見上げた空は青かった

ダクトリオ

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キャッチボール

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次の日。
鈴太郎は悩んでいたが、野球部の練習にいくことにした。
とりあえず行ってみよう。
鈴太郎は一度も使ったことのないグローブを手に取った。

「お母さん、お父さん、野球の練習にいってくるよ。」
「行ってらっしゃい。気を付けてね。水分はしっかりとるのよ。」
母も父も昔から余計なことはあまり言わない。僕がやりたいことはやらせてくれる。
「いってきます。」
「いってきま~す!!」
「頑張ってね。」

グランドについた。
監督だ。相変わらずデカイ。
「監督、おはようございます!」
「おはよう。来てくれたんだね。」
「はい。」
「そういえば僕の名前を言ってなかったね。名前は大鳥京平(おおとりきょうへい)って言うんだ。よろしくね。」
「よろしくお願いします。」

鈴太郎は意外と礼儀正しい。
というのも、あんなにデカくていかつい大人は見たことないからまだ緊張している。

「監督!そろそろ練習はじめますか?」
そういったのは、キャプテンの西田。
「おう!みんなそろったし始めるか。集合!」
「はい!」
部員たちは監督の前に並んだ。それを見て鈴太郎たちも並ぶ。
「気をつけ!礼っ!」
「お願いしますっ!」
大きな声だ。サッカー部とは大違いだ。
「今日も練習頑張ろう。来週には大会がある。それに向けて仕上げていこう!」
「はい!」

「みんな!ランニングからやるぞ!並んで!」
キャプテンはとても声が大きい。
このチームは
6年3人
5年1人
4年3人
3年1人で構成されている。
鈴太郎たちが入ってやっと試合ができる。
鈴太郎は4年生。
玲香は3年生だ。

ランニングがおわり、体操、ダッシュをこなした。
鈴太郎は疲れていない。サッカー部のときも走っていたからだ。
玲香は少し疲れている様子。
「玲香大丈夫?」
「少し疲れちゃったかな。」
「無理はするなよ。」

次はキャッチボールだ。
「鈴太郎、キャッチボールしようぜ。」
同じ4年の宮田が誘ってきた。
「いいよ。やろう。」
玲香は同じ3年の上村くんとやるみたいだ。
「いくぞ!鈴太郎!」
シュッ
バシッ
捕れた!初めてだ!
まだ少し硬いグローブだが、キャッチできた。
「鈴太郎次は投げてみろ!」
「おう!」
シュッ、
あれっ?
ボールは宮田の後ろに転がった。
いままでサッカーしかやったことがなかったから投げるのは得意じゃないみたいだ。
「ごめんごめん。」
「いいよ!誰にでもミスはあるよ。次いくぞ!」

約10分間、上手く投げられたのは数球だった。
投げるの難しいな。
「鈴太郎くん。投げるときは右手だけじゃなくて、グローブのほうも使うんだよ。」
監督が話しかけた。
グローブ?両手で投げるってこと?まさか。
「グローブを前に出して。引くときに右手を振るんだよ。投げてみて。」
そういえば。宮田もそうしてた気がする。
鈴太郎はアドバイス通り投げてみた。
シュッ、バシッ
今度は上手く投げられた。
「すぐに投げられるなんてすごいじゃないか!」
監督は喜んだ。
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