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雨男と砂漠の国 ~超雨男が国から追い出されたけど砂漠の民に拾われて破格の待遇でもてなされる。追い出した祖国は干ばつに苦しんでるけどそんなの知
第1話 雨男追い出される
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ソル王国と呼ばれるとある王国の朝……いつも通りの曇り空の下、今日も昨日と変わらない1日が始まろうとしていた。だがその日は彼にとってはいつもとは違っていた。
「ピオッジャ=コレルリ、ただいま参りました。閣下直々のご命令とは何事でしょうか?」
ソル王国の淡い青色の髪をした外交官、ピオッジャ=コレルリが黄金色の目と髪をしたソル王国の王、セレーノに呼ばれやってきた。その内容とは……。
「ピオッジャ=コレルリ……本日をもってお前の外交官としての任を解くと同時に、国外追放処分を科す!」
任を解く……つまりは、クビだ。おまけに国外への追放処分……一体どういう事だ!? ピオッジャには意味が全く分からなかった。
「セレーノ閣下! 私は18歳の頃から外交官として10年、この国のために仕えてきました! それを何の落ち度もなくなぜそのような仕打ちを!?」
「ふーむ、いいだろう。じゃあ教えてやろう! なぜおまえを追放するのかをな!」
王、セレーノは統計がかかれた羊皮紙をピオッジャ目がけて突き出す。そこには天候に関する記録と、ピオッジャの活動記録が書かれていた。
「ここ10年ほどの統計をとったら王都が晴れたのはお前が外交のために国を離れた時だけだ! それ以外は全部曇りか雨! それにお前が他国に寄った地域の天気は必ず雨になる! 全部お前のせいだ!」
「!! この曇りや雨は私のせいだと言いたいんですか!? バカバカしいですよ! そんな話! そんな理由で私を追放するんですか!?」
「じゃあ聞くがピオッジャ、お前は太陽を見たことがあるか? 雲のスキマから見えるなんてものじゃなくて、光輝く太陽を見たことがあるのか!?」
「話で聞いたことはありますが……」
「それ見ろやっぱりだ! お前は30年近く生きてるくせに太陽を見たことが無いんだろ!? それがお前のせいで雨が降る最大の理由だ。
30近くにもなって太陽を見たことがないなんて言えるのは雨男であるお前にしか言えない事だ!
みんな迷惑してるんだよ! 雨雲を呼ぶお前の事に! お前さえいなければ子供たちは外で遊べるし、母親たちは洗濯ができる! それに「雨都」という不名誉な名前も返上できる! お前さえいなくなればな」
ピオッジャが仕える国、ソル王国の首都はここ30年ほど雨や曇りの日々が続いていて太陽は滅多に顔を出さない。そのため最近は「雨都」とあだ名で呼ばれるほどだ。
おかげで水には不自由しないが多すぎる雨に国民は嫌な顔をしているのは事実だ。国民はここ十数年洗濯物を外で干したことがない。とも言われている。
「セレーノ閣下、私から最後のご注進です。我々家臣は王の影であり、王が望むままに形を変えます。王が暴君なら家臣もそうなり、王が配下を思いやるなら忠臣になります。
私を追放するというセレーノ閣下のご決断、曲げるつもりはないのですか?」
「無いね、そんなの。これっぽちもだ。これはもう決定事項なんだ。お前は要らねえんだよ! 手切れ金を渡すからこの国から出ていけ!」
「……ハァ」
ピオッジャは上司であるセレーノ王の判断に深い深いため息をついた。これ以上は何を話しても無駄だと悟り、退職金という名の手切れ金を受け取って城を後にした。
ピオッジャが「雨都」を離れてしばし……雨がやみ、雲が晴れ久しぶりに太陽が顔をのぞかせた。
「ホラ見ろ! 晴れたじゃないか! 久しぶりの青空だ!」
久しぶりの太陽に国民たちは心を躍らせていた。
ソル王国第6代国王セレーノ。彼は後の世「ひでり王セレーノ」と呼ばれ、ソル王国の建国以来最悪の暗君として国の歴史にその名が残ってしまうことになるのだが、この時の彼はそれを知らない。
【次回予告】
ソル王国を国外退去処分で追い出されたピオッジャ。彼の事を「国王よりも重要な人物」と位置付ける集団がいた。
彼らはピオッジャがソル王国を離れたところを狙って接触する。
第2話 「捨てる神あれば拾う神あり」
「ピオッジャ=コレルリ、ただいま参りました。閣下直々のご命令とは何事でしょうか?」
ソル王国の淡い青色の髪をした外交官、ピオッジャ=コレルリが黄金色の目と髪をしたソル王国の王、セレーノに呼ばれやってきた。その内容とは……。
「ピオッジャ=コレルリ……本日をもってお前の外交官としての任を解くと同時に、国外追放処分を科す!」
任を解く……つまりは、クビだ。おまけに国外への追放処分……一体どういう事だ!? ピオッジャには意味が全く分からなかった。
「セレーノ閣下! 私は18歳の頃から外交官として10年、この国のために仕えてきました! それを何の落ち度もなくなぜそのような仕打ちを!?」
「ふーむ、いいだろう。じゃあ教えてやろう! なぜおまえを追放するのかをな!」
王、セレーノは統計がかかれた羊皮紙をピオッジャ目がけて突き出す。そこには天候に関する記録と、ピオッジャの活動記録が書かれていた。
「ここ10年ほどの統計をとったら王都が晴れたのはお前が外交のために国を離れた時だけだ! それ以外は全部曇りか雨! それにお前が他国に寄った地域の天気は必ず雨になる! 全部お前のせいだ!」
「!! この曇りや雨は私のせいだと言いたいんですか!? バカバカしいですよ! そんな話! そんな理由で私を追放するんですか!?」
「じゃあ聞くがピオッジャ、お前は太陽を見たことがあるか? 雲のスキマから見えるなんてものじゃなくて、光輝く太陽を見たことがあるのか!?」
「話で聞いたことはありますが……」
「それ見ろやっぱりだ! お前は30年近く生きてるくせに太陽を見たことが無いんだろ!? それがお前のせいで雨が降る最大の理由だ。
30近くにもなって太陽を見たことがないなんて言えるのは雨男であるお前にしか言えない事だ!
みんな迷惑してるんだよ! 雨雲を呼ぶお前の事に! お前さえいなければ子供たちは外で遊べるし、母親たちは洗濯ができる! それに「雨都」という不名誉な名前も返上できる! お前さえいなくなればな」
ピオッジャが仕える国、ソル王国の首都はここ30年ほど雨や曇りの日々が続いていて太陽は滅多に顔を出さない。そのため最近は「雨都」とあだ名で呼ばれるほどだ。
おかげで水には不自由しないが多すぎる雨に国民は嫌な顔をしているのは事実だ。国民はここ十数年洗濯物を外で干したことがない。とも言われている。
「セレーノ閣下、私から最後のご注進です。我々家臣は王の影であり、王が望むままに形を変えます。王が暴君なら家臣もそうなり、王が配下を思いやるなら忠臣になります。
私を追放するというセレーノ閣下のご決断、曲げるつもりはないのですか?」
「無いね、そんなの。これっぽちもだ。これはもう決定事項なんだ。お前は要らねえんだよ! 手切れ金を渡すからこの国から出ていけ!」
「……ハァ」
ピオッジャは上司であるセレーノ王の判断に深い深いため息をついた。これ以上は何を話しても無駄だと悟り、退職金という名の手切れ金を受け取って城を後にした。
ピオッジャが「雨都」を離れてしばし……雨がやみ、雲が晴れ久しぶりに太陽が顔をのぞかせた。
「ホラ見ろ! 晴れたじゃないか! 久しぶりの青空だ!」
久しぶりの太陽に国民たちは心を躍らせていた。
ソル王国第6代国王セレーノ。彼は後の世「ひでり王セレーノ」と呼ばれ、ソル王国の建国以来最悪の暗君として国の歴史にその名が残ってしまうことになるのだが、この時の彼はそれを知らない。
【次回予告】
ソル王国を国外退去処分で追い出されたピオッジャ。彼の事を「国王よりも重要な人物」と位置付ける集団がいた。
彼らはピオッジャがソル王国を離れたところを狙って接触する。
第2話 「捨てる神あれば拾う神あり」
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