呪殺王と読心姫 ~疎まれ者同士が一緒に歩むことになりました~

あがつま ゆい

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最終話 2年後

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「いかがでしょうか王妃様?」

「うん、大丈夫。ちょっとゆるいけど大体は合うわ」

 アランドル家に越してきた時に着ていた服は身体が大きくなり既にどれも小さくなっており、今日から成人した時のためのドレスに変えましょう。となったのだ。
 昔は「こんな大きなドレスが身体に合う日が来るのかしら」と思っていたが、想像していたよりは身体に合っていた。



「デニスさん、どうですかこの服?」

「お、新しい奴だな。それも似合ってるぜ。いい服だな」

 エドワード王国の『お家騒動』にアランドル王国が首を突っ込んでから2年が経ち、新しいドレスを着たときに必ず交わすそんな挨拶もすっかり慣れた。
 朝食をとっている最中にいつものように今日の予定をデニスとカレンは話し合う。

「午前中に王立魔法研究所に行きますね。いつものように私の能力の研究資料が欲しいとの事ですよ」

「そうか。カレン、そういえばお前変な奴から嫌がらせを受けてないか? 大丈夫か?」

「いえ、受けてないわ。もう2年近くはそういう事はされてないわよ」

 当時アシュトン家当主だった伯爵が戦死してからは、デニスやカレンに対する嫌がらせはピタリ、とんだ。
 彼の子供や孫が逆恨みしてデニスに嫌がらせを仕掛けてくるかと思ってはいたが、今のところはそれも無い。
 おかげでデニスやカレンを守る衛兵たちはすっかりだれ気味だが、まぁトラブルだらけよりは良いだろうとは思っていた。



(嫁いで来てもう2年が経つのね)

 出かける準備のため化粧をしている最中、ふと思いついた。12歳の「娘」というよりは「少女」が嫁ぐとなると実家は家中を引っ搔き回すような大騒ぎをしてたっけ。
 あの時は周りから初めてプリンセスとして認められたような気がして嬉しかったなぁ。今思えば懐かしい思い出である。

「おお、王妃様。随分とお早いですね」

「うん。研究所に行く前に教会に寄らせてくれないかしら? ちょっと祈りたいことがありますので」

「承知しました。では向かいましょう」



 カレンは、特に昔のカレンは神というのは信じていなかった。
 もし神が本当に存在するのなら何でこんな欲しいと思ったことすらない力を与えたんだ? 何でよりによって妾腹めかけばらの娘としてこの世に誕生させたんだ? と、恨み言はいくらでも言えた。

 なので今でこそ週一回は教会で祈りを捧げるようになったが、昔は季節ごとにある祭日の時ぐらいしか行くことは無かった。
 それも祭りのごちそう目当てで、神に感謝することなど嫁ぐ前では1回たりとも無かったと言えるくらいの「不信者」だった。



「これはこれは王妃様、よくお越しで。今回はいかようなご用件で?」

「ちょっと祈りに来たの。構いませんよね?」

「もちろんですとも。主もお喜びになられるでしょう」

 教会の牧師はニコリ、と笑って彼女を出迎えた。カレンは席に座って祈り始める。



 昔は相手の心を読むこの能力は恐怖の象徴だったのに、今ではそれが人の役に立ち、夫を憎んでいた相手を倒すことができた。
 この能力が誰かの役に立つとは最初は信じられなかったけど、実際この力は誰かの役に立った。
 その機会を与えてくれた主に、感謝いたします。



 そして、願わくばこの平穏で退屈な生活が、これからの生涯ずっと続きますように。カレンはそう祈りを捧げた。
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