希死念慮の出る男の手記

あがつま ゆい

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メンヘラ当事者が周りにいる方へ

第12話 10グラムの重りで人は死ぬ

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「10グラムの重りで人は死ぬ」

 タイトルにもあるこの言葉を聞いて「そんなバカな話があるわけないだろ」と思うかもしれません。ですが、これはお本当の話です。

 メンタルに何かしらのトラブルが起きると日常の本当にささいな、本人以外は誰も気にも留めないような内容、例えば「あいさつしたのに返事がなかった」とか「同僚がなんとなく嫌そうな顔でこっちを見てる気がする」といった内容でも重荷になります。
 具体的に仕事で失敗した内容があるとより大きな重荷になるでしょう。

 例えそれが1日10グラム足される重りだったとしても1年経てば3,65キログラム、3年経てば約10キロ、10年経てばおよそ36キログラムにまで重しは増えます。
 そして重くて重くて仕方なくて限界を超えてしまったら、もう死ぬ以外に道がなくなってしまうんです。

 しかもメンタルをこじらせてしまうと重りを追加する機会が1日に3回や5回に増えたり、1回につき30グラムや50グラム追加されるといったことになります。



 普通なら死ぬというのは生きることよりもはるかにハードルが高くて思いつきもしないものだと言われています。
 しかしメンタルをやられると「生きる事が死ぬ事よりもしんどくて苦しい」となってしまって、最終的に死を選ぶ、というか『選ばざるを得なくなる』のだと思います。
「死にたい」のではなく「生きることが苦しすぎて苦しすぎて死ぬよりもきついから生きるよりも楽な死を『選ばざるを得ない』」というのが本音だと思います。

 この『選ばざるを得ない』というのが結構重要で、本当の事を言えば誰だって死にたくは無いのです。重度のうつ病でベッドから動けずに「その場で漏らしてしまう」人ですら、です。
 ですが「生きることが死ぬことよりもきつい」くらいに追い詰められてしまうと、死を『選ばざるを得ない』と考えるようになってしまいます。
 本音を言えば死にたくはない。でもその『選びたくない死』を『選ばざるを得ない』ほど追い詰められている人がいるというのをどうか忘れないでください。



 勤め先の会社のストレスで死んでしまう人というのは典型的なこのケースに当てはまるもので、
「積み重なった重荷があまりにも重すぎて手放すには死ぬしかない」と思って自殺を実行してしまう、というのがあるでしょう。

 本当は自殺しなくても解決する方法はいくらでもあるのですが「勤勉で真面目な正しい日本人像」から外れると
「死ぬよりも苦しい、生きている事こそ地獄と思える目に遭うのでは?」とか「1度逃げるともう2度と這い上がれなくなるのでは?」
 という恐怖で会社を辞めることが出来ずに、代わりに人生を辞めてしまうのでしょう。
 会社を辞めるよりも人生を辞めるのを選んだ方が幸せになれるのだと思ってしまうほど認知が歪んでいるのです。

 特に日本は同調圧力が高くて、他人と比べて劣ることも優れていることも許されないので「正しい日本人像」から外れる位なら死んだほうが良い。と思う人も多いでしょう。
 これは声を大にして言いたいのですが、会社を辞めても次はあります。実際私は2度会社をクビになり1度バックレました(そこはブラック企業でしたが)が、それでも現在別の仕事で普通に働いています。
 なので死ぬくらいなら会社辞めましょう。

 会社を辞めても次はあります。ですが「死んだら次はもうない」のです。「死んだらやり直しは効かない」んです。「死んだけどまた生き返ればいいや」は絶対にないのですから。
 詳しい話は後で述べますが「死んだらやり直しは効かない」んです。「死んじゃったけどまた生き返ればいいや」だけは現在の医療技術ではどうしてもできないんです。



【次回予告】

現代科学においては苦労や苦痛を数値化出来ない以上「その程度でつらいというな! 俺の方がもっとつらいんだぞ!」という類の言葉は単に言った本人のストレス解消にしかならず、根本的な問題解決にはならないでしょう。そんなお話。

第13話 「自分の基準で他人のつらさを測るな」
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