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お荷物テイマーだけどテンプレ通り最強になってざまぁします
第2話 切り捨てられたんだから当然チートスキルに目覚めたりするよね? え? 無し?
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「狩人や村人達から、近くの森にヘルハウンドらしき魔物を見たという目撃証言が相次いでいる。被害者が出る前に真相を確かめてほしい」
その日、勇者率いる一行はそのクエストを受注した。
ヘルハウンド……黒い皮膚と体毛を持ち、瞳が血のように紅い不吉の象徴とされる狼型の魔物。獰猛で動くものは何でも襲うという危険な存在だ。
本来はダンジョンの深い部分にいるものでこんな人里の近い場所に出るのはだいぶ珍しいケースに入る。森について探すこと数分。すぐに見つかった。
「グルルルル!」
一般的な犬の分類では中型犬程度の大きさをしたヘルハウンドが2匹、うなり声をあげながら威嚇していた。
「ガアアアア!」
そのうちの片方が襲い掛かってくる! すると勇者の持つ業物の剣で骨ごと犬の首を切断する。ドシャァ! という音と共に地面に倒れ、動かなくなった……間違いなく即死だろう。
「フロストバイト!」
「ホーリーボルト!」
次いで魔女と聖女が魔法を放つ。冷却された真空の刃と、邪悪を払う光の電撃がもう1匹を襲う。そいつは回避しようとしたが避けきれずに2発とも直撃。
腹部が凍り付き全身に光の電流が走る。その隙を見逃さずに勇者が駆け、トドメを刺した。
「キャウン! クゥン!」
おびえた子犬のような声を上げてクエストターゲットは絶命した。
「あっけなかったな」
「まぁボクらからしたらこの程度朝飯前だよね。とりあえず首を持っていけば依頼をこなしたことになるからナーダ、持って行って」
魔物ですらない犬1匹テイムできない役立たずテイマーがやれることはただ一つ、荷物持ちだ。いつものようにクエスト達成の証拠を荷物に納めた、その時だった。
体高……背中までの大きさ、が人間の背丈ほどもある巨大なヘルハウンドが出てきた。おそらくこいつがさっきの奴らのリーダーなのだろう。
「!! な、なんて大きさなの!?」
「おびえるな! 行くぞ!」
勇者たちは戦いを始める。
「フロストバイト!」
「ホーリーボルト!」
魔女や聖女は魔法を放つが、彼女らが相手でも勢いは衰えない。地面を駆けて襲い掛かってくる!
「ぐっ!」
それを勇者が前に立ちはだかり噛みつきを受け止める。が、持っていた鉄製の盾にくっきりと歯形が残った。
次いで相手は前足の爪を立てて切り裂こうとする。これも盾で防ぐが爪で切り裂かれた跡がはっきりと残った。
「野郎!」
勇者は持っていた剣で敵を斬りつける。だが斬れない。勇者の持つ業物の剣ですら切り傷一つ与えることができない。
戦闘は続くが勇者側が劣勢だ。やがて……
「ぐえっ!」
勇者の喉元にヘルハウンドが噛みつく。その人並外れたアゴの力で気道をふさぐ。やがて失血と呼吸困難で息絶えた。
「そ、そんな! 退却しよう!」
苦渋の決断。一行は町まで退却することになったが……
「フロストバイト!」
魔女がナーダの足目がけて魔法を放つ。
「!! 何をするんだ!?」
「ナーダはボクたちが逃げるまで時間を稼いでちょうだい! お荷物が勇者パーティを活かすために犠牲になれば名誉ある死に方でしょ!?」
足に攻撃魔法を食らい、走れないナーダを置いてきぼりにして聖女と魔女は去っていった。
残されたのは、俺ことナーダとヘルハウンドのみ。あー切り捨てか。だったらこの後誰も知らない超スキルに目覚めるのが定番だy……
ガブッ
ヘルハウンドのキバが俺の喉元に食いついてきた。
……あれ? おかしいな? 普通だったらここで隠しスキルが発動するとか、異世界転生の伝家の宝刀チートスキルに目覚めるとか、そういうことが起きるんじゃないの?
っていうか主人公が死んだらそこで話が終わっちゃうのに、いいの?
◇◇◇
「ハッ!」
気が付いた時には、俺は立っていた。俺の目の前にあったのは首にくっきりと犬の歯形が残る俺の身体。周りを見たけどヘルハウンドは何処かへ行ってしまったらしくいなかった。
自分の手を見てみると半透明に透けていた。ってことは俺幽霊!? ちょ、ちょっと待て、ちょっと待て! 主人公である俺が死んじまったら小説は終わっちまうじゃねえか!
「起きろーーーーーーーーーーーーー!!!!! 起きろ起きろ起きろ起きろ起きろーーーーー!!!!!!!」
俺は俺の身体をゆすって、頭を殴って、顔面にビンタを何発も食らわせて起こそうとする。
「うわああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
◇◇◇
「うお! だ、大丈夫か!?」
気が付いた時には魂? の状態だった俺は無事元の肉体に戻ったらしい。そばには馬車と僧侶らしき恰好をした男がいた。両手が淡く光っており、治療の最中なのだろう。
「まぁそれだけの大声を出せるんなら大丈夫そうだとは思うが。それとなるべく動かないでくれ、応急処置をしているんだ。まぁ止血程度だがな」
「あ、ありがとう。し……死ぬかと思った……かなり真剣な話で」
「例ならそこの女性に言ってくれよ。彼女が居なかったらお前に気づかず森を素通りしてたところだよ」
そう言って視線を男の後ろに移すと、褐色の肌に豪奢な黒いドレスを着た黒いウルフカットの髪と赤い目が特徴の大柄な女が立っていた。
【次回予告】
今まで犬1匹テイムできなかった俺ことナーダ。なぜかヘルハウンドはテイム成功できたらしい。にしてもテイムモンスターが美少女になるってのはベタだよなぁ。
第3話 「やっぱりテイムしたモンスターは女の子になるのか。仕方ないな」
その日、勇者率いる一行はそのクエストを受注した。
ヘルハウンド……黒い皮膚と体毛を持ち、瞳が血のように紅い不吉の象徴とされる狼型の魔物。獰猛で動くものは何でも襲うという危険な存在だ。
本来はダンジョンの深い部分にいるものでこんな人里の近い場所に出るのはだいぶ珍しいケースに入る。森について探すこと数分。すぐに見つかった。
「グルルルル!」
一般的な犬の分類では中型犬程度の大きさをしたヘルハウンドが2匹、うなり声をあげながら威嚇していた。
「ガアアアア!」
そのうちの片方が襲い掛かってくる! すると勇者の持つ業物の剣で骨ごと犬の首を切断する。ドシャァ! という音と共に地面に倒れ、動かなくなった……間違いなく即死だろう。
「フロストバイト!」
「ホーリーボルト!」
次いで魔女と聖女が魔法を放つ。冷却された真空の刃と、邪悪を払う光の電撃がもう1匹を襲う。そいつは回避しようとしたが避けきれずに2発とも直撃。
腹部が凍り付き全身に光の電流が走る。その隙を見逃さずに勇者が駆け、トドメを刺した。
「キャウン! クゥン!」
おびえた子犬のような声を上げてクエストターゲットは絶命した。
「あっけなかったな」
「まぁボクらからしたらこの程度朝飯前だよね。とりあえず首を持っていけば依頼をこなしたことになるからナーダ、持って行って」
魔物ですらない犬1匹テイムできない役立たずテイマーがやれることはただ一つ、荷物持ちだ。いつものようにクエスト達成の証拠を荷物に納めた、その時だった。
体高……背中までの大きさ、が人間の背丈ほどもある巨大なヘルハウンドが出てきた。おそらくこいつがさっきの奴らのリーダーなのだろう。
「!! な、なんて大きさなの!?」
「おびえるな! 行くぞ!」
勇者たちは戦いを始める。
「フロストバイト!」
「ホーリーボルト!」
魔女や聖女は魔法を放つが、彼女らが相手でも勢いは衰えない。地面を駆けて襲い掛かってくる!
「ぐっ!」
それを勇者が前に立ちはだかり噛みつきを受け止める。が、持っていた鉄製の盾にくっきりと歯形が残った。
次いで相手は前足の爪を立てて切り裂こうとする。これも盾で防ぐが爪で切り裂かれた跡がはっきりと残った。
「野郎!」
勇者は持っていた剣で敵を斬りつける。だが斬れない。勇者の持つ業物の剣ですら切り傷一つ与えることができない。
戦闘は続くが勇者側が劣勢だ。やがて……
「ぐえっ!」
勇者の喉元にヘルハウンドが噛みつく。その人並外れたアゴの力で気道をふさぐ。やがて失血と呼吸困難で息絶えた。
「そ、そんな! 退却しよう!」
苦渋の決断。一行は町まで退却することになったが……
「フロストバイト!」
魔女がナーダの足目がけて魔法を放つ。
「!! 何をするんだ!?」
「ナーダはボクたちが逃げるまで時間を稼いでちょうだい! お荷物が勇者パーティを活かすために犠牲になれば名誉ある死に方でしょ!?」
足に攻撃魔法を食らい、走れないナーダを置いてきぼりにして聖女と魔女は去っていった。
残されたのは、俺ことナーダとヘルハウンドのみ。あー切り捨てか。だったらこの後誰も知らない超スキルに目覚めるのが定番だy……
ガブッ
ヘルハウンドのキバが俺の喉元に食いついてきた。
……あれ? おかしいな? 普通だったらここで隠しスキルが発動するとか、異世界転生の伝家の宝刀チートスキルに目覚めるとか、そういうことが起きるんじゃないの?
っていうか主人公が死んだらそこで話が終わっちゃうのに、いいの?
◇◇◇
「ハッ!」
気が付いた時には、俺は立っていた。俺の目の前にあったのは首にくっきりと犬の歯形が残る俺の身体。周りを見たけどヘルハウンドは何処かへ行ってしまったらしくいなかった。
自分の手を見てみると半透明に透けていた。ってことは俺幽霊!? ちょ、ちょっと待て、ちょっと待て! 主人公である俺が死んじまったら小説は終わっちまうじゃねえか!
「起きろーーーーーーーーーーーーー!!!!! 起きろ起きろ起きろ起きろ起きろーーーーー!!!!!!!」
俺は俺の身体をゆすって、頭を殴って、顔面にビンタを何発も食らわせて起こそうとする。
「うわああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
◇◇◇
「うお! だ、大丈夫か!?」
気が付いた時には魂? の状態だった俺は無事元の肉体に戻ったらしい。そばには馬車と僧侶らしき恰好をした男がいた。両手が淡く光っており、治療の最中なのだろう。
「まぁそれだけの大声を出せるんなら大丈夫そうだとは思うが。それとなるべく動かないでくれ、応急処置をしているんだ。まぁ止血程度だがな」
「あ、ありがとう。し……死ぬかと思った……かなり真剣な話で」
「例ならそこの女性に言ってくれよ。彼女が居なかったらお前に気づかず森を素通りしてたところだよ」
そう言って視線を男の後ろに移すと、褐色の肌に豪奢な黒いドレスを着た黒いウルフカットの髪と赤い目が特徴の大柄な女が立っていた。
【次回予告】
今まで犬1匹テイムできなかった俺ことナーダ。なぜかヘルハウンドはテイム成功できたらしい。にしてもテイムモンスターが美少女になるってのはベタだよなぁ。
第3話 「やっぱりテイムしたモンスターは女の子になるのか。仕方ないな」
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