トラックエルフ ~走行力と強度を保ったままトラックがエルフに転生~

のみかん

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第一章

結末と予兆5『腐れ縁って』

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 御令嬢たちを見送ってから三日ほどが経った。

 平たいビッチことリリンの母親の容態に変化がないことを確認し、領主の金で泊まり続けている宿に戻ろうとした時だった。

「ねえ、お兄さんは冒険に行かないの?」

「は? 冒険?」

 リリンが藪から棒にそんなことを言ってきた。

 俺は閉鎖されたエルフ里から絶賛冒険中の身の上だが。

「冒険者ギルドに登録したんでしょ? なのにまだ一回も依頼受けてないみたいじゃん。せっかくルドルフがブラックリストから解除させたのに」

 そういやそんなこともありましたね。

 金を稼ぐために冒険者になってたんだっけ。

 領主に食客として面倒見てもらってたから必要性を感じなくて忘れてたぞ。

「せっかくだし、一度くらい仕事しとくべきかなぁ」

「それギルドでは言わないほうがいいよ。基本的にみんなカツカツなんだから」

 なんだその無職を蔑むような視線は。

 これでも前世では昼夜問わず走り続けるハードな仕事をしてたんだぞ。

「ねえ、お兄さん。一緒に郊外の森に行こうよ。街道に出たキメラの調査っていう見返りの大きい依頼が出てるんだよ!」

「見返りが大きい? ……それは危険なクエストじゃないのか?」

「まあね、でもお兄さんがいるなら大丈夫でしょ」

「お前、それに俺を巻き込みたかっただけじゃないよな?」

「さっそくギルドに行って受注しなきゃ! 急ごう!」

 リリンは日本晴れのような明るい笑顔を屈託なく向け、俺の手を引いた。

 ……こいつ誤魔化しやがったな。



 久しぶりに訪れた冒険者ギルドは相変わらず殺伐としていた。

 見るからにガラの悪そうな男どもがウロウロし、昼間から酒を飲んでいる。

 わざと肩をぶつけてくる連中を弾き返して脱臼させたりしながらリリンと二人で受付に行って依頼を受ける。

「……ここに来るといつも目つきの悪いやつらに絡まれるな。冒険者ギルドにはまともなやつはいないのか?」

「お兄さんはエルフだからね。一見すると優男っぽいからちょっかいかけたくなるんだよ。あと、まともな人たちは昼間の時間帯は外に出てるから」

「そっか。そのちょっかいかけたくなる思考は理解できんが、まともなやつらは働いてるのか。なるほど。お前らもこの時間帯にいたもんな」

「それ、どういう意味?」

 そのまんまだろうが。当たり前のこと言わせんなよ。

「あのときにいたお仲間は誘わないのか?」

 いかつい男とか、小便を漏らして逃げた男とか。

 いろいろいたはずだが今日はここまで俺たち二人だけだ。

「シルバたちはまだ留置所だよ。ルドルフが逃げるのを手伝って暴れたらしいから当分出てこないんじゃないかな」

 頑張って逃がしたルドルフは結局レグル嬢に捕まったけどな。因果応報。チンピラどもはしばらくマズイ飯を食っていればいい。

「そういやルドルフが連れていかれたけど、リリンはあんまり気にしてないみたいだな。どうしてだ?」

「いつものことだもん。実家から迎えが来て連れていかれて、それでしばらくしたらひょっこり戻ってくるの」

「あいつは懲りない男だな……」

「けど一緒にいたら面白いやつだから、いなくなられても困るんだけどね」

 表情を柔らかくして言うリリンに、腐れ縁ってこういうやつなのかなと俺は思った。

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