前世が魔王だったことを思い出して最強の力を得たけど、そんなことより充実した高校生活を送りたい

のみかん

文字の大きさ
34 / 69

第34話『日本米とタイ米くらいの違いでしかない』

しおりを挟む




「その魔の気は前世の力を受け継いでいるだけだということはわかった」

 敗北した風魔先輩は俺を狩ろうとするのを諦めてくれた。

 誤解も解けて万事解決――と思ったのだが。

「現在の君が魔の者ではないことは信じよう。だが、魔の者であった頃の記憶がある以上は油断できない。君がいつ前世の性質を取り戻して、乙女の不浄の穴を狙う存在になるかわからないからな」

 前世だって別に興味はなかったんですけど!?
 前世はそうだったみたいな決めつけやめてくれません?
 あと、魔の者じゃなくて魔族な! 誤解、解けてない!

「君も彼の近くにいるつもりなら気をつけておきたまえ。魔の者は気が強い女子の穴を特に好むと聞く」

 風魔先輩が結城優紗に視線を送って忠告した。
 何言ってくれちゃってるんだコイツ。
 結城優紗、真に受けるなよ?
 なんか深刻そうに頷いてるけど。

 風魔先輩の中で『魔=不浄の穴を狙う存在』という図式は確定しているらしい。
 それ、そもそも本当に正しい情報なんすかね……。
 ソースどこよ。

 とても疑わしい。

「俺の前世は地球に住む魔の者とは別種だと思うんですが……」

 異世界の種族だし。

 極端な話だけど、魔族って寿命とか平均魔力量が違うだけの人間ですぜ。

「ふむ……言われてみれば少し違ったかもしれない。だが、禍々しさを感じたのは同じだ。日本米とタイ米くらいの違いでしかない」

 その例えは何なの……。

「あの腕力で屈服させるような戦い方は実に『らしさ』を感じる要素だったぞ……はふぅ……」

「…………」

 結局、風魔先輩は俺を敵視することはやめてくれたが『魔の者』と完全に無関係だとは認めてくれなかった。

 おまけに連絡先の交換を迫られ、魔の者としての衝動が抑えられなくなっていないか定期的に確認させてくれと頼んできた。

 もし衝動が抑えきれなくなったら真っ先に知らせて欲しいとも言われた。

 それはもう非常に熱心に……。



「やれやれ、風魔先輩も困った人だったな」

「ええ、そうね……」
 

 風魔先輩が去り、二人になった後で話しかけると結城優紗の態度はなぜかぎこちなかった。

 なんか、不自然に身体の正面しか俺に向けてこないような……?




「結城、おはよう」

「ひっ! し、新庄、おはよう……」

 それからしばらく。
 結城優紗は俺と会うと、警戒したように尻を押さえて後退りするようになった。
 だから興味ねえって言ってるだろ!

 魔の者とかいう輩共のせいでとんでもない風評被害だ……!
 もしそいつらを見つけたら絶対に一発殴ってやる。
 俺は心に決めたのだった。




 風魔先輩の襲撃から二週間が経った。

 クラスでの人間関係は変わらずだが、風魔先輩を最後に妙な絡み方をしてくる輩が現れなくなったので俺の高校生活は随分と過ごしやすくなっていた。

 中間テストも丸出さんや結城優紗にノートを見せて貰ったり、勉強を教えて貰ったおかげで無事に乗り越えることができた。

 全教科平均点以上は一ヶ月のハンデありにしては頑張ったほうだと思う。
 停学期間中に自主勉強しててよかった。
 そうそう、テスト勉強では部の皆とファミレスやファストフード店に行ったんだよね。

 ずっと憧れていた青春のシチュエーションだったから感激しちゃったよ。

 夢が一つ叶ってマジ嬉しい。

 その思いの丈を結城優紗に語ったら『これが必死に倒そうとしていた魔王だなんて……』と複雑そうな顔をされた。

 知らんがな。





しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

S級スキル『剣聖』を授かった俺はスキルを奪われてから人生が一変しました

白崎なまず
ファンタジー
この世界の人間の多くは生まれてきたときにスキルを持っている。スキルの力は強大で、強力なスキルを持つ者が貧弱なスキルしか持たない者を支配する。 そんな世界に生まれた主人公アレスは大昔の英雄が所持していたとされるSランク『剣聖』を持っていたことが明らかになり一気に成り上がっていく。 王族になり、裕福な暮らしをし、将来は王女との結婚も約束され盤石な人生を歩むアレス。 しかし物事がうまくいっている時こそ人生の落とし穴には気付けないものだ。 突如現れた謎の老人に剣聖のスキルを奪われてしまったアレス。 スキルのおかげで手に入れた立場は当然スキルがなければ維持することが出来ない。 王族から下民へと落ちたアレスはこの世に絶望し、生きる気力を失いかけてしまう。 そんなアレスに手を差し伸べたのはとある教会のシスターだった。 Sランクスキルを失い、この世はスキルが全てじゃないと知ったアレス。 スキルがない自分でも前向きに生きていこうと冒険者の道へ進むことになったアレスだったのだが―― なんと、そんなアレスの元に剣聖のスキルが舞い戻ってきたのだ。 スキルを奪われたと王族から追放されたアレスが剣聖のスキルが戻ったことを隠しながら冒険者になるために学園に通う。 スキルの優劣がものを言う世界でのアレスと仲間たちの学園ファンタジー物語。 この作品は小説家になろうに投稿されている作品の重複投稿になります

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

あなたはダンジョン出禁ですからッ! と言われた最強冒険者 おこちゃまに戻ってシェルパから出直します

サカナタシト
ファンタジー
ダンジョン専門に、魔物を狩って生計を立てる古参のソロ冒険者ジーン。本人はロートルの二流の冒険者だと思っているが、実はダンジョン最強と評価される凄腕だ。だがジーンはある日、同業の若手冒険者から妬まれ、その恋人のギルド受付嬢から嫌がらせを受けダンジョンを出入り禁止にされてしまう。路頭に迷うジーンだったが、そこに現れた魔女に「1年間、別人の姿に変身する薬」をもらう。だが、実際には「1歳の姿に変身する薬」だった。子供の姿になったジーンは仕方なくシェルパとなってダンジョンに潜り込むのだが、そんな時ダンジョンい異変が起こり始めた。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

処理中です...