見上げた空は青かった

ダクトリオ

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カキーン

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「セーフ!!」
監督が叫んだ。
打てなかった。
「鈴太郎くん、それもヒットだぞ!!」
はぁ、はぁ、しょぼい当たりだったのに?
「野球は遠くに飛ばすだけが野球じゃないんだ。そうやって一生懸命走ることでヒットになることもあるんだよ。」
そうなんだ。
「ナイスラン!」
野球部のみんなが僕に言ってくれた。
「ナイスラン!鈴太郎くんは足が速いんだね。」
足には自信がある。たぶん、その辺の6年にもそこそこ勝てる自信がある。
野球っておもしろいな。サッカーだったら蹴るパワーで負けてたけど、野球はパワーで負けてもスピードがあればセーフになるのか。

「じゃあ、次は玲香ちゃん打ってみる?」
「うん、打ってみる!!」
玲香が打席に立つ。
なぜかさっきから嬉しそう。たぶん、いや絶対緊張していない。
「哲朗!ゆっくり投げてやれよ!」
「はい!」
1球目、
シュッ、、カキーン。
カキーン?
打球はピッチャーの頭を越えて、センターに転がっていく。
「やったぁ。」
「ナイスバッティング!!」
みんなが拍手をしていた。
やるじゃん。玲香。

「おにいちゃん、野球って楽しいね!野球部入ろうよ!」
「えっ、でも、、、」
鈴太郎は迷っていた。楽しい夏休みと引き換えに野球なんてできるのか。
「入ってくれるなら嬉しいな。鈴太郎くんと玲香ちゃんが入ってこれで10人なんだ。グローブがあれば練習に参加できるよ。」
すると玲香が、
「グローブならあるじゃん!この前買ってもらったやつ!」
おいっ!それを言うな!
「実は、入りたくてここに来たんだね。明日も練習するし、おいで。」
「えっと、、」
鈴太郎は断りたいけど、断れない。
だってグローブ持ってるってばれたんだ。
「はい。明日も玲香と来ます。」

鈴太郎と玲香はグランドを後にした。
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