異世界で家族と新たな生活?!〜ドラゴンの無敵執事も加わり、ニューライフを楽しみます〜

藤*鳳

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第五章〜私達兄妹は冒険者になります〜

5-62 東側の街を目指して 2

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 あーだこーだと無駄話しながらもなんとか本日の予定の村へと着く事ができたのだが...。

なぜかというか...まぁーそうですよね。

かなり警戒されて戦闘態勢を取られて私達は今両手を挙げて降伏のポーズを取っている。

周りにいる獣魔達は唸り声をあげているが、攻撃をしようとはしていない。

私達が訪れた村は意外に大きめの村で、
周りを沢山の木々に囲まれてのどかな雰囲気の場所だ。

そんな所に大型の、しかも高ランクの魔獣を引き連れてくればこうなりますよね...。

私達に村の中でも比較的体格のいい男性が武器をかざしたまま私達に近寄ってきた。

「お、お前達は誰だ?!いったいこの村に何のようだ!その魔獣達はなんなんだ!この村を滅ぼす気か?!」

その男性は大声で私達に声をかけるもかなり手足は震えていた。

私達に怯えるというか...私達が連れている魔獣に怯えているのが正しいのだろう。

私とお兄ちゃんは視線で合図を送りあい魔獣達に念話で身体を小さくする様に伝えた。

すると魔獣達は唸るのをやめて私たちの側に戻って来て、身体を小さくしてミニマムな姿になり私とお兄ちゃんの足元で警戒する。

それを見た男性を含め村の人達は驚きでざわめきだしたので、私達はつかさず声をかけた。

「あのう...これでわかってくれました?この子達は無害ですし、私達も皆さんに危害を加える気は全くないです。」

「ですので、その警戒をといてくれますか?」

私とお兄ちゃんの言葉に目の前の男性も村の人達も困惑していた。

まぁ~...そうなってもおかしくはないのだけど...。
それでもどうにかしたいので...適当に...。

「あのう...私達モッケしゃん...あっ!モッケロンさんの身内なんですけど...それでもだめですか?」

私がそう言うと...村の人達の雰囲気が一気に変わったのだ。

あれ???

私達が首を傾げていると目の前の男の人が...。

「お前...さっきなんて言った?」

信じられないと言った表情をして私を見つめてくるのだ。

だから私はもう一度同じ事を伝えた。

「あのう...私達モッケしゃん...モッケロさんの身内なんですけど...それでもだめですか?」

そう言うと男の人を含めて村の人達は持っていた武器を降ろしていきなり土下座し出したのだ。

あまりの状況についてけない私達。

「これは失礼しましたぁー!!!
まさか、モッケロン様の身内の方とは思いませんで!!」

適当に出した名前なのにまさかこんな村でモッケしゃんの名前が通用するとは思わなかった。

旅に出る前にモッケしゃんからある程度の村や町には今でもちょくちょく色んなものを配達してるから顔や名前は聞きますから何かあれば自分の名前を出してみて下さいと言われていたのだ。

だから早速出してみたが...本当に効果があるとは思わなかった。

「そばに居なくてもちゃんと保護者達は私達の助けになっていてくれてるなんて...。私達って恵まれてるね。」

思わずそう呟いた私にお兄ちゃんも同じ気持ちなんだろう...。

私の肩をポンと叩いてホッとしていた。

「あのう...俺たちはこの村に入ってもいいのか?」

アサくんの言葉に男の人と村人達は慌てて私達を村に招き入れてくれたのだった。

念のため魔獣達はミニマムな姿のままでいて貰う事にした。

私達が訪ねた村は、村としてはけっこう大きい規模の大きさをしている。

住んでいる人達も人種は様々。
人間もいればエルフ、ハーフエルフにドワーフ、獣人まで本当に様々だった。

村に入り村長の家に案内された私達。

なんと私達の前に一人で立っていた男の人がこの村の村長だったのだ。

めちゃくちゃ若い...と言っても私達のお父さんぐらいの年齢の人だと思う。

「こんな狭い所で申し訳ないです。
良かったらこちらにかけて下さい。」

私達は導かれるまま家の中に入り、言われるがまま椅子に座らせてもらった。

私達が椅子に座るとまた改めて丁寧なお詫びを頂いた。
私達は別に怒っていないので気にしないで下さいと伝える。

すると村長さんは自己紹介がてらこの村について話してくれた。

「私は村長のモッテロといいます。モッケロンとは幼馴染なんです。
私達は色んな国を転々として旅をして集まった者達なんです。
 私を含めて数十名が冒険者をしてましてその冒険の最中色々ありまして...この村に住んでいる連中は訳ありな者達ばかりです。
住むところに困っていたらモッケロンより声をかけてもらってこの地に招いてもらったんです。
時々物資などの提供をしてもらってなんとか生活しているんです。」

村長の言葉に驚かされる言葉ばかりだった。

まさかこんな所でモッケしゃんの知り合いに会うとは思ってなかったし、モッケしゃんの意外な人間性を知る事ができて良かった。

「モッケしゃん。凄いね。いつもみんなぬいじられて泣いてるのに...いがい。」

「たしかに。商売の腕や処世術は素晴らしいですが...それ以外は...ねぇ?」

「ああ。」

私達の言葉に村長さんは苦笑いを浮かべていた。

「あいつは昔からそうなんですよ。ひょうきんな姿が基本なんだけど、意外に計算高く色んな人との人脈もあって凄いやつなんですよ。
そんな所を微塵も見せないのがあいつらしいですけどね...。
 俺たちがここに村を作って生活できるのもあいつのおかげなんですよ。」

そう言って村長はモッケしゃんの事を色々と話してくれた。

村長から聞くモッケしゃんの話は、私達の知るモッケしゃんとはまるで別の人だった。

この世界が一気に良い方向に変わって来ているのに自分達は安定して過ごす場所もなく、旅をする旅に支えないといけない仲間は増えるが一日一日が不安なものだ。

このままではいけないと思いダメ元で昔の幼馴染のモッケしゃんを頼ったのだという。

しかしモッケしゃんも元々旅をする行商人のためそう簡単には連絡がつかないのはわかっていた。

が、あまりにも連絡が付かず今さらムシがいい話だろうと思い諦めた時だった。

「もう仲間達の野垂れ死を覚悟した時だったんだ。あいつが俺たちを探して出向いてくれたんだ。
その時、俺達はガジム国王の治める国で居たのにも関わらずあいつは来てくれたんだ。
 そして、ガジム国王に俺たちが住める場所を用意が整うまで保護するように掛け合ってくれたんだ。」

そう言って懐かしむように話す村長。

私達は話を聞いていて開いた口が閉じない状況だった。

そんな私達のことなどお構いなしに村長は話を続ける。

「それからは俺たちの生活は一転したんだ。ガジム国王に保護されてから数日もしないうちに俺たちの前にまたモッケロンが来てくれたんだ。
 そしたらこの国に連れて来てくれて、この国を治めるって言う夫婦に合わせて貰って暫くその夫婦がいる街にお世話になったんだ。」

その言葉に私とお兄ちゃんは首を捻った。

多分だが...村長が言っている夫婦と言うのは私達の両親のことだと思う。
しかし、...私達は記憶がないのだ...。

首を傾げながら悩んでいる私達をそっちのけで村長は話を進めていく。

「モッケロンが色んな人達に俺を紹介してくれて中でもエルフの長って奴にこの場所を紹介されたんだ。俺たちの仲間にエルフやハーフエルフが居るから森が周りにある方が良いだろうと言って。
 それにここなら中央の街からも近いから買い出しとかもしやすいだろうと言われたんだ。」

彼はラミィお兄ちゃんとも知り合いのようだった。

そしたら...。
私は思わずある事を質問してしまった。

「あのう...紳士風の老人...と言うか...執事さんとかとも知り合いですか?」

私が恐る恐る質問すると、村長は一瞬考え込み...。

「あっ!もしかして、可愛い女の子を抱っこしていた人か?
なんか見た目は優しげな紳士風なんだけど...めちゃくちゃなんとも言えないオーラを纏ってたんだよなぁー。
 何回か会ったことある。ちなみにその紳士が抱っこしていた女の子がこの村と村の近くに枯れることのない泉を作ってもらったんだ。
確か...そうそう、お前さんに似た感じの子だったはずだ。」

この村長の言葉で私とお兄ちゃんは口から魂が飛んでいきかけた。

まさか幼い頃に会っていたとは...。
それも記憶がないのが...情けない...。

村長は急に白目をむいて天を仰ぐ私とお兄ちゃんをみて焦りだした。

そんな村長にアサくんが...。

「村長。実はその女の子って言うのが、この子でその横で同じように天を向いているのが兄なんだ。
 村長が関わって来た人達はこの子達の両親だったり家族なんだ。」

アサくんの言葉に今度は村長が固まり大きく広げた口から魂が飛んでいきかけていた。

しばらくこの部屋はカオスのような状況になったのは言うまでもない。

意識を取り戻した村長が意識を取り戻した私達を崇め出したり、これでもかと言わんばかりに頭を下げ出したからだ。

私とお兄ちゃんはそんな村長をなだめながら自分達も記憶がない事だから気にしないで欲しいと。

普通に接して欲しいと繰り返しお願いしたのだった。

なんとか話し合って今日一日この村でお世話になれる事になった。

村長から村の人達に私達の話がどのように伝わったのか、村の人たちはこれでもかと言わんばかりに大事に扱ってくれた。

基本この村は自給自足で生活していた。
冒険者登録している何人かの人達が冒険者として街に行き依頼をこなして収入を得て村を支えていた。

村の周りは本当に自然豊か。
それをみて私達は他にも収入源になりそうな事を思いついたので村の人達に色々伝授していくとにした。

アサくんは木材の加工して工芸品を作る方法を。

レビレットとライネルは村の近くにたくさん生えている草花で染物が作れる事を。

お兄ちゃんは子供達でもできる狩の仕方をそれぞれ村の人達に教えて言ったのだった。

私はと言うと...。

村の近くに自分が作ったと言われた泉を見に行った。
もちろん村長も一緒に。

そこは本当に洗礼された空気が漂う空間となっていた。

「ここは本当に困った時にしか行かないようにしてあるんです。
私達村の人間にとって聖域みないな所なんで。
 村の女達が定期的に手入れには来ていますがね。」

そう言う村長の話を聞きながら私は泉へと近寄っていった。

すると泉の周りを小さな光が飛び交っていた。

『精霊だね。まだ幼いね。でも、村の人達のこの泉を大事にしたいって気持ちを持ち続けてたらこの泉を中心にこの村を守るための守護精霊が誕生するかもね。』

『そうね。ここの空気はとても澄み切っていて綺麗だからね。』

私の周りに【大聖霊のシルフ】と【ドライアド】が現れて説明をしてくれた。

それを見た村長は驚いて声にならない叫び声をあげる。

私は彼らの言葉を聞いてある事を思いその場にしゃがみ込み魔力を流し込んでいった。

すると...。

泉が少しずつ広がり真ん中に浮島のようなものができ、その中心に若木の芽が生えてきたのだった。

「よし!こんなものね!」

『さすが主人だね。』

『素敵ですわ。』

私の行動に高評価をくれる二人。
私は嬉しくなり笑顔で後ろを振り向くと村長は白目をむいて泡を吹いて立ったまま気絶していたのだった。











リン:
恥ずかしい...。まさか昔の知り合いというかなんというか、そんな人に直ぐに出会うとは...。

アキラ:
世間って...狭いね










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