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第二章
王都と門番3『ペーパードライバーの運転免許証みたいになってんな。』
しおりを挟む列が進み、いよいよ俺たちの番が来た。
身分証を求められたので冒険者ギルドのカードを提示する。
依頼はリリンと森に行った一回しか受けていないが、こういう時にあると便利なものだ。
なんかペーパードライバーの運転免許証みたいになってんな。
「……ん? その子供は?」
門番を務める衛兵の眼光がリュキアを射抜く。
「俺の連れだが?」
「リュキアっていうんだよー」
リュキアが手を挙げて元気に挨拶する。
「う、うむ? この感じなら気のせいか……?」
門番は考え込むように首を捻ってブツブツ言っている。なんだコイツ。幼女にいちゃもんつけて何を企んでんだ。
「通って問題ないか?」
黙ってたらつまらん言いがかりをつけられそうだ。
俺は強気で押してみた。すると、衛兵はハッと我に返る。
「あ、ああ……すまんな。いいぞ」
歯切れは悪いが言質を取ったので構わず進む。
通行税を払って入場。
ギルドなどの依頼で出る際は構わないが、王都の住民でない者が私用で外に出ると再び入場するにはまた金がかかるらしい。
入場料必須とか、テーマパークかよ。
余計な金を払いたくなければ王都に住めってことか?
街の中に入った俺たちはレグル嬢の住むテックアート家の屋敷を探していた。
一応、大体の場所は聞いていたのだが、道が複雑すぎてよくわからん。
王都の雑踏は前に進むだけで一苦労。
静謐な森にあるエルフ里で過ごしてきた俺にとっては精神的に気疲れする環境だ。
「えーと、テックアート家、テックアート家はこっちかなーっと」
「グレンぅ、まだー?」
リュキアは再び背中に乗っていた。こんな人混みではぐれると困るからな。
てっきり王都に着いたらまたどこぞへ行ってしまうかと思っていたが、今度は最後までついてくるらしい。
レグル嬢には許可を取らずに連れていくことになるが、子供の一人くらい大目に見てもらえるだろう。
「それにしても……」
人にぶつからないように歩くのは難しい。油断すると相手を跳ね飛ばしてしまう。道路と違って進行方向が一定ではないからな。先程も傲慢そうな大柄の男が道を譲らずに突き進んできたせいで衝突事故を起こしてしまった。
俺は避けようとしたんだよ?
当然のことながら俺は無傷。
相手が一方的に被害を受けただけだったが、普通のエルフならこっちが倒れて怪我してたぞ。
まったく、道では譲り合いの精神が大切だというのに。
ああいう勘違いした輩には困ったもんだ。
「ここであってるのかな?」
一般市民の住む区画とは異なる、富裕層の住宅が並ぶ区域にその屋敷はあった。
この辺りまで来ると一般市民はほとんどいないのですっかり人通りもなくなっている。
時間帯もあいまって、通りを歩いているのは俺たちくらいなものだ。
いやぁ、ここまで辿り着くのにいろんな人間に道を訊きまくって大変だった。
俺はどうやら都会に住むのには向いていないらしい。
「ごうかだねー」
「ああ、そうだな……」
俺たちは頑強そうな門の前に立ち、コンパクトな城っぽい屋敷を見上げる。
レグル嬢の話と王都の住民たちの話を総合すると、この屋敷がテックアート家のもので間違いないはずだ。
うーむ、これと比べたらニッサンの町の領主の屋敷とか鼻くそだな。
「おい、貴様ら一体何の用だ? ここは誉れ高きテックアート伯爵家の所有する屋敷だぞ?」
おのぼりさん全開で見物していると、門の前に立っていた鎧姿の青年が訝しむように声をかけてきた。
役割的に、恐らく門番かな? 槍を持って武装している。
確かにただ黙って見つめていたら怪しいよな。
俺は懐からレグル嬢に渡されていた書状を取り出し、門番に差し出した。御令嬢になくすフリをされたが失わずにちゃんと持ってこれたぞ。
これでスムーズに取り次いでもらえるはず……。
「なんだこれは? 貴様、一体これをどこで手に入れた?」
「はぁ?」
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