証なるもの

笹目いく子

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花筏にて

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 夕刻までの暑さがだいぶ和らいでいた。開いた障子から望む庭の黒々とした池に、小さな白い三日月が映っていた。
 もうすぐ宵五ツになろうかという時刻であった。料理茶屋の花筏へ顔を出してくると言うと、行灯の側で刀の手入れをしていた正馬が、怪訝そうに瞬きをした。

「料理茶屋? 今から行かねばならんのか」
「はい。ひとと約束があるもので……先生はどうぞ先にお休み下さい」

 約束、と不思議そうにしている師匠に、藤五郎が小声で言う。

「お許嫁様がいらっしゃるのです。花筏の若女将でございまして」
「許嫁……」

 正馬が少しの間黙り込んだ。

「……その娘御は、そなたの生まれも何もかも、承知しておるのか」
「はい。すべて……話しました」 
「承知の上で、そなたと添うというのか」
「──はい。いつのことになるか、私が生き残っておるのかもわかりませんが……」

 行灯の灯りを映した瞳が打たれたような驚きを浮かべた後、ふと和んだようだった。 

「それならば、私も一緒に参ろうか」 
「いや、そんな必要はありません」
 
 紀堂は慌ててかぶりをふった。

「帰ったら知らせると約束していましたので、顔を見せにいくだけです」
「いや、こんな遅くに出歩けば、またぞろ襲撃を受けるかもわからぬ。……そなたの許嫁どのもぜひ見てみたい」

 茶目っ気のある笑みを目に浮かべ、師匠が刀を掴んで立ち上がる。

「そうですとも、旦那様。野月様がご一緒であれば安心です」

 畳み掛ける藤五郎と正馬を交互に見ながら、紀堂は弱りきって眉を下げた。

***

 西堀留川の中ほどにある小舟河岸の蔵を右手に見ながら、夜の小舟町を歩く。日本橋堀留周辺には米河岸、小舟河岸、末広河岸などが置かれ、船着き場の前には白壁の土蔵が見渡す限り立ち並んでいる。日中は途切れることなく舟が行き交い、荷を揚げる人足や問屋のお店者でごった返し、夜は夜で料理屋や船宿目当てのお客で賑わう町だ。   
 小舟町二丁目にある花筏は、四代目を数える老舗料理茶屋として知られ、日本橋の新鮮な魚介を用いた洗練された料理と、腕によりをかけた菓子類の評判が高かった。表通りを一本入ったところに、趣きのある柴垣で囲われた前庭が伸びている。庭木と石燈篭を見ながら石畳を辿っていくと、ほんのりと灯る提灯に照らされた玄関に「花筏」と書かれた扁額が掲げてあるのが見えてくる。二階のある店は日が暮れてからいよいよ客で賑わっているらしく、二階座敷や玄関からは終始談笑する声や、しっとりとした三味線の音色が響いていた。

「これはまぁ、大鳥屋の旦那様じゃございませんか」
「お久しぶりでございますこと」

 紀堂と正馬が暖簾をくぐった途端、奉公人たちが口々に声を上げて土間に集まってきた。

「若女将をお呼びして参ります。お喜びですよ、きっと」
「若旦那は、今ご宴席にお顔を出しておられるんですが……若女将、若女将!」

 すっかり紀堂の足が遠のいていたことに気を揉んでいたのだろう。皆喜色を顔に浮かべている。すぐに失礼をするからという紀堂の話も耳に入らぬ風に、店の奥の座敷に正馬ごと押し込んだ。
 ほどなくして、さらさらと廊下を滑る足音が近づいた。 

「紀堂さん……」

 唐紙が開き、娘が顔をのぞかせる。息を弾ませながら紀堂を見詰めるなり、強張っていた顔を泣き笑うように歪めた。
 それを見た途端、どれほど有里が己を案じていたのか覚って、心ノ臓に爪を立てられたように思った。
 止めることはない、思いのままにして欲しいと気丈に言っても、有里はただの町娘なのだ。紀堂の心を確かめたからといって不安や恐怖が薄れるわけではない。紀堂の無事な姿を見るまで、身の細るような思いでいたのに違いなかった。
 けれども、有里はさっと動揺を飲み込んで朗らかな笑顔を作ると、「失礼致しました……」と慌てて膝をついた。

「ようこそいらっしゃいまし。当店長女の有里でございます」

 と正馬に向かって三つ指をつく。

「遅くなってすまなかったね。この通り、何事もなく戻ったとだけ言いに寄ったんだ」

 まさか隠密と斬り合ってきたとも言えないが、案じているだろう有里に、どうしても無事の姿を見せておきたかった。 

「はい」

 と嬉しそうに囁く娘の顔を見下ろしながら、紀堂は細い手を両手に取った。

「それと、有里さん、実は……」

 高揚に胸が膨らむのを感じながら、声を落ち着かせて言った。

「弟が、広衛が、生きていた……」

 えっ、と稲妻に打たれたように有里が両目を見開く。

「密かに助け出されて、生きていた。今日、会ってきた……」

 言った途端喉が熱いもので塞がり、慌てて奥歯を噛み締めた。

「ある所に匿われている。まだ自由にしてやれないが、息災だった」

 紀堂の手の中で、やわらかな手がすうっと冷えてふるえだす。理解しかねるように大きく喘いでいた娘が、よろめくように膝を崩したかと思うと、ぱっと顔を上げた。
 花が開くような笑みが溢れた。
 何と言えばいいのかわからぬように喘ぎながら、頬を染めて、光が差すように微笑んでいる。
 つられて紀堂も微笑まずにはいられなかった。腹の底から、混じりけのない幸福感がこみ上げる。有里の喜びが、紀堂の胸をも照らしてあたためていた。
 また、手を血で汚してきた。まだ、もっと汚れるだろう。だが、有里は躊躇うことなく紀堂の手を取って、この上もなく大切そうな眼差しを注いでいる。何一つ変わらないというように、手を放さずにいてくれる。いつ終わるとも知れぬ恐怖に、立ち向かってくれている。
 苦しみを、悲しみを、喜びを、我がことのように分け合ってくれる人がいる。そのことが、かけがえもなく幸いに感じられてならなかった。
 目尻に皺を寄せてこちらを見ている正馬に気づき、紀堂はようやく我に返った。
 顔を火照らせながら有里の手を放し、娘を正馬に引き合わせる。

「紀堂さんの、お師匠様でいらっしゃいますか」

 有里は目を和ませて正馬を見上げ、改めて両手をついた。

「お兄上様代わりのようなお方だとうかがいました。お目にかかれて嬉しゅうございます」
「野月正馬と申す。あなたが紀堂どのの許嫁か。そうか……」

 師匠が娘を眺め、しみじみと頷いた。

「有里どのは、紀堂どののお生まれも、何が起きておるのかも、承知しておられるそうだな」
「──はい。おうかがい致しました」

 真摯な瞳で正馬を見返し、有里がゆっくりと答えた。

「さようか。……それでも、紀堂どのの側にいてくれるのだな」

 労るような、眩しいものを見るかのような表情で呟くと、正馬は紀堂にやわらかな笑みを向けた。

「よいお人と縁付いたな、紀堂どの。そなたは果報者だ」
「はい……」

 うなじが熱い。有里とそっと視線を交わすと、紀堂は白い歯を零した。
 襲撃を警戒して、紀堂も正馬も酒は控えている。茶と菓子だけもらって有里としばし談笑した。
 自分は外すという正馬を押しとどめ、有里はぜひ紀堂の子供の時分の話を聞きたいと乞うた。
 嬉しそうに正馬の話に耳を傾ける想い人の姿を眺めていると、ふっと十二の年の記憶が頭を過った。秋もたけなわの頃だった。二十三だった正馬の顔に、障子越しに降る落葉が雨のように映っていた。
 紀堂は気を取り直して息を吸い込むと、娘の朗らかな顔を静かに見詰めた。

***

 半時ほどを過ごした後、有里の両親に懇篤な挨拶を述べて店を辞した。
 有里に見送られながら、暖簾のかかった玄関土間を出ようとしていると、

「おい」

 とぶっきらぼうな声が飛んできた。
 廊下の奥を振り返れば、着流しに羽織をまとった友一郎が大股にやってくるのが見えた。

「持っていけ」

 たっぷりとした重みのある折詰を手に押し付けられた。穴子の佃煮だ、という。

「……すまん」と答えて、何を言ったものかと紀堂は口をぱくぱくさせた。
「この間は……料理を馳走になった。旨かった」
「当たり前だ。うちの板前たちは一流なんだ」

 無造作に言って、友一郎は正馬の方を向くと、若旦那らしい所作で丁寧に腰を折った。

「当店長男の友一郎でございます。どうぞ、ご贔屓に」

 涼しげな声でにこやかに言ってから、紀堂の背中を拳で小突き、 

「……手が空いたら、また飯を食いにこい」

 と明後日の方角を見てのたまう。
 正馬がきょとんとした顔で紀堂と友一郎を見比べ、有里が頬を緩めて肩をふるわせている。紀堂は香ばしい穴子の香りを吸い込みながら、うん、と言って小さく笑った。


 日本橋で夜遊びに興じる人々の間を、正馬と共にゆっくりと歩いた。
 今、江戸をこの師匠と歩いていることが、つくづくと不思議に感じられてならなかった。
 通りの店の軒先に掲げられた行灯や提灯の明かりに、正馬の穏やかな横顔が浮かび上がる。凄腕の剣客とはとても思えぬ、親しみやすさを感じさせる。
 十二の秋の記憶が、また心に押し寄せていた。
 まだ鶴之助と呼ばれていた頃のことだ。当時、伊豆や箱根の山中を根城に、東海道筋を荒らし回っていた二十人ばかりの盗賊団があった。旅人や宿場の店を襲って金品を奪っては、無抵抗の者であろうとも殺す残忍さで知られ、旅人と宿場の住人達をふるえ上がらせていたものだった。しかし、無宿人だけでなく浪人も大勢混じっており、代官所の捕方や火盗改が駆けつける度ことごとく返り討ちにしてしまうため、役人も手をこまねくばかりだった。
 その凶悪な男たちを、街道で行き合わせた若干二十三の正馬が、たったひとりで殲滅して見せたのだ。
 正馬は駿河から鎌倉へ戻る旅の途中だった。そして伊豆の山中に差しかかったところで、富裕な商人らしき一行が盗賊に襲われているのを目撃したのだった。正馬が駆けつけた時には、店主と内儀、それに五つになるかどうかと見える娘は無残に殺されていた。無頼者どもは手代らを痛めつけ、女中たちを乱暴した上、なぶり殺しにしようとしている最中であったという。
 彼らは刀や槍のみならず鉄砲で武装していたが、正馬は出会い頭に十名をたちまちのうちに斬って捨てた。敵わぬと見た連中が山へ逃げ込んだのを弓矢を持って追跡し、氷のような冷静さで物陰から次々仕留めていった。降参して代官所へ突き出されれば死罪となるのは知れたことであったから、男たちは皆必死に逃げ回った。しかし、正馬は疲れも見せずに追跡をつづけ、速やかに、そして着実に、死体の山を築いたという。そうして二十余名がいた盗賊団は、代官所の役人が駆けつけるまでの数刻のうちに、ひとりも残さず壊滅した。
 隣を歩いているのは、そういう男なのだ。

「どうした」

 正馬の瞳がすうっと動いてこちらを見た。

「いえ……」紀堂は十二に戻った心地で瞬きをした。
「先生が昔、盗賊団を討った時のことを思い出していました」

 師匠がかすかに首を傾げ、ふうん、と喉で言う。

「まだ覚えておるのか」
「もちろんです」

 賑やかな往来の景色に目を細めながら、紀堂は頷いた。
 盗賊団を討った翌日、正馬は伊豆から長谷の屋敷へ戻った。正馬が一味を討伐した噂は、すでに街道伝いに鎌倉へも伝わっていて、野月家家人も紀堂も気を揉みながら次男の帰りを待ち受けていたのだった。しかし正馬は、「ああ疲れた。まったくひどい目にあいました」と言いながら現れたかと思うと、なんという無茶をするのかと詰る兄や義姉をよそに自室の布団に倒れこみ、そのままぐうぐう眠り込んでしまった。
 翌朝、朝餉の時刻になっても起きてこない正馬の寝間を、紀堂は唐紙の間からこっそりのぞいた。かすり傷ひとつも負うことなく、二十余名を討ち取ったとはとても思えぬ平和な寝顔が見えた。時折、庭を向いた障子の外で、庭木が葉を散らす音がかさかさと聞こえてくる。白く輝く障子に牡丹雪のような落葉が映り、ぴくりとも動かぬ正馬の顔を斑に変える。それをぼんやり見下ろしていると、不意に青年が瞼を開いた。
 頭の上に置いた打刀を掴んで跳ね起きる。目にも止まらぬ敏捷さで紀堂に向かって抜きかけて、正馬がぴたりと動きを止めた。

「……なんだ、鶴之助か」

 眠そうな声で言うなり、布団にどさりと座り込んだ。
 殺気に当てられ声も出せずにいる紀堂を見て、

「すまん、すまん。気が立っておったのだ」 

 と刀を傍らに置いて苦笑いしている。

「……恐ろしかったか。許せ」 

 心ノ臓がばくばくと暴れ、息がうまくできなかった。だが、どうにかこうにか坐りなおし、強張った唇を動かした。

「恐ろしく、ありません。驚いただけです」

 正馬が静穏な目でこちらを見た。

「……そうか。恐ろしくはないか」

 はい、と紀堂はこっくり頷き、じっと青年を見返した。いや、本当は怖いのかもしれない。悪党とはいえ二十人以上を血祭りに上げたこの若者が、畏怖を覚えるほどに恐ろしいと、心の奥底では思っている。だからこうして、顔を覗き見にこないではいられなかったのだ。獄卒のごとく大量の悪人を成敗してきた正馬は、今も、紀堂が知っている正馬なのであろうかと、確かめずにはいられなかった。

「先生は……恐ろしいと思われましたか」

 自分でも知らぬうちに、訊ねていた。
 八つの頃から武術を教わるようになって以来、正馬を先生と呼んでいた。正国や長男の正徳らは紀堂を「鶴之助様」と呼び丁重に扱ったが、正馬はそうではなかった。最も年が近いせいか、あるいは格式に頓着しない性質からか、生真面目な正徳に咎められても鶴之助、鶴之助、と弟のように扱った。紀堂はそれを、無礼だとも不快だとも思ったことはない。正馬の武芸の才を尊敬していたし、身内のように分け隔てなく接してくれることが、ただ嬉しかったのだ。
 正馬は紀堂の両目をのぞき込むようにして、わずかに顔を傾けた。

「……私か。さぁ、何かを思う余裕なぞなかった。死に物狂いでやる他になかったのでな」

 向かうところ敵なしに思える師匠でも、そうなのか。疲れ切ったような青年の顔をまじまじと見詰めていると、

「あの親子は、哀れだった。幼子が母にしがみついたまま、一緒に刺されて息絶えていた。……これ以上連中を野放しにするわけには、いかなかった」

 青年が独り言のように言った。

「だが、戻ってくることができてよかった。父上や、兄上や、義姉上や、そなたのところに戻ることが叶って、よかった。それだけだ」

 どこか遠い目をしている師匠の姿に、急に胴震いが襲った。
 もし、正馬が帰らなかったら。傷を負って、苦しんでいたら。

──怖い。自分が傷を負うよりも恐ろしい、と思わずにはいられなかった。

 正国であったら。正徳やその妻の琴であったら。恐ろしい。なんと恐ろしいことか。
 大切に思う人が帰らないということの、目の前が暗くなるような恐怖を、初めて知った気がした。

「はい。先生が無事に戻ってきて下さって、安堵致しました」

 膝の上の両手を握り締め、ふるえを堪えた。

「……ですが、先生がもし戻っていらっしゃらなかったらと思うと……心底恐ろしい気がします」

 遠くを見ていた師匠の瞳が、紀堂の上に戻ってきた。

「そうか。じゃあ、死に物狂いでやってよかった」

 さらさらと、障子に雨のような紅葉が映る。
 青年の精悍な顔にも映るそれは、まるで涙のようにも見える。いつも通りの物柔らかな笑みを浮かべた正馬を、紀堂はひどく悲しげだと思いながら、見詰めていた。


 笑い声と三味線の音色が、通りの料理茶屋の二階から聞こえてきた。

「……有里どのは、大した女人だな」 

 紀堂の心を読み取ったように、正馬が前を見たまま言った。

「勇気のある、健気な人だ」

 有里の安堵した表情が目の前にちらつく。有里は戦っている。静かに、目を逸らすことなく、紀堂を失うかもしれぬ恐怖と戦っている。紀堂の闘いはいつまで続くのか皆目わからない。それも、紀堂は正馬ほど強くなどないのに、盗賊団とは比較にならぬような相手を敵に回しているのだ。
 藤五郎も、大鳥屋を誰よりも大切にしている大番頭でありながら、店よりも紀堂の意志を優先すると決めた。道理を殺し、無謀な仇討ちの道に、共に踏み込んでくれた。

「もっと力があればと、口惜しく思います」

 さんざめく通りを行き交う人々を見詰めて呟くと、

「死力を尽くせ」

 静かな声が返ってきた。

「全霊でやり遂げろ。這ってでも、鬼となってでも生きて戻れ。それだけを考えろ」

 暗い道の両脇の灯りが、視界で滲む。修羅のように強い青年の顔に映る、紅葉の雨が浮かんで消える。

「……はい」

 囁く声が、ざわめきに溶けていった。
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