追放→ざまぁwww こんぴれーしょんぱっく ~追放もの短編集めました~

あがつま ゆい

文字の大きさ
53 / 67
雨男と砂漠の国 ~超雨男が国から追い出されたけど砂漠の民に拾われて破格の待遇でもてなされる。追い出した祖国は干ばつに苦しんでるけどそんなの知

第7話 さらに2ヵ月後……

しおりを挟む
 ピオッジャが砂漠の国デラッザに雇われてから、5ヶ月が経った。研究所からの報を受け、デラッザ国王が視察しに来ていた。



「ほほぉ。これが噂の『雨を呼ぶ装置』か。ずいぶんとまぁ大型になったじゃないか」

 研究員からの説明を受けながら、国王はそう声にする。

「とりあえず現在判明した理論をそのまま使っただけのプロトタイプで、小型軽量化及び性能強化はまだまだ先にはなると思いますが、何とか形だけは出来ました」

 完成した「プロトタイプ」である魔導器具はかなりの大型で、空いていた大部屋を埋めるほどの大きさだった。想像していたよりもかなり大掛かりの仕掛けになっていた。



「動かせるか?」

「もちろんですとも。そうでなければ陛下をお呼びすることなんてありませんもの。君、装置を起動してくれ」

 研究所のリーダーが部下にそう指示を出す。言われるがまま彼らが装置を起動してしばらく……。

ゴロゴロゴロ……
ゴロゴロゴロ……

 空が鳴る。雷の音だ。更に待つこと少し。

ポツリ
ポツリ

 水滴が空から降ってきた……雨だ。



「おお! 本当に雨が降ってくるとは!」

 研究の成果に国王は大いに満足する。

「今はピオッジャ殿の協力がないと満足に雨を降らせるものではありませんが、そのうちこれ単体でも雨を降らせるくらいには出力を強化し、また各地域にも普及できるように小型軽量化を施す予定です」

「良くやった! 見事だ! 今日は我が砂漠の国デラッザの歴史に大いなる繁栄をもたらす1ページとなるだろう!」

 その結果に国王は大満足だ。研究グループには破格の報奨金の支給と研究費の大幅な増大がなされたことは言うまでもない。



 それから数日後……

「なぁピオッジャ、話があるんだがいいか?」

 デラッザ国王はピオッジャを呼び止め、王宮内のとある部屋へと招く。他でもない国王直々のお誘い、断るわけにもいかないだろうと思って彼はついていく。
 中にいたのは、顔だちの整った少女。小麦色の健康な肌でエキゾチックな雰囲気が漂うが、身体を飾る金銀や宝石にも負けない麗しい見た目の、胸こそ1人前だが童顔で背も低い少女だった。

「あなたがピオッジャ様ですね」

「ああ、そうだが何か用か?」

「あ、あの。ピオッジャ様、私をもらってくれませんか!?」

「!?」

 少女のあまりにも突飛も無い発言に彼はたじろく。



「ピオッジャ、君は独り身だと聞いている。で、どうなんだ? 俺の娘の出来は?」

「どうって言われましても……」

「まぁそうなるだろうとは思ったよ。家事育児も出来るしベッドテクニックも仕込んでる。悪くない話だろ?
 彼女はサラサと言うんだが小さい頃は身体が弱くて、太陽の日差しを浴びてよく倒れていたんだ。1歩間違えれば命を落としかねない時も1度だがあった。
 その太陽を遮る雨雲を呼ぶお前にはずいぶんと感謝しているそうだぞ」

「私、お父様の言うように昔は身体が弱くて……だから太陽なんて大嫌い。その太陽を隠してくれるピオッジャ様には感謝してるのよ。この国に雨を降らせましたし、民を代表しそのお礼だと思って受け取ってくれませんか?」

「は、はぁ……」



 ピオッジャはそこまでの話を聞いて外交で鍛え抜かれた頭をフル回転させて考える。

 冷静に考えると今の自分の身分は実験材料の域を出ない。考えられうる最悪のケースとしては研究が終われば機密保持のために「廃棄処分」されるかもしれない。
 だが国王の娘をめとれば「王族」になれる。曲がりなりにも「王族」となれば、変に手出しをしたらデラッザ王家が相手だとしても多かれ少なかれ地位を汚すことになる。常識的に考えれば、それは避けるだろう。

「まぁお前の事はそのうち何人かいる俺の娘と結婚させて王族に引き入れようとはしていたんだが、どうせ結婚するなら愛し愛されっていう関係の方がいいだろうと思って声をかけたらサラサが名乗り出たんでな。
 で、どうする? まぁ唐突な事だろうから今この場で即決しろとは言わないがな」

「その心配は不要です。そのお誘い、受けましょう」

「おお! そうか! いやぁ良かった。これからよろしく頼むよ」

「ピオッジャ様、ありがとうございます。良き妻となるべく努めますのでよろしくお願いしますね」

 こうして1ヶ月後に挙式することまで決まったという。



【次回予告】

ひでりが続くソル王国。ようやく自分たちがしでかしたことに気づいた彼らは奪還すべく動き出す。まずは波風が立たないように穏便な措置から。

第8話 「交渉」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

欠席魔の公爵令嬢、冤罪断罪も欠席す 〜メイリーン戦記〜

水戸直樹
ファンタジー
王太子との婚約――それは、彼に恋したからでも、権力のためでもなかった。 魔王乱立の時代。 王も公爵も外征に出ている王都で、公爵令嬢メイリーンは“地味な婚約者”として王城に現れる。 だが、王太子は初顔合わせに現れなかった。 にもかかわらず、記録に残ったのは「公爵令嬢の欠席」。 抗議はしない。 訂正もしない。 ただ一つ、欠席という事実だけを積み上げていく。 ――それが、誰にとっての不合格なのか。 まだ、誰も気づいていない。 欠席から始まる、静かなるファンタジー戦記。

公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌

招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」 毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。 彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。 そして…。

役立たずと追放された聖女は、第二の人生で薬師として静かに輝く

腐ったバナナ
ファンタジー
「お前は役立たずだ」 ――そう言われ、聖女カリナは宮廷から追放された。 癒やしの力は弱く、誰からも冷遇され続けた日々。 居場所を失った彼女は、静かな田舎の村へ向かう。 しかしそこで出会ったのは、病に苦しむ人々、薬草を必要とする生活、そして彼女をまっすぐ信じてくれる村人たちだった。 小さな治療を重ねるうちに、カリナは“ただの役立たず”ではなく「薬師」としての価値を見いだしていく。

辺境に追放されたガリガリ令嬢ですが、助けた男が第三王子だったので人生逆転しました。~実家は危機ですが、助ける義理もありません~

香木陽灯
恋愛
 「そんなに気に食わないなら、お前がこの家を出ていけ!」  実の父と義妹に虐げられ、着の身着のままで辺境のボロ家に追放された伯爵令嬢カタリーナ。食べるものもなく、泥水のようなスープですすり、ガリガリに痩せ細った彼女が庭で拾ったのは、金色の瞳を持つ美しい男・ギルだった。  「……見知らぬ人間を招き入れるなんて、馬鹿なのか?」  「一人で食べるのは味気ないわ。手当てのお礼に一緒に食べてくれると嬉しいんだけど」  二人の奇妙な共同生活が始まる。ギルが獲ってくる肉を食べ、共に笑い、カタリーナは本来の瑞々しい美しさを取り戻していく。しかしカタリーナは知らなかった。彼が王位継承争いから身を隠していた最強の第三王子であることを――。 ※ふんわり設定です。 ※他サイトにも掲載中です。

婚約破棄は農協の夜明け

あんど もあ
ファンタジー
王立学園の卒業パーティーで、突然始まった婚約破棄劇。在学中は部活に熱中してた自分には他人事と思っていたウォルターなのに、なぜか巻き込まれて……。

死に物狂いで支えた公爵家から捨てられたので、回帰後は全財産を盗んで消えてあげます 〜今さら「戻れ」と言われても、私は隣国の皇太子妃ですので〜

しょくぱん
恋愛
「お前のような無能、我が公爵家の恥だ!」 公爵家の長女エルゼは、放蕩者の父や無能な弟に代わり、寝る間も惜しんで領地経営と外交を支えてきた。しかし家族は彼女の功績を奪った挙句、政治犯の濡れ衣を着せて彼女を処刑した。 死の間際、エルゼは誓う。 「もし次があるのなら――二度と、あいつらのために働かない」 目覚めると、そこは処刑の二年前。 再び「仕事」を押し付けようとする厚顔無恥な家族に対し、エルゼは優雅に微笑んだ。 「ええ、承知いたしました。ただし、これからは**『代金』**をいただきますわ」 隠し金庫の鍵、領地の権利書、優秀な人材、そして莫大な隠し資産――。 エルゼは公爵家のすべてを自分名義に書き換え、着々と「もぬけの殻」にしていく。 そんな彼女の前に、隣国の冷徹な皇太子シオンが現れ、驚くべき提案を持ちかけてきて……? 「君のような恐ろしい女性を、独り占めしたくなった」 資産を奪い尽くして亡命した令嬢と、彼女を溺愛する皇太子。 一方、すべてを失った公爵家が泣きついてくるが、もう遅い。 あなたの家の金庫も、土地も、働く人間も――すべて私のものですから。

処理中です...