全マシ。チートを貰った俺の領地経営勇者伝 -いつかはもふもふの国-

のみかん

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『全マシ。チートを貰った俺』編

第40話『見るか?ボロン。』

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 ぐんぐん高度を上げて上昇。
 将軍ヒザマのいる高さまで浮かんでいく。
 ヒザマに近づくにつれ、もわもわした熱気が身体を包んできた。

 熱い……ちりちりする。やつの纏う炎の影響か? 迷惑な体質してやがんな。


「よう、お前がヒザマか?」

 俺は炎まみれの怪鳥に話しかけた。
 やつの両隣には二体の魔物が脇を固めるように飛んでいる。
 あいつらあんな近くで熱くないのかな。

『フフフ……いかにも。私が魔王軍幹部、将軍ヒザマです、下等な人間よ』

 ヒザマは不敵に笑った。……笑ってんだよな? 
 鳥の顔なんで判別しにくいけど。フフフって言ってたし、笑ってるはず。

『貴様、ヒザマ様ニ軽々シク話シカケルトハ!』

『ヒザマ様、コイツハ、我々ニ任セテクダサイ!』

 ヒザマの横でバッサバサ羽ばたいていた鳥型の魔物とガーゴイルっぽい魔物が突撃してきた。


 ビュッ、ビュッ、ビュッ。


『ギュアアアアアアア――ッ』
『ギヒッィイィィィィ――ッ』


 二体の魔物は聖水を浴び、地面に墜落していった。
 はいはい、いつものいつもの。サクサクいきましょうね。


『ほう、なかなかやるものですねぇ……』

 ヒザマが感心した声を出す。

「悪いな、大事な部下をあっさり倒しちまってよ?」

『構いませんよ、私の命令も待たずに飛び出す愚か者はもともと必要ありませんから』

 冷たいんだな。煽る作戦は失敗か。
 やっぱ実力行使が一番だ。
 チートがあるんだから有効活用していかないと。

「お前には訊きたいことがあるからな、死なせない程度にさくっと倒させてもらうぜ」

『私を相手に手加減しようとしているのですか? 人間の分際で? 初めてですよ……ここまで私をコケにしたおバカさんは……』

 身に纏う炎を一層燃え上がらせ、ヒザマは怒りの戦闘態勢に入った。

『魔王様やヘルハウンドが行方不明、精鋭たちもごっそりいなくなっているなか、やっとこさ掻き集めて編成した部隊もあっという間に蹴散らされてしまいましたしねぇ……。私の苦労を一瞬で無駄にされた憤り、あなたにぶつけさせてもらいましょうか』


 ほう、強敵感出してきおったな……。
 あ、そういや下の戦闘はどうなってんだろ。


『ガルルルルルルルルルッ! グアアアアアアアアアアア――ッ!』


 地上を見下ろすと月牙の剣を咥えた巨大な銀毛の狼が魔物たちを蹂躙していた。
 前足で踏み潰したり、後ろ足で蹴り飛ばしたり。
 魔物の横を突っ走り、咥えた剣で真っ二つにしていったり。

 なんだアレ。どっから出てきたんだ?


『ヒャッハッー! 狩りつくしてやるぜ、死にたいやつから前に出ろ、オラァッ!』


 ザクザク、ブシャー。なんかあの口調、聞き覚えがあんだよなぁ……。
 まあ味方っぽいし、俺は俺の戦いに専念しますかね。
 ベルナデットやバルバトスも先陣を切って頑張ってる。

 俺は手に水魔法を纏わせ、ヒザマに放つ用意をした。


◇◇◇◇◇


『フゥッ……フゥッ……なぜ……なぜあなたは止めを刺しに来ないのですかッ?』

「お前に訊きたいことがあるって言っただろ。そう簡単には死んでもらわねえぜ」

 ヒザマは俺の水魔法を浴びてすっかりヘロヘロになっていた。
 轟々と燃え盛っていた全身の炎は今や消えかけの蝋燭の火みたいに弱々しい。
 チートの威力が強すぎるからチビチビ削るのは本当に大変だった。

 他の魔物と違って一発二発じゃ沈まないけど、ちょっとでも強くすると死んでしまう。

 魔王やヘルハウンドの耐久度を参考にしてなかったらここまで芸術的に消耗させることはできなかっただろう。

 やっぱり経験は何事にも代えがたい財産だわ。

『き、訊きたいことですか……? な、なんでしょう?』

 最初の上から目線はどこへやら。
 ヒザマはこちらの言葉に耳を貸す程度には参っているようだ。
 散々痛めつけてやったうえ、俺はチートでヒザマの攻撃を完全に防いでノーダメ。

 そら心も折れるかw

「お前ら、俺を略奪召喚するために使った魔法陣、一体誰から入手したんだ?」

 そう、俺が訊きたかったのはこれ。
 せっかく対峙したんだから訊いておかないとね。
 魔王軍の中心で残ってるのはこいつだけだし。

 ここでヒザマに吐かせることができれば王都で面倒な探偵ごっこをしなくて済む。
 もちろん聞き出せたとして、裏を取ったりする必要はあるだろうけど。

『あなたを召喚? 魔法陣? ……一体何の話ですか?』

「とぼけんなよ、お前らが略奪召喚の魔法陣を自力で用意できないのはわかってんだ。それに略奪召喚を行なうために必要な条件もな。人間側に協力者がいるんだろ?」

 半分はブラフだ。

 ひょっとしたらデルフィーヌが知らないだけで、魔族があの手の魔術を秘匿していた可能性だってある。

 だが、勇者召喚の魔法陣を横流ししたやつは必ず存在しているはず。
 それは間違いない。

『……よ、よく見ればあなたが乗っている座布団は魔王様のものでは?」

 ヒザマは俺の問いには答えず、震える声でいまさらな点に気が付いた。
 やっと俺を警戒して注意を向ける気になったか。
 やれやれだな。

「そうだよ、これは魔王を倒して俺が頂いた」

『あなたが魔王様を倒した? く、くだらない冗談を――』

「じゃ、証拠を見るか?」

 ボロン。
 俺はバッグから魔王の死体を出してヒザマに見せつけた。

『なっ……魔王様……そんなっ! そういえば、そのアイテムバッグは……ということは、ヘルハウンドやゴズメズたちもあなたが……?』

 やっとバッグにも反応したか。遅いよ。
 どんだけ俺のことを見下して適当に見てたんだ。

『あなたは一体何者ですか……!』

「俺は勇者だ。お前らが略奪召喚した、ハルン公国のな」


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