全マシ。チートを貰った俺の領地経営勇者伝 -いつかはもふもふの国-

のみかん

文字の大きさ
119 / 169
『領地経営』編

第118話『エルラルキ・フルバーニアン』

しおりを挟む






「フォフォフォ……デルフィーヌさん、お久しぶりですね……」

 学園長は幸が薄そうな雰囲気の爺さんだった。
 魔法使いらしくローブを着ているファッション。
 杖をついてプルプルしていて、いかにも老人っぽい老人で俺は逆に新鮮な気分になった。

 ニコルコで俺の周囲にいるジジイどもはムキムキだからね……。

「ご無沙汰しております。クラフト先生。連絡もせずいきなりの訪問で申し訳ありません」

 デルフィーヌが挨拶をすると、

「いえいえ、構いませんよ。私とデルフィーヌさんの仲ではありませんか」

 学園長の爺さんはニッコリ微笑んで言った。
 あれ? アポなし訪問になったのって俺のせい……?
 だって、偉い人に会うなんて思ってなかったんだもん。

 心の中で言い訳した。

「それよりもデルフィーヌさんは公国で大変な目に遭ってしまったと聞いていたのですが……。元気そうでよかった。どうやら噂は噂にすぎなかったようですね?」

「はは……噂……どうなんでしょう……」

 デルフィーヌは学園長の言葉に曖昧な態度で返した。
 実際、大変な目には遭ったからね。
 最悪の事態は免れたってだけで。

 詳細に語るとドン引きされそうな内容だし、デルフィーヌもどう説明すべきか迷ってしまったようだ。


「……まあ、そんなことより」


 デルフィーヌははぐらかして話を進めることにしたっぽい。


「クラフト先生、紹介します。彼はジロー・ヒョロイカ辺境伯といって、現在、私が仕えている貴族の当主でして――」


 ドタドタ。

 けたたましい足音。

 バンバン。

 うるさいノックの音。


「おい、ジジイ! ドランスフィールドが来てるというのは本当なのかだよ!?」


 デルフィーヌの家名を呼びながら何者かが部屋に飛び込んできた。
 ピンク色のボサボサ髪で分厚い曇った眼鏡をかけた少女だった。

「あれ? エルじゃない、久しぶりね?」

 どうやら少女はデルフィーヌの知り合いのようだった。

「久しぶりね? じゃないのだよ!?」

 ピンク髪の少女はデルフィーヌの挨拶にえらく憤慨していた。






「実家を取り潰されて奴隷に落とされた挙句、冒険者上がりの粗暴で残忍な貴族に引き渡されたという噂があったから心配していたのだよ!? 君の家に手紙を出しても返事がないし、無事だったのなら連絡くらい寄越してくれてもいいのではないのかだよ!?」

 唐突に学長室にやってきて、デルフィーヌに小言のマシンガンを食らわせている少女。

 名はエルラルキ・フルバーニアンというらしい。

 彼女はデルフィーヌが帝国に留学していた期間、試験でトップの座を競い合っていた友人で『賢女』と呼ばれる天才魔導士だそうだ。

 俺たちが帝都内での移動手段に使った路面電車のようなものの開発にも彼女が大きく貢献しているとのこと。

 すごい。

「ごめんなさい、色々と慌ただしくて……知り合いに無事を知らせるってことが頭からすっかり抜け落ちてたわ」

 申し訳なさそうにシュンと縮こまるデルフィーヌ。
 まあ、彼女の置かれた状況的にそこまで気を回す余裕がなかったとしても責められることではないのだが――


「まったく、君は昔からそういうところがあるのだよな?」

「うう、面目ないわ……つい、いつも忘れがちになっちゃって……」


 どうにも、デルフィーヌは状況関係なしに知り合いとあまり連絡を取ろうとしない無精なタイプのようだった。

 これは審議が難しい。


「だが、こうやって君が無事でいるなら噂は全部ガセだったということでいいのだよな?」

「…………!? ええと、それは……まあ……ね?」

「おい、ドランスフィールド? 君は何か隠しているのではないのかだよ?」


 はぐらかそうとしたデルフィーヌに詰め寄るエルラルキ。
 これはもう変に誤魔化さないほうがいいんじゃないか?
 彼女はデルフィーヌのことをかなり心配していたみたいだし。

「ジロー……」

 デルフィーヌが俺にアイコンタクトをしてくる。
 何の合図だ? 俺はよくわからず頷き返した。
 するとデルフィーヌはホッとした表情になって、

「よかった、じゃあ、二人に話すわね……」

 学園長とエルラルキにハルンケア8世の所業を話し始めた。

 …………。

 なるほど。

 さっきのは二人に事情を説明していいかという確認だったのか。





しおりを挟む
感想 144

あなたにおすすめの小説

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

娘を返せ〜誘拐された娘を取り返すため、父は異世界に渡る

ほりとくち
ファンタジー
突然現れた魔法陣が、あの日娘を連れ去った。 異世界に誘拐されてしまったらしい娘を取り戻すため、父は自ら異世界へ渡ることを決意する。 一体誰が、何の目的で娘を連れ去ったのか。 娘とともに再び日本へ戻ることはできるのか。 そもそも父は、異世界へ足を運ぶことができるのか。 異世界召喚の秘密を知る謎多き少年。 娘を失ったショックで、精神が幼児化してしまった妻。 そして父にまったく懐かず、娘と母にだけ甘えるペットの黒猫。 3人と1匹の冒険が、今始まる。 ※小説家になろうでも投稿しています ※フォロー・感想・いいね等頂けると歓喜します!  よろしくお願いします!

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
コミカライズ企画進行中です!! 2巻2月9日電子版解禁です!! 紙は9日に配送開始、12日発売! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&2巻出版!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、コミカライズ決定いたしました!現在企画進行中!!そしてオリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 12日には、楽天koboにおいてファンタジー5位となりました!皆様のおかげです! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 オリコンランキングライトノベル 週間BOOKランキング 18位(2025年9月29日付)

どうやら俺は、魔王を倒した英雄の両親より強いらしい。~オリハルコンを斬ってくっつけたら試験無しで王立学園に入学、いろいろやらかすハメに

試運転中
ファンタジー
山を割るほどに剣を極めたおとん「ケン」と、ケガなど何でも治してしまうおかん「セイ」。 そんな二人に山で育てられた息子「ケイ」は、15歳の大人の仲間入りを機に、王都の学園へと入学する。 両親の素性すらも知らず、その血を受け継いだ自分が、どれほど常軌を逸しているかもわからず。 気心の知れた仲間と、困ったり楽しんだりする学園生活のはずが…… 主人公最強だけど、何かがおかしい!? ちょっぴり異色な異世界学園ファンタジー。

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

処理中です...