見上げた空は青かった

ダクトリオ

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オムライス

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悩んでる鈴太郎と楽しそうな玲香は帰り道を歩いている。
野球って思ったより面白そうだな。サッカーと同じくらいかな。
野球やってみるのもいいかもな。でも、友達とも遊びたいしなぁ。
心の中で鈴太郎は考えていた。

あの不思議な感覚が忘れられない。
全然いい当たりじゃないのに、みんな褒めてくれた。
サッカーではドンマイってしか言われたことないよ。

「お腹すいたぁ。今日のご飯何かなぁ?」
玲香が話す。
「ん~、わかんない。」
鈴太郎は野球のことで頭がいっぱいだ。

「ただいま~。」
「おかえり。鈴太郎、玲香。思ったより帰ってくるのが早かったね。」
お母さんだ。名前は静香(しずか)。
「あっ」
鈴太郎たちはすっかり晴樹たちとの約束を忘れていた。
「いっけね。晴樹たちいまごろ俺らを待ってるのかなぁ。」
「私、疲れて遊べないよ~。」
「あら、二人とも何してきたの?」
「野球部の人たちと野球してきたの!カキーンってヒット?打ったよ!」
玲香、また余計なことを、お母さんに野球したことばれちゃったよ。
「そぉなの?野球楽しかった?」
「野球、まぁまぁかな。」
「おにいちゃんもセーフになったよ!めっちゃ走って。」
「もう、次のスポーツやるのね。いいじゃない。グローブ買ってもらったんだもの。」
「さっきからおにいちゃん悩んでて元気ないんだぁ。」
「鈴太郎、どうして悩んでるの?」
「それは、わからない。確かに野球は面白いと思っているけど、友達とも遊びたいし、暑くて練習はきつそうだし。」
「悩んでるのね。まぁ、サッカーやめちゃったばっかりだしね。とりあえず、お腹すいてると思うし、ご飯にしましょ!」

「早く食べたいなぁ。お父さんは?」
「お父さんは2階よ。お仕事してるんだって。」
父は清治(きよはる)。会社で働いてる。あんまり詳しくないが、毎日残業で大変みたいだ。
「鈴太郎、お父さん呼んできて。」
「はぁい。」

「お父さん、ただいま。ご飯食べるってさ。」
「おかえり。鈴太郎。今日は早かったな。」
「あぁ、ちょっと。」
「ちょっと?」
「野球してきたんだ。野球部に引きずりこまれて。」
「そうか、グローブ買ってもらったし、今度は野球か?」
「わからない。」
「ご飯食べようか。」
「うん。」

夕食はスープとサラダとオムライス。
そういえば、サッカー部に入った日もオムライスだったな。
「いただきま~す!!!」
玲香は元気だな。
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