃー依頼だから金は払うって!!」

「なら受けます。」

「なんだコイツ!可愛げがないなぁー!!」

アサくんの対応に不服を言う職員の方々。

それでもアサくんは平然としていた。
そう言うアサくんの態度ってカッコいいと思う半分、怖いもの知らずでハラハラするのだ。

私達はとりあえず暫く泊まる宿を探すためにギルドを後にした。

保護者二人は職員の方々と話をする事があるそうなので後で合流すると話してくれた。

私達はこの街を散策しながら宿を探す。

街は最初の私達が作った時より遥かに建物数が増えて雰囲気がかなり変わっていた。

以前の街も良かったけど...。

「今の街もいいね。リン。」

お兄ちゃんがそう言って街を見渡す。
私はそんなお兄ちゃんの言葉に笑顔で頷く。
だって私達が住んでいる中央の街も最初の頃より遥かに変わったからね。

人が増えると建物も増えるから少しずつ雰囲気が変わる。それもいい方向へと。

「街作ってよかったな。」

黄昏ている私とお兄ちゃんにアサくんがそう声をかけてくれた。

「そうだね。」

「よかったよ。」

私とお兄ちゃんは笑顔で答える。

それからもしばらくパーティーメンバーで待ちを散策した。

露店が多いからどこを歩いてもお腹を刺激するいい匂いが...。

グーグルル~。キュルルルゥ~。グー。
とそれぞれのお腹が空腹を訴え出す。

「お兄ちゃんどうする?」

「お腹...空いたね。」

「俺もさすがに無理だ。」

「私もです。」

「私も。」

どうやら皆の気持ちは同じだった様だ。
お腹の虫のアピールが凄まじくなったので、今回は皆もお腹の虫の訴えに素直に応じる事にした。

「とりあえず皆んなで手分けして買いあさって食べない?」

「いいね。でも、リン我慢できずに先に食べるのなしだからね!」

「分かってるわよ!」

「じゃーどこに集合する?」

「あちらでどうですか?」

「あそこだとわかりやすいですね。」

「じゃー皆んな美味しいもの沢山買い漁って来てね!!」

「「「「まかせて、ろ!」」」」

集合場所は少し露店街の外れにある大きな木の側に集合となった。

それぞれ手分けして露店を回ると、この街の人達は気前がいい人が多いのか...私が買いに行くと普通に大盛りにしてくれたり、値段もかなり安くしてくれたりと私にとってはありがたい状況だ。

ソース焼き麺(焼きそば)が五人分が全て大盛りで中銀貨一枚。
(本来なら中銀貨六枚必要。)

オム焼き(お好み焼き)が五人分一人三枚(合計十五枚)で中銀貨二枚。
(本来は中銀貨十二枚必要。)

などそんな感じで安く大量に購入できて気づいたら自分一人だけでは持てないぐらいの量になったので【聖獣】達を呼び出して運ぶのを手伝ってもらった。

クラーケンソース焼き(イカ焼き)
オクト丸包み焼き(たこ焼き)
ポーク焼き(ホットドッグみたいなやつ)
など次々と購入していく私。

『主人。もう...いいのでは?』

『そ、そうですのう。他の人達も買って来るのう。』

『も、もう前が...。』

荷物持ちを手伝ってもらっている【聖獣】達も限界が来ていたので私は購入するのをやめて待ち合わせ場所へと向かった。

待ち合わせ場所へ向かうともうすでに皆が戻って来ていた。

私が一番最後だった上に一番大量に買い込んで来ていたようだ。

私が買ってきた量を見てまだ食べてもないのに皆が胸焼けを起こしかけていた。

「リン...お前どんだけ金使ったんだ?」

「買いすぎだよ。」

「これ全部食べる気ですか?」

「なんか...まだ食べてないのに...うぷっ。」

私的にはまだ少ないと思っているのだが、皆的には多いと言うので多いのだろう。

もうお腹も限界なのでここで食べる事にした。
シートを敷きそれぞれ購入して来たものを並べていく。

皆馬平均的に二品か三品しか購入していなかった。
それに比べて私は...。

「リン。お前十五品って...露店をほぼ制覇してないか??!」

「リン。さすがだね。」

皆に多少馬鹿にされたが、買ってきたものはどれも美味しくて私が食べ尽くす前に皆もしっかり食べていた。

「でも、本当にここの露店の食べ物美味しいね。」

「うん。でもどこかで食べた事ある味だよね。」

「あっ!それ私も思いました。」

「....。」

「...はは。」

そう。この露店で売られている料理は全てお母さんが考案した料理だ。

お母さんが作る料理がどれも美味しくて、レシピを売って欲しいと言う人達があとを立たなくって、ルミばぁーちゃんとロドじぃーちゃんとで相談した結果、商業ギルドにてお母さんがよく料理する料理のレシピを商品登録して売ったのだ。

そうする事によって、料理をしたい人はレシピをお金払って手に入れられるし、アイデアを売ったお母さんにも利益が入るのだった。

お母さんが商品登録したレシピは数多く、今やこの世界の人達が普段食べている料理のほとんどというくらい浸透している。

しかし、それでもお母さんのお母さんやお父さんのお母さんから受け継がれている"お袋の味"レシピは門外不出だ。

こればかりはさすがにお母さんは登録しなかった。

だからそれを食べれるのは我が家のみで作れるのはお母さんと私。そしてお父さんしかいないのだ。

それを知っている私とお兄ちゃんは、多少複雑な気持ちで食べているが...皆んなが美味しそうに笑顔で食べている姿を見たら嬉しかった。

無理だと思われた料理のは全て皆の胃袋に収められた。
途中からは魔獣達も参加して食べ尽くしたのだ。

「なんかこんだけ美味しい料理だともう暫くここに居たくなるよなぁー。」

「わかるわぁー。」

「なんか、ゆっくり出来そうな感じがするしね。」

「でも、ちゃんと依頼はこなさいとね。」

「そうだな。それにあまりゆっくりしすぎると、街の皆が迎えにきそうだわ。」

私の言葉に皆は暫く考えこんで...顔を青ざめていた。

何せ本当にリアルに起こりそうな出来事だたからだ。

「それはまずい!」

「そうなる前に依頼をこなして戻ろう!」

「そうだね。」

「そうれが一番いいよ!!」

焦り出す四人。
まぁーそう言っても一番迎えにきそうな人が一緒に居るから大丈夫だとは思っていても私はあえて言わなかった。

なぜなら、買ってきた量を馬鹿にしたコイツらが悪いからだ。ふっ。

お腹も起きた事なので、片付けをして本日泊まる宿を探す事にした。

しかし、その手間は私達の知らぬ間に解決しているとはその時の私達は知るよしもなかった。







リン:
やばい。この街お母さんの料理で溢れている!!

アキラ:
すごいね。見たことあるメニューばかりだと思ったけど...。

リン:
でも。まるまるお母さんの味ではないね。
ちゃんと工夫されてる。

アキラ:
そうだね。食材も多少変えてあるしね。
でも。

リン:
でも。

リン・アキラ:
お母さんの作る料理の方が一番。
















しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜

黒城白爵
ファンタジー
 異次元から現れたモンスターが地球に侵攻してくるようになって早数十年。  魔力に目覚めた人類である覚醒者とモンスターの戦いによって、人類の生息圏は年々減少していた。  そんな中、瀕死の重体を負い、今にもモンスターに殺されようとしていた外神クロヤは、これまでの人生を悔いていた。  自らが持つ異能の真価を知るのが遅かったこと、異能を積極的に使おうとしなかったこと……そして、一部の高位覚醒者達の横暴を野放しにしてしまったことを。  後悔を胸に秘めたまま、モンスターの攻撃によってクロヤは死んだ。  そのはずだったが、目を覚ますとクロヤは自分が覚醒者となった日に戻ってきていた。  自らの異能が構築した新たな力〈システム〉と共に……。

若返ったオバさんは異世界でもうどん職人になりました

mabu
ファンタジー
聖女召喚に巻き込まれた普通のオバさんが無能なスキルと判断され追放されるが国から貰ったお金と隠されたスキルでお店を開き気ままにのんびりお気楽生活をしていくお話。 なるべく1日1話進めていたのですが仕事で不規則な時間になったり投稿も不規則になり週1や月1になるかもしれません。 不定期投稿になりますが宜しくお願いします🙇 感想、ご指摘もありがとうございます。 なるべく修正など対応していきたいと思っていますが皆様の広い心でスルーして頂きたくお願い致します。 読み進めて不快になる場合は履歴削除をして頂けると有り難いです。 お返事は何方様に対しても控えさせて頂きますのでご了承下さいます様、お願い致します。

異世界へ行って帰って来た

バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。 そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依
ファンタジー
 氷河期世代の大野将臣(おおのまさおみ)は昭和から令和の時代を細々と生きていた。しかし、工場でいつも一人残業を頑張っていたがとうとう過労死でこの世を去る。  死んだ大野将臣は、真っ白な空間を彷徨い神様と会い、その神様の世界に誘われ色々なチート能力を貰い異世界に降り立つ。  大野将臣は異世界シンアースで将臣の将の字を取りショウと名乗る。そして、その能力の錬金術を使い今度の人生は組織や権力者の言いなりにならず、ある時は権力者に立ち向かい、又ある時は闇ギルド五竜(ウーロン)に立ち向かい、そして、神様が護衛としてつけてくれたホムンクルスを最強の戦士に成長させ、昭和の堅物オジサンが自分の人生を楽しむ物語。

優の異世界ごはん日記

風待 結
ファンタジー
月森優はちょっと料理が得意な普通の高校生。 ある日、帰り道で謎の光に包まれて見知らぬ森に転移してしまう。 未知の世界で飢えと恐怖に直面した優は、弓使いの少女・リナと出会う。 彼女の導きで村へ向かう道中、優は「料理のスキル」がこの世界でも通用すると気づく。 モンスターの肉や珍しい食材を使い、異世界で新たな居場所を作る冒険が始まる。

酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ

天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。 ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。 そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。 よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。 そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。 こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

処理中です...