呪殺王と読心姫 ~疎まれ者同士が一緒に歩むことになりました~

あがつま ゆい

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第50話 ロトエロ討ち取ったり

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「ロトエロ陛下! もうすぐ前線が破られそうです! 相手は……」

「!? 何だって!? 父上が!?」

 ロトエロの「父親」がアランドル王国軍の指揮官として兵相手に指揮をとっていると聞いたが本当だったとは……。
 戦争は未経験だったロトエロ。とりあえず横陣で挑んだが前線を突破され、軍勢が分断されそうになっていた。



「進め! 進め! 目指すは総大将の首だ! ついてこい!」

 馬に乗って陣頭指揮をとる、エドワード王国の元国王が隊を率いてエドワード王国軍に切り込んでいく。

 筆舌ひつぜつに尽くしがたい程の凄まじい怒りがそれを可能にしているのだが、自分の身を考えずに前のめりになって自ら戦線を切り開いていくという、
 良い意味では勇ましく悪く言えば「狂犬じみた」戦い方は味方を鼓舞し、逆に敵を恐れさせるには十分だ。

 結果論ではあるが、今回の戦いにおいては上手くいっている。ついに陣の最奥にいる総大将、ロトエロの所までたどり着く。



「父上!」

「オレの血を引いてないくせにオレを父と呼ぶな! ぶっ殺してやる!」

 自分の妻が他の男相手に股を開いたこと、それで産まれた托卵たくらん児であるロトエロが余程許せないのだろう、彼の怒りが瞬時に沸点にまで達する。

「ロトエロ様! 城までお逃げください! 我々が時間を稼ぎます!」

 戦場における最後の守りがロトエロを逃がすべぐ立ちはだかる。
 が、大将首目当てに集まり、前線へ向かえと途切れることのない兵達の前では焼け石に水だった。すぐに突破されあとは馬で逃げているエドワード王国軍総大将を追うのみ。



「逃がすか!」

 守兵を蹴散らした男はエドワード国王時代から乗っていた愛馬で逃げる敵軍総大将を追いかける。ロトエロもまた馬に乗って城まで逃げているが次第に距離は縮まっていく。そして……

「う、うわっ!」

 城にたどり着く前にロトエロは彼の「父親」からの襲撃を受け、落馬してしまう。戦場において指揮官が馬という「足」を失ったら死んだも同然だ。
 男はロトエロの上にのしかかり剣で首を切ろうとする。



「父上! お辞めくださいこんなこと……」

「オレを父親と呼ぶなと何回言ったら分かるんだテメェは! もういい! 死ね!」

 ロトエロは必至で抵抗するが筋肉の付きが劣るため力比べで負けてしまう。彼の言う「父親」の剣がロトエロの首をねるまでそう時間はかからなかった。
 事を終えた後、男は「今まで息子だと信じていた青年」の首をもって戦場へと帰る。大将首を上げたことを知らしめるためだ。



「エドワード軍総大将ロトエロ、討ち取ったり!」

 血はつながっていないとはいえ、息子を殺した父親は首を上げ高らかに宣言する。

「!? ロ、ロトエロ様!?」

 総大将ロトエロが討ち死にした。その知らせは一気に戦場の隅々まで駆け巡り、エドワード王国軍にとっては大きな衝撃として出迎えられ、元々数で不利だったのもあって戦意を大きく削ぐには十分だった。
 今まで勇敢に戦っていた兵士たちも動きがピタリと止まり、勇気の代わりに怯え、喪失感が入ってくる。
 戦いどころではなかった。



「そうか、ロトエロが……」

 その知らせはアシュトン伯爵の手勢をあらかた片づけたデニス直属の部隊にも届いていた。
 アシュトン伯爵を殺してもなお抵抗するので掃討するのに時間がかかり、前線には出られなかったのだ。

「これじゃあ俺たちの出番は無さそうだなぁ……まぁいい、降伏勧告を送ってくれ。これ以上は戦っても無駄に死人を増やすだけだ」

 その後、デニスによる降伏勧告をエドワード王国軍残存勢力は聞き入れ、アランドル王国を巻き込んだエドワード王家のお家騒動は終わった。



 エドワード王国は今回の戦争並びに後始末で人材がごっそり死んだことによる人材難により滅びの道を歩み、
 さらには返り咲いた王が老衰による死去で、息子のエディことエドワード4世が王になったことでそれが加速し、最終的にアランドル王国に吸収合併されることになるのだが、この時はそれを誰も知らない。
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