追放→ざまぁwww こんぴれーしょんぱっく ~追放もの短編集めました~

あがつま ゆい

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雨男と砂漠の国 ~超雨男が国から追い出されたけど砂漠の民に拾われて破格の待遇でもてなされる。追い出した祖国は干ばつに苦しんでるけどそんなの知

第3話 雨男、砂漠の国の王と謁見す

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 雨の中ぬかるむ道を馬車に乗って旅すること1日。そこから船に乗り換え、さらに2日。ピオッジャを連れたデラッザ王国の使いの者たちは祖国の王都最寄りの港までやってきた。

「珍しいな。曇りだなんて」

 港町につくなり彼らを迎えたのは、砂漠地帯においては非常に珍しい曇り空という天気だった。慣れない天候に街の住人は困惑気味だった。

「ピオッジャ様、少しお待ちいただけますかな?」

 使いの者たちは彼を少しだけ待たせる。その間に国王と魔法による連絡を行う。



「陛下。ご連絡をいたしま……」

「ご苦労だった。ピオッジャを見つけ出してくれたそうだな。大義であったぞ」

「!? え!? 陛下! なぜそれをご存じで!?」

「空を見ればそれくらいわかるさ。2年ぶりの曇りだからな」

 空には1年中ギラギラと輝く太陽が死の光を大地に浴びせるこの砂漠の国デラッザにおいては晴れ以外の天気は年に1度あるかないかの珍しい出来事だ。
 太陽が黒い雨雲に覆われる事を見て王はピオッジャが国に来たのを確信したという。



「で、今はどこだ?」

「カイメンにいます。これから王都まで1時間ほどかけて向かう予定です」

「分かった。まず大丈夫だとは思うがトラブルの無い良い旅路になることを祈っているよ」

「もったいないお言葉、ありがとうございます」



 連絡を終え、使いがピオッジャの元へとやってきた。

「お待たせしました。国王陛下の元へと向かいましょう」

 一行はラクダの背に乗り、舗装された道をたどって国王のいる首都へと旅立った。



「ふぅ。今度はデラッザ国王との謁見えっけんか。なかなか忙しいものだな」

 ラクダの背に揺られて1時間ほど。特に問題も無く一行は王都にたどり着き、ピオッジャはデラッザ国王と謁見えっけんすることになり、控室で準備をしていた。

「元外交官と言えど、やはり陛下との謁見えっけんには緊張しますかな?」

「そりゃそうですよ。外交官というのは国王の代理とでも言うべき重要な立場ですから、無礼の無いように細心の注意を払う物ですよ」

 そう言って彼は鏡の前で身だしなみの最終チェックをする。10年続いた外交官としての仕事で身についたものだ。

「……よし。行きましょうか!」

 準備を終え、ピオッジャはついにデラッザ国王と顔を合わせることになった。



 王の間の玉座にいたのは質実剛健しつじつごうけんを字で行く、いかにも物理的にも政治的にも豪腕を振るいそうな見た目の大男だった。

「ピオッジャ殿。まずは長い旅路を終えてここまで無事にたどり着いたこと、まことにご苦労であった」

「もったいないお言葉、まことにありがとうございます。ピオッジャ=コレルリ、ただいま参りました。デラッザ国王陛下直々にご指名とありますが此度はいかがな御用でしょうか?」

「単刀直入に言おう。君の事を「彼のいるところに太陽無し」と言われるほどの雨男だと見込んで話がある。その体質の秘密をぜひともわが国で解析させてもらいたいんだ。
 なぁに、ちょっと器具で君の魔力を測定するだけだ。傷をつけるマネはさせないから安心したまえ」



 砂漠の国デラッザ。その国では魔法研究が世界で最も盛んだった。
 薪一つ無くても火で調理する魔法。死を運ぶ太陽の日差しに倒れた人の命を救うための冷気魔法に風魔法。そして砂の海で命を落とし不死者アンデッドとなった旅人の成れの果てと戦う魔法。

 命を育むには最も適さない過酷な砂漠で生活するには魔法は1日たりとも欠かせないものだ。
 それ故高度な魔法を使えるものは身分関係なく大きく出世でき、また民の間でも他国以上に高度な魔法が幅広く普及していた。



「は、はぁそうですか」

 ……バカバカしい。ピオッジャは内心そう思っていた。
 ソル王国のセレーノ王も歯に衣着せぬはにきぬきせぬ言い方をすれば、10年間国のために仕え特に国の名誉を汚すような真似はしてこなかった自分を追放するという愚行に出る王だ。

 そんなバカな王と同じことを言い出すとは……砂漠の国デラッザも大したことないな。それに外交官から研究材料への格下げか、俺もずいぶんと落ちたものだな。とも思った。
 もちろんそれを表情や態度で表に出すことはしない。外交官としてはそれくらいできて当然の事だった。

「もちろんタダ働きさせるわけではない。形としては我が国の研究所の臨時職員として採用し、給料は……そうだな、月に50000サールは出そう」

「!? ご、50000サールも出すのですか!?」

「ああそうだ。1人身が生きていく上ではまず困らん額だろ?」

 確かデラッザ王国における50000サールと言えば、父母にその祖父母に親戚しんせき2人、さらに子供4人の大人6人子供4人の10人家族であっても1ヶ月は寝食に困らない大金だ。
 彼が言う通り、1人身にとっては生きていくにはまず困らない額だ。



「……なにゆえ50000サールという大金を出してまで私を引き込もうとするのですか?」

「それだけの価値が君にはあると思っての事だ。で、どうする?」

「……わかりました。それでいきましょう。言っておきますが酷い真似をしたら国王と言えどタダでは済まないと思ってくださいよ?」

「安心したまえ。元外交官なら世界各地にコネの1つや2つはあるだろ? それを敵に回す愚かなマネはしないさ」

 ピオッジャは10年も外交官として働いていたがゆえに世界各地にコネがある。それを総動員すれば国相手でも無視できない損害を与えることも可能だ。
 相手はそれを承知の上らしいから、下手な真似に出ることはないだろう。これなら警戒レベルを1段階引き下げてもいい、とピオッジャは思った。

 さすがに実験材料というのは少し気に入らないが、高額報酬に釣られてついOKを出してしまったのだ。
 結論から言えばこの判断は大正解だった。彼は破格の待遇で迎え入れられ、さらには王族にまでなるのだから。



【次回予告】

ソル王国の王セレーノがピオッジャを追い出して2週間、快晴に住民は満足していた。
彼が国を出て行って以来ずっと晴れだった……本来のこの頃は雨が多く、それが畑を潤していることに誰も気づいていなかった。

第4話 「晴れの日が続くソル王国」
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