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無能ジョブ「宝石使い」が実は最強ジョブでした ~強くてかわいい宝石娘に囲まれて幸せです~
第5話 ドラゴン殺し
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「!? 何だあれは!?」
ドラゴンの巣をあさり、帰路に就く僕たちの後ろから空から巨大な何かが近づいてくる……それは、ドラゴンだった。
2階建ての家くらいの大きさの、紫色の鱗を持つ大きなものだ……おそらく巣の主だろう。
そいつが空から僕に向かって火球を放ってくる! が、ダイヤモンドが持っていた盾でそれを受け止める。僕も彼女もかすり傷一つ負わなかった。
「マスター、私のそばから離れないでください。ここは私たちが仕留めます」
着地して襲い掛かってくるドラゴン相手に宝石娘たちはみな冷静で、恐怖はこれっぽちも無かった。サファイア、ルビー、エメラルドの3人が前に出てドラゴンと対峙する。
3人の中では後方にいたエメラルドが杖を振ると先端から緑色の光が一直線に飛び、相手の身体に穴があく。そこから鮮血が噴き出た
次いでサファイアが短剣で突くととても短剣で出来た傷とは思えない、杭でも打ち込まれたような大穴が開く。ここからも鮮血が噴き出た。
さらにルビーが槍で腹を突くとまるでくだものナイフで熟した桃を切り裂くように深々とした傷を負わせた。
「キシャアアアア!」
自分にここまで深い傷を負わせることができる存在に驚くが、ドラゴンとしてのプライドでもあるのか相手は一向に引かない。
竜は僕目がけて火球を放つ! が、1発目と同様ダイヤモンドの盾ではじかれる。
「大丈夫か!?」
「この程度でしたら準備運動ってところですかね」
火球を2発も弾いた彼女に僕は心配そうに声をかけるが、彼女の口調から虚勢で無いのは分かる。本当に「大したこと」では無いのだろう。
「グゴゴゴゴ……!」
火球がダメならとドラゴンは地を歩きながら僕ら目がけて突っ込んで来て爪で切り裂こうとする!
が、ダイヤモンドの剣で右手が根元からきれいな断面を残して切断された。斬れたものがぼとり、と地面に落ちた。
「ギャウウウン!」
ドラゴンはそこで初めて悲鳴を上げた。その巨体に対してずいぶんと情けない声であった。
バッサ、バッサ。
ドラゴンが翼を広げて飛び立とうとする。とりあえず今回は逃げ出すつもりだろう。
「逃げられると思ってるの?」
「逃がすか!」
エメラルドが杖を振るい緑色の光線を何本も発射し、ルビーも槍を振って紅い刃を放つ。2人の攻撃の狙いは翼、それも特に根元を狙ったものだ。
彼女らの攻撃のうち1つが思惑通り根元を直撃してドラゴンの身体から翼を斬り放した!
片方の翼を失ったドラゴンは飛び去る事も出来ずに不格好な姿勢でズズーン、と音を立てて地面に落下した。
「今だ!」
サファイアとルビーは地面に落下して胸をむき出しの状態になったドラゴンの心臓目がけて突く。血が噴水のように吹き出した。
「グァ……ガ……」
急所をやられたのだろう、ドラゴンは息絶えた。
「おお! 何て事だ! あのドラゴンを倒すとは!」
騒ぎを聞きつけてやってきたのか近くの町の人数名が感嘆の声を上げる。
「えっと……倒してはいけない相手でした? このあたりでは神として崇拝されていたりしますか?」
「いやむしろ逆だ。時々町を襲っては食料やカネを奪っていったんだ。並の冒険者ではどうしようもなくて困り果てていたんだ。待ってくれ! 人を呼んで解体作業をさせてくれないか?」
「構いませんが、その前に町長のような町の責任者と話がしたいですね。取引をするのなら正式な書類が残る取引をしたいので」
「分かった。すぐに呼んでくるから待っててくれ」
しばらくして……ダイヤモンドの要求通り町長らしき男が現場にやってきて彼女と交渉を始めた。
「な、なぁ。僕らはドラゴンの財宝で十分儲けてるからこれ以上カネをとるのもどうかと思うけど……」
「価値のある物の取引には対価をもらうのが当然です。ドラゴンの死体をタダで譲るとなると私たちがドラゴンを倒した活躍の価値が『無料』になりますけどそれでよろしいでしょうか?」
「う……。わかった、わかったよ。交渉を続けてくれ」
その後交渉が無事にまとまり、ドラゴンの死体が正式に僕らの物から町の物になると、待機していた街の住人たちの大八車が一斉にドラゴンの死体に群がった。
普段は豚や牛を解体しているであろう人々がドラゴンを相手に善戦していると言えるくらいには手際よく解体作業を行っていた。
「それにしても、ドラゴンって解体したら何に使うんですか?」
「ドラゴンに捨てるところなんてないよ。牙や爪、角は武器に、皮や鱗は防具になるし、骨はどっちにもなる。
肉は内臓含めて全ての部位が高級食材だし、血も長寿の秘薬になるから『使えないのは鳴き声だけ』って言われてるよ」
「は、はぁ……」
僕は都会育ちだったため動物の解体なんて肉屋のパフォーマンスぐらいしか見たことが無かったため、新鮮に見えた。
その日、僕らは町を苦しめていたドラゴンを倒した救世主として迎えられ、盛大な宴が行われた。
豪勢な宴会で食欲を満たした後、宝石娘たちを抱いて何もかもが満たされた至福の時だった。
【次回予告】
その王は、嘘だけはどうしても許せなかった。国宝であるダイヤモンドを無くしたことよりも、嘘をつかれた方が何倍も、何十倍も憎かった。
第6話 「嘘の後始末」
ドラゴンの巣をあさり、帰路に就く僕たちの後ろから空から巨大な何かが近づいてくる……それは、ドラゴンだった。
2階建ての家くらいの大きさの、紫色の鱗を持つ大きなものだ……おそらく巣の主だろう。
そいつが空から僕に向かって火球を放ってくる! が、ダイヤモンドが持っていた盾でそれを受け止める。僕も彼女もかすり傷一つ負わなかった。
「マスター、私のそばから離れないでください。ここは私たちが仕留めます」
着地して襲い掛かってくるドラゴン相手に宝石娘たちはみな冷静で、恐怖はこれっぽちも無かった。サファイア、ルビー、エメラルドの3人が前に出てドラゴンと対峙する。
3人の中では後方にいたエメラルドが杖を振ると先端から緑色の光が一直線に飛び、相手の身体に穴があく。そこから鮮血が噴き出た
次いでサファイアが短剣で突くととても短剣で出来た傷とは思えない、杭でも打ち込まれたような大穴が開く。ここからも鮮血が噴き出た。
さらにルビーが槍で腹を突くとまるでくだものナイフで熟した桃を切り裂くように深々とした傷を負わせた。
「キシャアアアア!」
自分にここまで深い傷を負わせることができる存在に驚くが、ドラゴンとしてのプライドでもあるのか相手は一向に引かない。
竜は僕目がけて火球を放つ! が、1発目と同様ダイヤモンドの盾ではじかれる。
「大丈夫か!?」
「この程度でしたら準備運動ってところですかね」
火球を2発も弾いた彼女に僕は心配そうに声をかけるが、彼女の口調から虚勢で無いのは分かる。本当に「大したこと」では無いのだろう。
「グゴゴゴゴ……!」
火球がダメならとドラゴンは地を歩きながら僕ら目がけて突っ込んで来て爪で切り裂こうとする!
が、ダイヤモンドの剣で右手が根元からきれいな断面を残して切断された。斬れたものがぼとり、と地面に落ちた。
「ギャウウウン!」
ドラゴンはそこで初めて悲鳴を上げた。その巨体に対してずいぶんと情けない声であった。
バッサ、バッサ。
ドラゴンが翼を広げて飛び立とうとする。とりあえず今回は逃げ出すつもりだろう。
「逃げられると思ってるの?」
「逃がすか!」
エメラルドが杖を振るい緑色の光線を何本も発射し、ルビーも槍を振って紅い刃を放つ。2人の攻撃の狙いは翼、それも特に根元を狙ったものだ。
彼女らの攻撃のうち1つが思惑通り根元を直撃してドラゴンの身体から翼を斬り放した!
片方の翼を失ったドラゴンは飛び去る事も出来ずに不格好な姿勢でズズーン、と音を立てて地面に落下した。
「今だ!」
サファイアとルビーは地面に落下して胸をむき出しの状態になったドラゴンの心臓目がけて突く。血が噴水のように吹き出した。
「グァ……ガ……」
急所をやられたのだろう、ドラゴンは息絶えた。
「おお! 何て事だ! あのドラゴンを倒すとは!」
騒ぎを聞きつけてやってきたのか近くの町の人数名が感嘆の声を上げる。
「えっと……倒してはいけない相手でした? このあたりでは神として崇拝されていたりしますか?」
「いやむしろ逆だ。時々町を襲っては食料やカネを奪っていったんだ。並の冒険者ではどうしようもなくて困り果てていたんだ。待ってくれ! 人を呼んで解体作業をさせてくれないか?」
「構いませんが、その前に町長のような町の責任者と話がしたいですね。取引をするのなら正式な書類が残る取引をしたいので」
「分かった。すぐに呼んでくるから待っててくれ」
しばらくして……ダイヤモンドの要求通り町長らしき男が現場にやってきて彼女と交渉を始めた。
「な、なぁ。僕らはドラゴンの財宝で十分儲けてるからこれ以上カネをとるのもどうかと思うけど……」
「価値のある物の取引には対価をもらうのが当然です。ドラゴンの死体をタダで譲るとなると私たちがドラゴンを倒した活躍の価値が『無料』になりますけどそれでよろしいでしょうか?」
「う……。わかった、わかったよ。交渉を続けてくれ」
その後交渉が無事にまとまり、ドラゴンの死体が正式に僕らの物から町の物になると、待機していた街の住人たちの大八車が一斉にドラゴンの死体に群がった。
普段は豚や牛を解体しているであろう人々がドラゴンを相手に善戦していると言えるくらいには手際よく解体作業を行っていた。
「それにしても、ドラゴンって解体したら何に使うんですか?」
「ドラゴンに捨てるところなんてないよ。牙や爪、角は武器に、皮や鱗は防具になるし、骨はどっちにもなる。
肉は内臓含めて全ての部位が高級食材だし、血も長寿の秘薬になるから『使えないのは鳴き声だけ』って言われてるよ」
「は、はぁ……」
僕は都会育ちだったため動物の解体なんて肉屋のパフォーマンスぐらいしか見たことが無かったため、新鮮に見えた。
その日、僕らは町を苦しめていたドラゴンを倒した救世主として迎えられ、盛大な宴が行われた。
豪勢な宴会で食欲を満たした後、宝石娘たちを抱いて何もかもが満たされた至福の時だった。
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