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第二章
精霊と決着3『提案』
しおりを挟む「ハムファイト君……どうやら嘘つきは君だったようだね。実に残念だ。君がこんなことをする人間だったとは……」
ハムファイトとラッセルが揉めている。
気まずい雰囲気が二人の間に漂っていた。
「違うんです! これは何かの間違いなんです!」
「何も違わないだろう、言い訳はいらん!」
「わ、私はあなたのために……! あなたが余計なことをしなければ丸く収まったのに!」
「相手がどんな愚者であろうと、我々が道理を曲げることは許されない。君の行ないは魔導士として、貴族として、学園の生徒として恥ずべきことだ。もちろん、君の本質を見抜けず代表に選んだ僕にも責任がないとは言えないがね……」
おい、愚者ってなんだ。
喧嘩売ってんのか? いや、喧嘩になったから決闘やってんだったな。
「すまないが、卒業後に用意していた君のポストは考え直させてもらうよ」
「あぁ……そ、そんな……くそ……くそ……こんなはずでは……!」
ラッセルに冷たく突き放されたハムファイトは顔面を蒼白にさせて後退りする。
そして、
「お、お前らさえいなければ――ッ! 私の将来は安泰だったのに――ッ!」
ハムファイトは口から泡を飛ばして叫び、俺たちのほうに突進してきた……が、
「う、うわっ! あれっ!? なんだっ!?」
次の瞬間、ハムファイトは空中で逆さ吊りにされていた。
ヒュウヒュウと吹く風。これは魔法によるものか? 一体誰が?
「さっきから見てたらよぉ、まったく気に入らねえ野郎だ……」
観客席の向こうからルドルフがのそのそ歩いてくる。
どうやら魔法を放ったのは彼のようだった。
性格に反して器用なこともできたんだな。
「オレは特権意識でお高くとまってる貴族が何より嫌いでよぉ……」
ルドルフはイラついた様子でハムファイトに詰め寄る。
「権力ってのはやりたい放題やった最後にケツを拭く程度のもんだろ。血筋でテメェが強くなったつもりか? 勘違いしてんじゃねえぞ。同じように権力で潰してやろうかァ?」
「ひいいっ……!」
じょばばばばばぁ……。
うわ、ばっちぃ!
ルドルフに恫喝されて縮み上がるハムファイト。
なんか憤ってるけど……お前もニッサンの街でいろいろやってただろが!
知らない? ああそうですか……。
やっぱり、こいつ無茶苦茶だわ。
最近は馴れ合ってたけど適切な距離を置くことを忘れてはいけないやつだと思いました。
ハムファイトは警備の騎士に引き連れられてどこぞに消えていった。
この後、彼にはどんな処分が待っているのだろう。
まあ、そこらへんは俺の関知するところではない。
「で? この落とし前はどうつけるつもりなのだよ?」
「そんなものは決まっている。僕たちの反則負けだ。特に先ほどのハムファイト君の狼藉は申し開きのしようもない」
ラッセルは思いのほかあっさり頭を下げた。
俺たちに突っかかってきた最初の高圧的な態度を考えると相当な肩透かしである。
「まったく不本意な終わり方なのだよ……」
ラルキエリは口を尖らせて不満そうに愚痴る。
しかし、それ以上は何も言わない。
合理的な彼女はラッセルを責めたところで得るものは皆無とわかっているのだろう。
全面的に謝罪しているのだから、もはや俺たちの勝利は揺るぎない。
だが、このままラッセルたちの反則負けで終わらせていいもんか?
周囲を見渡してみる。
会場の客たちは長い中断にすっかり冷めた空気を醸し出していた。
こんな雰囲気で勝ちが決まって、それで筋トレ理論を浸透させることに繋がるのか?
正直、微妙な気がする。
もっとセンセーショナルに筋トレがスゴイと印象付けなくては意識の変革は起こせないんじゃないかと思う。
決闘で勝っても、成果を勝ち取れなくては意味がないのだ。
だから……俺はラッセルにひとつの提案をすることにした。
――ここはいっちょ、俺とお前の直接対決で最後の勝敗を決めてみないか? と
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