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第31話 王妃誘拐および殺害未遂事件
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「はい、今日はもう終わりです。ご協力ありがとうございました」
カレンは彼女の持つ心を読む力の解明のために、王立魔法研究所でスキャンを受けていた。慣れたものでベッドに横になり、じっとしてるだけの簡単な仕事だった。
いつものように仕事をこなした後、いつものように帰る予定だったのだが……今回はそこから先が違っていた。
城へ帰る途中の出来事だった。
「あの、お手洗いに行きたいのですがいいでしょうか?」
「お手洗い? トイレですか。一番近いのはすぐそばの公衆便所になってしまいますが、それでもよろしいでしょうか?」
「かまわないわ。案内して下さい」
兵士は素直に彼女をトイレへと案内する……兵長はトイレの前に何人も兵士を立たせるのもどうか? というのもあって、衛兵の中から1人を選んでカレンに同行させた。
今思えば、それは「判断ミス」であった。
「……暇だ」
カレンが用を足している間、兵士は1人トイレの前で待っていた。正直言って暇であるがいざというときのために緊張感が途切れないよう襟を正す。
もう少しでトイレも終わるだろうと思った、その時だった。
「!?」
4人の男たちが殺気をみなぎらせながら突如トイレを見張っていた兵士に襲い掛かってくる! あまりにも唐突なことで兵士は一瞬、動きが遅れる。
あくまで一瞬ではあるが、戦いにおいてはそれは生死を分ける決定的な時間だった。
彼ののど元にナイフが深々と突き刺さり、血を吹き出しながら倒れ、うめき声一つ出せずに即死した。
「ふー。お待たせいたしま……!?」
そこへ何も知らないカレンが戸を開けて出てくる。
彼女が倒れている兵士を見て声を出す前に、4人の男たちは彼女の口をふさぎ、傷や後遺症をつけずにショックで気絶させることを目的とした雷魔法を唱える。
首尾よくカレンを気絶させた後は彼女を運んだ。
それから少し……
「おーい遅いぞ。いつまでかかるん……!?」
様子を見に来た兵士が殉職した同僚を発見し、大騒ぎになる。
……それとほぼ同時刻。
「? なんだ? カレン様の様子がおかしいぞ?」
城下町の地図が書き込まれ「特別な魔法」がかかった壁に貼り付けられた「特別な羊皮紙」にはカレンの現在位置を示す青い光点が映っていた。
予定では王立魔法研究所を発った後はまっすぐ城まで帰るはずなのに、用でも足すのか公衆便所に寄った後、突如城とは反対方向に動き出した。
「陛下! カレン様のご様子がどうもおかしいようです!」
「!! なんだって!? どこにいるかわかるか!?」
「大丈夫です! 城下町に留まっているそうですし、どの建物にいるかも分かっています!」
そう言うと配下はデニスに特別ではないが城下町の詳細な地図を渡し、カレンがいる建物を指さす。
「行くぞ! ついてこい!」
デニスは急きょ近くにいた兵士をかき集めてカレンの救助に向かおうとする、その時。
「陛下! 城の兵士が襲われてカレン様が行方不明に……」
部下を殺された兵長が血相を変えて城に飛び込んでくる。
「遅ぉい! もう把握している! ついでだ! お前らも一緒に来い!」
大声で彼らに叫びながら一行はカレンの居場所めがけて城下町を駆けた。
(うう……? ここは?)
カレンが目を覚ますと、見知らぬ部屋のベッドの上にいた。
周りを見ると明らかに「まっとうな仕事についている」人間ではなさそうな、いかにも素性の悪そうな男たち6名が詰めていた。
「お目覚めのようですな、カレン=アランドル、と言えばいいか?」
男が股間にぶら下がった下品な物体をカレンに突き付けた。
「オイオイ、やめとけやめとけ。んなことしちまったらあの「呪殺王」の穴兄弟になっちまうんだぜ?」
「大丈夫だって。こんなとこまで見やしねえよ」
「オメェこんなガキでもいける口か。趣味悪いな」
男たちはゲスな笑い声をあげる。
「どうせあなた方は私を人質にするつもりなんでしょ!? 傷物にしたら価値が下がるんじゃなくて!?」
人質にされても怖気づかないカレン。ズボンを脱いだ男の股間にぶら下がってるものを見て内心は恐怖していたが、それを悟られないように気丈にふるまう。
「人質? 何言ってるんだお前?」
主犯格と思われる男は、太く固く締まった木の幹でも切れそうなほどの大きなノコギリを持っていた。
「俺たちはカネが目的で動いてるわけじゃない。ただお前の事を殺したいだけだ。おとなしくしてれば殺した後コイツでバラバラに解体する。
もし暴れるのなら生きたままバラす。どっちがいいかはお前が決めろ」
「!? あ、あなたたち自分の言ってることがどういう意味か分かってて言ってるの!?」
「もちろん。頭から語尾まで全部理解したうえでの事だ」
(!? 「はい」!? 本当に私を殺すことだけが目的なの!?)
不幸なのか幸福なのかはわからないが、カレンはその能力で相手の本心をのぞき込んだ。自分に対し本当に「純粋培養な殺意だけ」しか持っていない人間相手にぞっとしてしまう。
「待ってくれよ。殺す前に1回ヤらせてくれよ」
「だったら死姦でもすればいいだろ、ったく……で、カレン。どうする?
殺されてからバラされるか、生きたままバラされるか、どっちがいい? 10秒以内で決めろ。決めなきゃ俺たちが勝手に決める」
カレンに死のカウントダウンが下される。その直後!
「大変だ! 呪殺王が……ぐえっ!」
「呪殺王が来た」と告げに来た連絡員の喉に剣の一突きが入る。刺し傷から血が大量にあふれ、彼はその場に倒れこみ2度と動くことはなかった。
「!! デニスさん!!」
「カレン! 動くなよ!」
デニスはそう言うと左手を地面と水平に開き、5本の指から黒い握りこぶし大の球……呪術の塊を生成し、放つ。部屋に詰めていたカレン誘拐犯の配下5名が次々と倒れていった。
直後、兵士の1人がただ1人生き残った誘拐犯とカレンの間に割って入り、2人を引きはがした。
残ったのは主犯格と思われる男1人。デニスに加え5人の兵士が部屋にいる。6対1では到底勝ち目はない。
「詳しい話は臭ぇメシでも食いながらしてもらおうか? 拘束しろ!」
生き残った犯人は両手を縛られ連れていかれた。
無事に保護されたカレンはようやく安心したのか、それまで気丈にふるまっていた顔から疲れがどっと吹き出た。と同時に1つの疑問がわいた。
「デニスさん、私の居場所がよくわかりましたね。どうしてですか?」
なぜこんなにも早く自分の居場所が分かったのか? 疑問に思う彼女にデニスは結婚指輪を指さした。
「カレン、お前に持たせた結婚指輪には奴隷の脱走防止用のまじないを応用した物がかかってて、今回みたいに例えさらわれてもどこにいるのかリアルタイムですぐわかるようになってるんだ。
まぁこんなにも早く役立つ時が来るとは思っていなかったし、役に立つ機会なんてなければいいとも思ってたがな」
「そうだったんですか……だから私の事がちゃんとわかったんですね。ありがとうございます……?」
そう言ってカレンはベッドから立ち上がろうとするが……。
「あれ……? た、立てない」
誘拐犯のリーダーにノコギリでバラバラにされそうだった。という恐怖からか腰が抜けてしまったようだ。
「しゃあねえなぁ」
デニスはそういってカレンを抱きかかえる。いわゆる「お姫様抱っこ」という奴だ。
「帰るぞ」
「!? ええ!? こんな格好で!?」
「嫌か?」
「嫌じゃ、ないけど……」
「じゃあ行くぞ」
結局カレンは城の自室のベッドまでお姫様抱っこされた状態で城下街の中を行く羽目になった。
当然彼女を見た国民からは歓声が上がり「お熱いですね」という声が絶えなかったという。
カレンは彼女の持つ心を読む力の解明のために、王立魔法研究所でスキャンを受けていた。慣れたものでベッドに横になり、じっとしてるだけの簡単な仕事だった。
いつものように仕事をこなした後、いつものように帰る予定だったのだが……今回はそこから先が違っていた。
城へ帰る途中の出来事だった。
「あの、お手洗いに行きたいのですがいいでしょうか?」
「お手洗い? トイレですか。一番近いのはすぐそばの公衆便所になってしまいますが、それでもよろしいでしょうか?」
「かまわないわ。案内して下さい」
兵士は素直に彼女をトイレへと案内する……兵長はトイレの前に何人も兵士を立たせるのもどうか? というのもあって、衛兵の中から1人を選んでカレンに同行させた。
今思えば、それは「判断ミス」であった。
「……暇だ」
カレンが用を足している間、兵士は1人トイレの前で待っていた。正直言って暇であるがいざというときのために緊張感が途切れないよう襟を正す。
もう少しでトイレも終わるだろうと思った、その時だった。
「!?」
4人の男たちが殺気をみなぎらせながら突如トイレを見張っていた兵士に襲い掛かってくる! あまりにも唐突なことで兵士は一瞬、動きが遅れる。
あくまで一瞬ではあるが、戦いにおいてはそれは生死を分ける決定的な時間だった。
彼ののど元にナイフが深々と突き刺さり、血を吹き出しながら倒れ、うめき声一つ出せずに即死した。
「ふー。お待たせいたしま……!?」
そこへ何も知らないカレンが戸を開けて出てくる。
彼女が倒れている兵士を見て声を出す前に、4人の男たちは彼女の口をふさぎ、傷や後遺症をつけずにショックで気絶させることを目的とした雷魔法を唱える。
首尾よくカレンを気絶させた後は彼女を運んだ。
それから少し……
「おーい遅いぞ。いつまでかかるん……!?」
様子を見に来た兵士が殉職した同僚を発見し、大騒ぎになる。
……それとほぼ同時刻。
「? なんだ? カレン様の様子がおかしいぞ?」
城下町の地図が書き込まれ「特別な魔法」がかかった壁に貼り付けられた「特別な羊皮紙」にはカレンの現在位置を示す青い光点が映っていた。
予定では王立魔法研究所を発った後はまっすぐ城まで帰るはずなのに、用でも足すのか公衆便所に寄った後、突如城とは反対方向に動き出した。
「陛下! カレン様のご様子がどうもおかしいようです!」
「!! なんだって!? どこにいるかわかるか!?」
「大丈夫です! 城下町に留まっているそうですし、どの建物にいるかも分かっています!」
そう言うと配下はデニスに特別ではないが城下町の詳細な地図を渡し、カレンがいる建物を指さす。
「行くぞ! ついてこい!」
デニスは急きょ近くにいた兵士をかき集めてカレンの救助に向かおうとする、その時。
「陛下! 城の兵士が襲われてカレン様が行方不明に……」
部下を殺された兵長が血相を変えて城に飛び込んでくる。
「遅ぉい! もう把握している! ついでだ! お前らも一緒に来い!」
大声で彼らに叫びながら一行はカレンの居場所めがけて城下町を駆けた。
(うう……? ここは?)
カレンが目を覚ますと、見知らぬ部屋のベッドの上にいた。
周りを見ると明らかに「まっとうな仕事についている」人間ではなさそうな、いかにも素性の悪そうな男たち6名が詰めていた。
「お目覚めのようですな、カレン=アランドル、と言えばいいか?」
男が股間にぶら下がった下品な物体をカレンに突き付けた。
「オイオイ、やめとけやめとけ。んなことしちまったらあの「呪殺王」の穴兄弟になっちまうんだぜ?」
「大丈夫だって。こんなとこまで見やしねえよ」
「オメェこんなガキでもいける口か。趣味悪いな」
男たちはゲスな笑い声をあげる。
「どうせあなた方は私を人質にするつもりなんでしょ!? 傷物にしたら価値が下がるんじゃなくて!?」
人質にされても怖気づかないカレン。ズボンを脱いだ男の股間にぶら下がってるものを見て内心は恐怖していたが、それを悟られないように気丈にふるまう。
「人質? 何言ってるんだお前?」
主犯格と思われる男は、太く固く締まった木の幹でも切れそうなほどの大きなノコギリを持っていた。
「俺たちはカネが目的で動いてるわけじゃない。ただお前の事を殺したいだけだ。おとなしくしてれば殺した後コイツでバラバラに解体する。
もし暴れるのなら生きたままバラす。どっちがいいかはお前が決めろ」
「!? あ、あなたたち自分の言ってることがどういう意味か分かってて言ってるの!?」
「もちろん。頭から語尾まで全部理解したうえでの事だ」
(!? 「はい」!? 本当に私を殺すことだけが目的なの!?)
不幸なのか幸福なのかはわからないが、カレンはその能力で相手の本心をのぞき込んだ。自分に対し本当に「純粋培養な殺意だけ」しか持っていない人間相手にぞっとしてしまう。
「待ってくれよ。殺す前に1回ヤらせてくれよ」
「だったら死姦でもすればいいだろ、ったく……で、カレン。どうする?
殺されてからバラされるか、生きたままバラされるか、どっちがいい? 10秒以内で決めろ。決めなきゃ俺たちが勝手に決める」
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「大変だ! 呪殺王が……ぐえっ!」
「呪殺王が来た」と告げに来た連絡員の喉に剣の一突きが入る。刺し傷から血が大量にあふれ、彼はその場に倒れこみ2度と動くことはなかった。
「!! デニスさん!!」
「カレン! 動くなよ!」
デニスはそう言うと左手を地面と水平に開き、5本の指から黒い握りこぶし大の球……呪術の塊を生成し、放つ。部屋に詰めていたカレン誘拐犯の配下5名が次々と倒れていった。
直後、兵士の1人がただ1人生き残った誘拐犯とカレンの間に割って入り、2人を引きはがした。
残ったのは主犯格と思われる男1人。デニスに加え5人の兵士が部屋にいる。6対1では到底勝ち目はない。
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生き残った犯人は両手を縛られ連れていかれた。
無事に保護されたカレンはようやく安心したのか、それまで気丈にふるまっていた顔から疲れがどっと吹き出た。と同時に1つの疑問がわいた。
「デニスさん、私の居場所がよくわかりましたね。どうしてですか?」
なぜこんなにも早く自分の居場所が分かったのか? 疑問に思う彼女にデニスは結婚指輪を指さした。
「カレン、お前に持たせた結婚指輪には奴隷の脱走防止用のまじないを応用した物がかかってて、今回みたいに例えさらわれてもどこにいるのかリアルタイムですぐわかるようになってるんだ。
まぁこんなにも早く役立つ時が来るとは思っていなかったし、役に立つ機会なんてなければいいとも思ってたがな」
「そうだったんですか……だから私の事がちゃんとわかったんですね。ありがとうございます……?」
そう言ってカレンはベッドから立ち上がろうとするが……。
「あれ……? た、立てない」
誘拐犯のリーダーにノコギリでバラバラにされそうだった。という恐怖からか腰が抜けてしまったようだ。
「しゃあねえなぁ」
デニスはそういってカレンを抱きかかえる。いわゆる「お姫様抱っこ」という奴だ。
「帰るぞ」
「!? ええ!? こんな格好で!?」
「嫌か?」
「嫌じゃ、ないけど……」
「じゃあ行くぞ」
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