32 / 67
無能ジョブ「宝石使い」が実は最強ジョブでした ~強くてかわいい宝石娘に囲まれて幸せです~
第6話 嘘の後始末
しおりを挟む
国王の使いはギルドから話を聞いていたのだが、勇者の言ったことと矛盾が生じている。
「何? シュムックは死んだだと?」
「ええ。先日彼らがハッキリと彼は死んだと告げに来たんです」
勇者は「シュムックにダイヤモンドを盗まれた」と話していたがその盗人は死んだということになっている。どういう事だろう?
「おかしい。シュムックは死んだことになってるぞ」
「死人が盗むとは考えられんな……どうする? 閣下に報告するか?」
「正直に報告するしかないだろ。あのお方の事だ、下手に嘘をついたらギロチン台か絞首台の2択だぜ?」
2人は報告のために城へと向かった。
「何? シュムックは死んだことになってる、だと?」
「はい。ギルドによると既に死亡による登録抹消手続きを完了しているとのことです」
「ふーむ……ギルドが虚偽申告する理由はなさそうだな。まぁいい、分かった。下がっていいぞ」
部下を下がらせた後、王はある結論に行き着く。
「アルヌルフの奴め、まさか嘘を?」
嘘をついているとは思いたくない。だがシュムックにダイヤを盗まれたという話では矛盾する。パーティリーダーであるアルヌルフが嘘をついている、というのなら全てつじつまが合う。
一方そのころ、勇者アルヌルフのパーティが問題のダンジョンの問題の階までたどり着くと、胴体を真っ二つにされた腐りかけのミノタウロスの死体が転がっていた。
「な、なんだこりゃ!? ミノタウロスを殺しただと!?」
「シュムックがやったのか……?」
「バカヤロウ! 宝石使いなんかにこんな事出来るわけねえだろ! 他の冒険者がやったに決まってる!」
「えー? でもこの辺りで俺たち以外にS級やA級の冒険者パーティなんていたっけ? ここはランク制限されてて少なくてもA級以上のパーティがギルドの許可を得ないと入れないのに」
「そんな事どうでもいいだろ! 早く探せ!」
勇者たちは無くしたダイヤモンドを探しだす。が、当然無い。
「やっぱりないや。ミノタウロスの奴が自分の巣に持ち帰ったんじゃないのか?」
「バカ言え! あの脳ミソ筋肉の単細胞に宝石の価値なんて分かるかよ! 探せ探せ!」
勇者アルヌルフはパーティメンバーに向かって発破をかけるがこの日、結局ダイヤは見つからなかった。
重い足取りで町に帰った時には昼から夕方に変わってくる頃、ギルドで他のA級やS級冒険者が問題のダンジョンに潜ったかどうか調べていたところ、受付嬢に呼び止められる。
「アルヌルフさんですね。国王陛下が「話したいことがあるので至急城まで来るように」という呼び出しがかかっております」
「……」
……もしや、嘘がばれたのでは? 国外退去しようにも既に指名手配されているだろう。逃げ道は無かった。
その日の夜、勇者アルヌルフ一行は処刑場に向かう死刑囚のような顔をしつつ城へとやってきた。
「アルヌルフ、お前はシュムックにダイヤを盗まれたと言ったが彼は死んだことになってるんだ。どういう事だ?」
「そ、それは……嘘をつきました。本当はうっかり無くしてしまったんです」
彼は観念して嘘をついたことを認めた。
「アルヌルフ! お前、嘘をついたんだな!! 「幸運のダイヤモンドを無くした」となぜ正直に言わないんだ!?」
「だってしょうがないじゃないですか! あれをうっかり無くしたなんてとてもじゃないですけど言えませんって!」
「オレは幸運のダイヤモンドを無くしたことを怒っているんじゃないぞ! お前が嘘をついた事に対して怒っているんだぞ!?
オレが嘘をつかれることが何よりも嫌いだというのは分かっているだろうな!?」
「も、申し訳ありません! 申し訳ありません! どうか命だけは……!」
勇者一行はただひたすらに平謝りだ。
「アルヌルフよ。我が娘はお前の事を好いているから命を取る事だけは勘弁してやる。だが今後は資金や物資の援助は一切無いと思え!」
「え、援助を!? それだけは……」
「それともアレか!? ギロチン台か絞首台、どっちがいいんだ!? 特別に選ばせてやる!」
「申し訳ありません! どうか命だけは……!」
「もういい! 下がれ! お前みたいな嘘つきは顔も見たくない! 2度とオレの前にそのツラを見せるな!」
王は終始不機嫌な様子で追い出すように勇者一行を下がらせた。
【次回予告】
ドラゴンすら屠る宝石娘たち。あとはマスターに爵位を与えれば自分たちもマスターも安泰である。その最後の1ピースが来ようとしていた。
第7話 「滅ぶはずだった国」
「何? シュムックは死んだだと?」
「ええ。先日彼らがハッキリと彼は死んだと告げに来たんです」
勇者は「シュムックにダイヤモンドを盗まれた」と話していたがその盗人は死んだということになっている。どういう事だろう?
「おかしい。シュムックは死んだことになってるぞ」
「死人が盗むとは考えられんな……どうする? 閣下に報告するか?」
「正直に報告するしかないだろ。あのお方の事だ、下手に嘘をついたらギロチン台か絞首台の2択だぜ?」
2人は報告のために城へと向かった。
「何? シュムックは死んだことになってる、だと?」
「はい。ギルドによると既に死亡による登録抹消手続きを完了しているとのことです」
「ふーむ……ギルドが虚偽申告する理由はなさそうだな。まぁいい、分かった。下がっていいぞ」
部下を下がらせた後、王はある結論に行き着く。
「アルヌルフの奴め、まさか嘘を?」
嘘をついているとは思いたくない。だがシュムックにダイヤを盗まれたという話では矛盾する。パーティリーダーであるアルヌルフが嘘をついている、というのなら全てつじつまが合う。
一方そのころ、勇者アルヌルフのパーティが問題のダンジョンの問題の階までたどり着くと、胴体を真っ二つにされた腐りかけのミノタウロスの死体が転がっていた。
「な、なんだこりゃ!? ミノタウロスを殺しただと!?」
「シュムックがやったのか……?」
「バカヤロウ! 宝石使いなんかにこんな事出来るわけねえだろ! 他の冒険者がやったに決まってる!」
「えー? でもこの辺りで俺たち以外にS級やA級の冒険者パーティなんていたっけ? ここはランク制限されてて少なくてもA級以上のパーティがギルドの許可を得ないと入れないのに」
「そんな事どうでもいいだろ! 早く探せ!」
勇者たちは無くしたダイヤモンドを探しだす。が、当然無い。
「やっぱりないや。ミノタウロスの奴が自分の巣に持ち帰ったんじゃないのか?」
「バカ言え! あの脳ミソ筋肉の単細胞に宝石の価値なんて分かるかよ! 探せ探せ!」
勇者アルヌルフはパーティメンバーに向かって発破をかけるがこの日、結局ダイヤは見つからなかった。
重い足取りで町に帰った時には昼から夕方に変わってくる頃、ギルドで他のA級やS級冒険者が問題のダンジョンに潜ったかどうか調べていたところ、受付嬢に呼び止められる。
「アルヌルフさんですね。国王陛下が「話したいことがあるので至急城まで来るように」という呼び出しがかかっております」
「……」
……もしや、嘘がばれたのでは? 国外退去しようにも既に指名手配されているだろう。逃げ道は無かった。
その日の夜、勇者アルヌルフ一行は処刑場に向かう死刑囚のような顔をしつつ城へとやってきた。
「アルヌルフ、お前はシュムックにダイヤを盗まれたと言ったが彼は死んだことになってるんだ。どういう事だ?」
「そ、それは……嘘をつきました。本当はうっかり無くしてしまったんです」
彼は観念して嘘をついたことを認めた。
「アルヌルフ! お前、嘘をついたんだな!! 「幸運のダイヤモンドを無くした」となぜ正直に言わないんだ!?」
「だってしょうがないじゃないですか! あれをうっかり無くしたなんてとてもじゃないですけど言えませんって!」
「オレは幸運のダイヤモンドを無くしたことを怒っているんじゃないぞ! お前が嘘をついた事に対して怒っているんだぞ!?
オレが嘘をつかれることが何よりも嫌いだというのは分かっているだろうな!?」
「も、申し訳ありません! 申し訳ありません! どうか命だけは……!」
勇者一行はただひたすらに平謝りだ。
「アルヌルフよ。我が娘はお前の事を好いているから命を取る事だけは勘弁してやる。だが今後は資金や物資の援助は一切無いと思え!」
「え、援助を!? それだけは……」
「それともアレか!? ギロチン台か絞首台、どっちがいいんだ!? 特別に選ばせてやる!」
「申し訳ありません! どうか命だけは……!」
「もういい! 下がれ! お前みたいな嘘つきは顔も見たくない! 2度とオレの前にそのツラを見せるな!」
王は終始不機嫌な様子で追い出すように勇者一行を下がらせた。
【次回予告】
ドラゴンすら屠る宝石娘たち。あとはマスターに爵位を与えれば自分たちもマスターも安泰である。その最後の1ピースが来ようとしていた。
第7話 「滅ぶはずだった国」
0
あなたにおすすめの小説
ちゃんと忠告をしましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。
アゼット様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。
家族の肖像~父親だからって、家族になれるわけではないの!
みっちぇる。
ファンタジー
クランベール男爵家の令嬢リコリスは、実家の経営手腕を欲した国の思惑により、名門ながら困窮するベルデ伯爵家の跡取りキールと政略結婚をする。しかし、キールは外面こそ良いものの、実家が男爵家の支援を受けていることを「恥」と断じ、リコリスを軽んじて愛人と遊び歩く不実な男だった 。
リコリスが命がけで双子のユフィーナとジストを出産した際も、キールは朝帰りをする始末。絶望的な夫婦関係の中で、リコリスは「天使」のように愛らしい我が子たちこそが自分の真の家族であると決意し、育児に没頭する 。
子どもたちが生後六か月を迎え、健やかな成長を祈る「祈健会」が開かれることになった。リコリスは、キールから「男爵家との結婚を恥じている」と聞かされていた義両親の来訪に胃を痛めるが、実際に会ったベルデ伯爵夫妻は―?
置き去りにされた転生シンママはご落胤を秘かに育てるも、モトサヤはご容赦のほどを
青の雀
恋愛
シンママから玉の輿婚へ
学生時代から付き合っていた王太子のレオンハルト・バルセロナ殿下に、ある日突然、旅先で置き去りにされてしまう。
お忍び旅行で来ていたので、誰も二人の居場所を知らなく、両親のどちらかが亡くなった時にしか発動しないはずの「血の呪縛」魔法を使われた。
お腹には、殿下との子供を宿しているというのに、政略結婚をするため、バレンシア・セレナーデ公爵令嬢が邪魔になったという理由だけで、あっけなく捨てられてしまったのだ。
レオンハルトは当初、バレンシアを置き去りにする意図はなく、すぐに戻ってくるつもりでいた。
でも、王都に戻ったレオンハルトは、そのまま結婚式を挙げさせられることになる。
お相手は隣国の王女アレキサンドラ。
アレキサンドラとレオンハルトは、形式の上だけの夫婦となるが、レオンハルトには心の妻であるバレンシアがいるので、指1本アレキサンドラに触れることはない。
バレンシアガ置き去りにされて、2年が経った頃、白い結婚に不満をあらわにしたアレキサンドラは、ついに、バレンシアとその王子の存在に気付き、ご落胤である王子を手に入れようと画策するが、どれも失敗に終わってしまう。
バレンシアは、前世、京都の餅菓子屋の一人娘として、シンママをしながら子供を育てた経験があり、今世もパティシエとしての腕を生かし、パンに製菓を売り歩く行商になり、王子を育てていく。
せっかくなので、家庭でできる餅菓子レシピを載せることにしました
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
- - - - - - - - - - - - -
ただいま後日談の加筆を計画中です。
2025/06/22
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる