追放→ざまぁwww こんぴれーしょんぱっく ~追放もの短編集めました~

あがつま ゆい

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ハズレスキル「会話」は実はダンジョンと会話して仲良くなれる最強スキルでした

第5話 帝都ギールへと進出

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「……ついに帝都ギールに旅立ってしまうんですねお兄様」

「ああ。でっかくなって凱旋がいせんするから待ってろよ」

 旅立ち前から準備はしており、ねぐらに近い3つのダンジョンを回って割とレアなアイテムを持ち帰り、カネをためており旅費はバッチリだ。

「はい。私たち迷宮ダンジョンには人間でいう寿命が無いのでいつまでも待っていますよお兄様。また元気な顔を見せてくださいね。できれば早いと良いんですけど」

 名残惜しそうに言葉を交わし、お兄様ことボイドは迷宮ダンジョンを発った。



 帝都ギールへの旅は端的に言えば順調であった。帝都に近づけば近づくほど道路は広くなり、舗装もされて歩きやすくなっていく。
 人の目が目立つ場所なのかボイドの想像とは反対に、帝都に近づくほど強盗や山賊の数も少なくなっていった。
 かつてのねぐらを旅立ってから2週間……ついにボイドは帝都ギールへとたどり着いた。

 帝都ギール……世界最難関の「神界へと続く迷宮」を含めた7つの迷宮ダンジョンの近くにあり、
 そこから無尽蔵むじんぞうに湧き出る財宝と、魔物との実戦訓練で培った軍事力をようする世界一の大帝国の帝都だ。

「神界へと続く迷宮」を史上初めて踏破した伝説の冒険者、ギウ=ミューシャ生誕の地でもあるため「冒険者の聖地」とも呼ばれ、冒険者たるもの1度は訪れたい場所とも言われている。
 ボイドは7つある迷宮ダンジョンの中でも1番難易度が低い迷宮ダンジョン、通称「ブートキャンプ」と呼ばれるところへと向かった。



「ようこそヒヨッコ! 歓迎するぜクソヤロウ!」

 迷宮ダンジョンに入るやいなや、明らかに血の気が多そうな男の「声」がボイドの頭の中でこだまする。と同時にゴーレムが2体彼の目の前に現れる。

「こいつらを倒せたらいい物をくれてやってもいいぞ。チャレンジするか?」

「もちろんだとも」



 ボイドはニヤつきつつライトニングボウの射程圏内まで入り、まずは先制攻撃と言わんばかりに雷の力を宿した矢を文字通り「矢継ぎ早に」放つ。
 連射速度が速いだけでなく狙いも正確で、ゴーレムの肩や関節を的確に射抜き片方のゴーレムの右肩を、もう片方の左足のヒザを破壊する。

 人間並みに俊敏しゅんびんな動きをするゴーレムが走ってボイドとの間合いを詰めるが想定通り。彼は慌てずに弓をしまいデスフィランギを構える。
 腕の無い右側に回り込むように立ち回るボイド。剣で胸を突き、あるいは斬って弱点である心臓部を露出させようと思った、その時!



「!!」

 剣がゴーレムの身体を斬った瞬間突然、ガクンと音をたててゴーレムが倒れ、消えた。

「!? 何だ!?」

「ボイド、お前ひょっとしてその剣、デスフィランギか?」

「え……? 何でそれを知ってるんだ?」

「やっぱりか。即死効果が発動したんだろう。運が良いなお前」

 そう言えば露店のオヤジが「相手の息の根を止める効果がある」とか言ってたな。というのをボイドは思い出した。



「まぁいい。ラッキーボーイ……と言いたいとこだが弓の腕はなかなかあるな。そんなお前に敬意を表してこれをやろう」

 迷宮ダンジョンがそう言うと宝箱が2つ出てきた。開けてみると片方には星が付いたいかにも魔法使いが持ってそうなロッド、
 もう片方には見たことも無い文字が刻まれ狼の横顔が彫り込まれた腕輪が入っていた。

「へぇ、2つもくれるのか。大盤振る舞いだな」

「まぁ正直お前のレベルでは泣き言でも言い出すのかと思ってタカをくくってたんだがちゃんと活躍したんでな。オマケつきだ、持っていけ」

 言われるがままお宝を手に帰路についた。



 帝都に戻ったボイドはホコリ一つない小綺麗こぎれいでいかにも「初級冒険者お断り」なたたずまいの鑑定屋に持ち込んだ。
 店員は明らかに仕立てのいい制服に身を包んでおり、ボイドにとっては少々落ち着かない場所だった。鑑定品を持ち込んでからしばし、結果が来る。

「ボイド様、鑑定結果が出ました。星のついたロッドは「シューティングスター」で腕輪は「フェンリルリング」です」

「「シューティングスター」に「フェンリルリング」か。どういう物か分かりますか?」

「2つとも魔力による遠距離攻撃が出来る武器で、性能面や希少性ではフェンリルリングの方が上です。両者ともこの辺りではそれなりに出回る物ですね」

「そうですか。ではシューティングスターとこのライトニングボウを売却でフェンリルリングを買い取りたいんですが大丈夫でしょうか?」

「かしこまりました。ではライトニングボウの査定に入らせていただきますのでお預かりしてもよろしいでしょうか?」

 ボイドは愛用の弓であるライトニングボウを名残惜しそうに手放した。更に待つこと少し……。



「ボイド様、お待たせいたしました。査定結果が出ました。買取額と売却額を差し引きした結果、この額になりますがよろしいでしょうか?」

「わかった。それで行きましょう」

 査定の結果、シューティングスターとライトニングボウの売却額はボイドに対して「おつり」が十分出る位の値段になったので、ボイドは書類にサインして取引を成立させた。
 早速レア物を掘り出して上々の出だし。やっぱり帝都ギールに来てよかったなとボイドは思った。



【次回予告】

世界最難関の迷宮ダンジョン「神界へと続く迷宮」へと挑むボイド。その結果は……?

第6話 「神界へと続く迷宮」
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