大地のためのダンジョン運営

あがつま ゆい

文字の大きさ
9 / 70
ダンジョンマスターと魔王

第9話 ボンボンのダンジョン配信者

しおりを挟む
「先生、ダンジョンマスターって国からも注目されているとお聞きしたのですが本当なんですか?」
「まぁな。俺も一応王族ともコネがあるからな」
「お、王族ともコネがある!? す、すごいですね先生」
「まぁダンジョンマスターなら王族と関わる事になるし……?」

 そこまで言って、ソルはある事に気づく。感覚を共有していたダンジョンに、侵入者がやって来た。

「侵入者か? 待てよ、あいつは軍使ぐんしだ! 召喚獣は彼には手を出すな! 俺が直々に行く!」

 ソルは侵入者の格好を見て、即座に軍使ぐんしだと気づいてレナを連れて交渉に向かった。
 軍使ぐんし……軍隊における伝令を伝える係であり、和平交渉をはじめとした交渉や降伏勧告などを行う際に重要な役目を持つので、敵国の者でも殺さないのがルールだ。



「ソル=デイブレイクさんですね。アルフレッド様からのご伝言です」

 そう言って軍使ぐんしは1枚の手紙とサイン入りの身分証を渡した。

「要件はこれだけか?」
「はいそうです」
「分かった、帰って良いぞ。きちんと手紙は受け取ったと伝えてくれ」
「分かりました。では」

 軍使ぐんしはそう言うとダンジョンから去っていった。



「先生、今の人は?」
「彼は軍使ぐんしって言って伝令を運ぶ仕事をしている人さ。基本傷つけてはいけない人物なんだ。たまに入って来るけど攻撃はするなよ」

 ソルは手紙を読みつつ弟子にそう説明する。説明されたレナは手紙そのものはもちろん、それを包む封筒も気品のある最上級品なのを見て、もしやと思いたずねる。

「ところで、そのお手紙は?」
「『アル』からの手紙さ。一緒に仕事をしていて、それに関する内容さ」
「『アル』……? まさか、アルフレッド様ですか!?」
「ああ、そのまさかだ。ちょっとダンジョンを離れるからまた留守番してくれるか?」
「は、はい! そ、それと……」
「何だ?」
「もしよろしければアルフレッド様のサインが欲しいんですけど、いいですか?」
「分かった。伝えとくよ」

 ソルは身支度を整えて王城へと向かう。20分もあればたどり着けるため、それほど距離は無かった。



 ダンジョンを出て城下町を抜け、王城の中に入ろうとすると……門の守兵が槍を向けた。その表情からは明らかな敵意があった。

「止まれ! お前、ソル=デイブレイクだな!? ダンジョンマスターが何の用だ!?」
「アルフレッド様に呼ばれてやって来たんだ。証拠もある」

 ソルはアルフレッド直筆のサインが入った身分証を見せた。

「うーむ……この文字やサインは本物みたいだな。分かった、通ってくれ」

 身分証の効果は絶大で、衛兵たちもすぐに通してくれた。

「アルの奴、また『ダンジョン配信』とやらをやるみたいだぜ」
「ったく、お偉い様って奴は暇なのかね? 配信なんか観ずに自力でダンジョン潜ればいいのによぉ」

 アルフレッドに対しては随分と不満だったが。



「ソルさんですね? お話はお伺いしております。アルフレッド様の元へとご案内いたします」

 城内に仕えるメイドに案内され、部屋の中に入ると体型に合わせて作った特注の服を着て、腹が大きく出た……要するに「太った」男がいた。
 彼はソルを極めて友好的な態度で出迎える。

「おお! 来てくれたか! ソル!」
「俺を呼んだのはまたダンジョン配信をおするためか?」
「ああそうだ。前回の配信でついに隣の国からも観覧希望の声が出始めたんだ」
「へぇ、一大産業だな。もうお前の事はバカには出来ないな」
「ボクをバカにするな! これでもこの国の王族なんだぞ!?」
「分かった分かった。だから怒るなよアル」



「アル」正式名称アルフレッド。
 一応は王族なのだが4男坊、しかも上にいる3人の兄は病気らしい病気をせずに育った健康そのものな体で、
 さらには現国王である長男には息子が2人いるためほぼ100%王位は継げない、という身分にいる。

 統治の腕はあるのだが3人の兄が優秀過ぎて相対的にダメに見えるためロクな爵位も領土ももらえない穀潰しニートだったのだが、
 冒険者に憧れていたのもあって、現在ではソルにダンジョンを作らせて傭兵を雇い「安全を確保した上での」ダンジョン攻略の実況中継を行っている。



「そう言えばお前、この前本物の遺跡に潜って撮影やってたそうじゃないか。
 一応お前はこの国の王族関係者なんだから自分の身を考えた方がいいぜ? もしも死んだら大事おおごとになるぞ?」
「どうだか。王族の血は引いてる、と言っても誰も悲しまないと思うぞ」
「俺は悲しむかもな」
「ソル、お前本当にいい奴だよなぁ。じゃあ早速打ち合わせをやろうか」

 次回のダンジョン配信へ向けての話し合いが始まった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

盾の間違った使い方

KeyBow
ファンタジー
その日は快晴で、DIY日和だった。 まさかあんな形で日常が終わるだなんて、誰に想像できただろうか。 マンションの屋上から落ちてきた女子高生と、運が悪く――いや、悪すぎることに激突して、俺は死んだはずだった。 しかし、当たった次の瞬間。 気がつけば、今にも動き出しそうなドラゴンの骨の前にいた。 周囲は白骨死体だらけ。 慌てて武器になりそうなものを探すが、剣はすべて折れ曲がり、鎧は胸に大穴が空いたりひしゃげたりしている。 仏様から脱がすのは、物理的にも気持ち的にも無理だった。 ここは―― 多分、ボス部屋。 しかもこの部屋には入り口しかなく、本来ドラゴンを倒すために進んできた道を、逆進行するしかなかった。 与えられた能力は、現代日本の商品を異世界に取り寄せる 【異世界ショッピング】。 一見チートだが、完成された日用品も、人が口にできる食べ物も飲料水もない。買えるのは素材と道具、作業関連品、農作業関連の品や種、苗等だ。 魔物を倒して魔石をポイントに換えなければ、 水一滴すら買えない。 ダンジョン最奥スタートの、ハード・・・どころか鬼モードだった。 そんな中、盾だけが違った。 傷はあっても、バンドの残った盾はいくつも使えた。 両手に円盾、背中に大盾、そして両肩に装着したL字型とスパイク付きのそれは、俺をリアルザクに仕立てた。 盾で殴り 盾で守り 腹が減れば・・・盾で焼く。 フライパン代わりにし、竈の一部にし、用途は盛大に間違っているが、生きるためには、それが正解だった。 ボス部屋手前のセーフエリアを拠点に、俺はひとりダンジョンを生き延びていく。 ――そんなある日。 聞こえるはずのない女性の悲鳴が、ボス部屋から響いた。 盾のまちがった使い方から始まる異世界サバイバル、ここに開幕。 ​【AIの使用について】 本作は執筆補助ツールとして生成AIを使用しています。 主な用途は「誤字脱字のチェック」「表現の推敲」「壁打ち(アイデア出しの補助)」です。 ストーリー構成および本文の執筆は作者自身が行っております。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~

松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。 異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。 「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。 だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。 牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。 やがて彼は知らされる。 その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。 金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、 戦闘より掃除が多い異世界ライフ。 ──これは、汚れと戦いながら世界を救う、 笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。

処理中です...