全マシ。チートを貰った俺の領地経営勇者伝 -いつかはもふもふの国-

のみかん

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『勇者伝』編

第147話『あんた死ぬわよ!』

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 俺はリクのもとに向かい、火の魔法で氷を溶かして毒を治癒する。
 リクはタチアナの腕の中で泣き疲れて気絶していた。
 穏やかな呼吸をしているから、まあ、毒は完治できているだろう。

「す、すごいです、ヒョロイカ様は癒やしの術まで使えたのですね……助かりました」

 礼を言われたが、タチアナは俺たちがついてきていると知っていたはずだ。

 今頃来やがってとか思われてないだろうか。

「助けに入るの、少し遅かったか?」

「いえ、これくらいでちょうどよかったと思います。あの売女どもの本心を炙り出すことにも成功しましたし」

 売女とか言ってる辺り、タチアナもあの姉妹に鬱憤溜まってたんだろうな。

 とりあえず、リクにとってもいい薬になったってことでいいか。


「ウォリャアァァアァァァァァアアァア――ッ!!!!」

『あら、アンタ、王国騎士団のゴルディオンじゃない? パーティを追放されたって聞いてたけど?』


 ゴルディオンは推定サキュバスの美少女を相手に戦っていた。

 実際はさほど時間がかからなかったけど、リクを治療するために足止めというか、注意を引きつけていて貰ったのである。

「ゴルディオン、もういいよ、俺が相手するから」

「おお、ヒロオカ卿! リク殿は大丈夫なのですか?」

「ああ、ちゃんと治ったから心配ないよ」

「なんと早いッ! さすがですな!」

『ちょっと、あんた誰よ? 素人はすっこんでなさいよ』

 俺の参入に怪訝な表情をする美少女サキュバス。
 おや、俺をご存じでない?
 知らないなら油断しているうちに先制だ。

「おらっ! 食らえ!」

 俺は指先から水魔法を発射する。
 ビュッ、ビュッ、ビュッ。
 久々だな、これで魔物を攻撃するの。

『水魔法? そんなのでアタシがやられるとでも……っ!? えっ、これまさか聖水!?』

 途中で気がついたようだが、その頃にはもう水魔法は彼女に直撃していた。

『ぐほあああああああああ――っ!』

 なんだよ、王国の魔王軍幹部も聖水でイケるじゃないか。

『ハアハア……アンタ一体何者よ……! こんな力を持ってるなんて……ッ』

 サキュバス美少女はクリティカルヒットに苦しんでいる。

 目つきを鋭くして俺を睨みつけてきた。

「俺は公国の勇者だよ。世間的には認められてないけどな」

『公国の……!? なるほど、アンタがスザクたちを倒したっていう例の……』

 そこは知っているらしい。

『自分の国の魔王が早く片付いたから、勇者リクに助太刀するってわけ?』

「いや、本当は他国に干渉するつもりはなかったんだよ。他にやらないといけないこともあるし。でも、そっちから俺の領地に来ちゃうんだもん」

『フフッ……』

 俺が答えると、サキュバス美少女は小馬鹿にしたような笑みを浮かべた。

『すっかり役目をやり遂げたつもりでいるのね? でも、スザクの魔王軍には一番の忠臣がまだ残ってるんだから』

「は? 公国の魔王軍に生き残りがいるってのか?」

 目立った連中は一掃してるはずだ。
 そんなの初耳なんだけど?
 そこんとこ詳しく教えてくれよ。

『きっと、大事なご主人様の仇を討つために目の色を変えているでしょうね。あいつのスザクへの狂信っぷりは群を抜いてたから……』

「きょ、狂信……?」

『もう敵はいないと思っていい気になってたら、寝首を掻かれてアンタ死ぬわよ? あいつは、アタシたちみたいに――』

 サキュバスの美少女――ファントムだったか? は最後まで言い切らず、スウゥ……と煙になって消え去った。
 残ったのは着ていたボンテージ衣装だけ。
 あれを討伐の証明にすればいいのかな……?

 というか『あんた死ぬわよ!』って。
 占いじゃないんだから。
 具体的なところまで伝えてから退場して欲しかった。




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